第7話 酒場の噂
数日後、カルロスは別の町の酒場で、面白い噂を耳にした。
「ねえ、聞いた?東のほうの小さな村でさ、すごい僧侶が現れたんだって」
「僧侶?どんな?」
「それがさ、見た目は完全に戦士で、鎧を着て剣持ってるんだけど、悪霊をめちゃくちゃ荒っぽい方法で追い出したらしい。」
「は?戦士が除霊?」
「うん。でね、村人たちは最初疑ったんだけど、結局助けてもらって、今じゃ『荒くれ者僧侶』って呼んで尊敬してるんだって」
「ふーん……変な僧侶もいるもんだな」
酒場の隅で、黙って酒を啜っていたカルロスは、思わず吹き出しそうになった。
彼は顔を伏せ、笑みをこらえた。
(荒くれ者僧侶、か……悪くない呼び名だ)
彼はグラスを置き、席を立った。次の目的地へ向かうためだ。
外に出ると、夕日が西の空を赤く染めていた。
カルロスは背中の楯の紐を締め直し、長い影を引きずりながら歩き出した。
誤解されようとも、追放されようとも、彼の「ほっとけない」性格は、もう変えようがなかった。
戦士の装備を脱ぎ、独学で得た僧侶の力で人を助け、そして再び戦士として旅を続ける。
二つの世界を生きる荒くれ者。
彼は知らなかった。
この小さな噂が、やがて王国中に広がり、「どんな難病も悪霊も、荒くれ者僧侶カルロスにかかればたちまち退治!」という伝説の始まりになることを。




