第19話 呪われた剣
ある日、一行がとある酒場で耳にしたのは、とんでもない噂だった。
「呪われた剣を持った剣士が、北の廃城で困ってるらしいぜ」
酒場の主人が言う。
「その剣ってやつが、毎夜『もっと磨け!』って叫ぶんだって。剣士さん、もう三日三晩眠れてないそうだ」
カルロスは目を輝かせた。
「おお!これは面白そうだ!」
若い僧侶の一人が心配そうに言った。
「でも師匠、呪われた剣ですよ?正規の除霊儀式が必要なんじゃ……」
「ふん!儀式なんて堅苦しい!」
カルロスは大げさに手を振った。
「困ってる者がいれば、どこへだって行く。報酬は食事で十分だ!」
こうして、荒くれ者僧侶一派は北の廃城へと向かった。
一行が北の廃城に足を踏み入れたとき、そこには薄暗がりの中、憔悴しきった剣士が壁にもたれかかっていた。
彼の手に握られた長剣は、青白い微光を放ち、かすかに震えている。まるで生きているかのようだった。
「来てくれた……本当に来てくれたのか……」
剣士の声はかすれ、目の下には深い影が刻まれていた。
彼は震える指で剣を差し出した。
「三晩も……三晩も眠れない。夜になるたび、この剣が『磨け、磨け、もっと磨け』と叫ぶんだ……」
若い僧侶たちは警戒して一歩後退した。
1人が聖水の瓶に手を伸ばそうとしたが、カルロスは彼の手を押さえた。
「待て」
カルロスは、ゆっくりと剣士に近づいた。
彼は剣を手に取り、太陽の光が差し込む窓辺へ運んだ。
青白い光を放つ刀身をじっくりと観察すると、彼の口元に笑みが浮かんだ。
「はっはっは!これは面白い!」
「師、師匠?」弟子の一人が不安そうに声を上げた。
カルロスは剣をくるりと回し、光の当たる角度を変えてみせた。
「見ろ、この部分の錆び。そしてここ、汚れがこびりついている。こいつは呪われてなんかいない。ただ、ひどく手入れを怠られて不満なんだ」
剣士は目を見開いた。
「で、でも……声が聞こえるんです……」
「ああ、聞こえるだろう」
カルロスはうなずいた。
「剣だって生きているようなものさ。ちゃんと世話をされなければ、文句の一つも言いたくなる」
彼は弟子たちに指示を出した。
「磨き粉と油、清潔な布を準備しろ。今日は特別な『浄化儀式』を行う」




