第11話 勇者パーティからの緊急依頼
ある日、旅の途中のカルロスは、かつての仲間である勇者パーティの魔法使いリナと偶然再会した。
「カルロス!先日はありがとう!」
リナの笑顔は、数日前の騒動を鮮明に思い起こさせた。
数日前、ジャンをリーダーとする勇者パーティが訪れた町で、とんでもない問題が発生していた。
使いの者がカルロスの元へ急行し、緊急依頼を伝えたのだ。
「町の神殿の神官全員が、お腹を壊して動けない!?」
カルロスが驚く中、使いの者が説明を続けた。
「はい……昨夜の宴会で、みんなでキノコ料理を食べたのですが、どうやら毒キノコが混ざっていたらしくて……」
「明日の夜に勇者パーティが滞在している町で悪霊の大群が襲ってくると予言されていて、神官がいなければ聖なる結界が張れないということです」
町では勇者パーティたちの顔が青ざめていた。
その時、パーティの弓使いのケインがポツリと言った。
「……カルロスなら、1人で全部追い出せそうだな」
一同は複雑な表情で黙り込んだ。
ジャンは深く息を吸い、吐き出した。
「……仕方ない。カルロスを呼ぼう」
「でもリーダー、あいつ免許もないし、方法も荒っぽすぎるって……」
「今はそんなこと言ってる場合じゃない!町が滅びる!」
こうして、使いの者はカルロスの元へ走った。
数百の悪霊がうごめく中、カルロスが1人立っていた。彼は大剣も抜かず、呪文も唱えず、ただ悪霊たちに向かって叫んだ。
「おーい!悪霊ども!今日は特別サービスだぜ!1人で全員相手してやるよ!」
悪霊たちが一斉に襲いかかろうとしたその時、カルロスは続けた。
「おい!お前ら、生前の借金返してないだろ!貸し主の幽霊がここに来るって言ってるぞ!」
悪霊たちの動きが、一瞬止まった。
「それに、お前らのほとんど、生前に浮気してたろ?その相手の幽霊も連れてくるからな!」
悪霊たちがざわめき始めた。
「あと、お前らのうちの何人か、生前に隠し財宝を埋めただろ?その場所、今からみんなに教えちゃうからな!」
「や、やめてくれーっ!」
悪霊たちから悲鳴が上がり、次々と逃げ出していく。わずか十分で、広場から悪霊は一匹残らず消えた。
見守っていた勇者パーティ一同は、呆然とカルロスを見つめていた。
カルロスはにっこり笑い、肩をすくめた。
「悪霊だって、恥ずかしい過去はあるんだよ。で、報酬はどこでもらえるの?」
ジャンはため息をつき、小さく笑った。
「……やっぱり、お前は変わってないな」
こうして、カルロスは1回のみの依頼を受けた。
ただし、事前に契約書を交わして契約書にはしっかりと記載された。
『カルロスの除霊方法が原因で生じた、借金取りや浮気相手の幽霊、ならびに財宝探しに群がる人々による被害については、パーティは一切の責任を負いかねます』
カルロスはその条文を読み、満面の笑みを浮かべた。
「これで問題ないよ。だって次に困った時、また呼んでくれるだろう?」
今、カルロスとリナは町の除霊の出来事を思い出しながら、道端で立ち話をしていた。
リナは考え込んだ。
「ねえ、カルロス。あなたの力を正式に認めてもらう方法があるかもしれない。辺境の地に、あなたのような『非正統派』の僧侶を評価してくれる寺院があるって聞いたことがあるの」
「非正統派、か」
カルロスは笑った。
「まさにぴったりの言葉だな」
「行ってみる?私もついていくわ。ジャン達にはカルロスについて行くことを連絡しておくね」




