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未定  作者: ちゅう
42/50

アリウープ

体育祭兼文化祭は続く



ここで樹たちの通う高校について

ここの高校を紹介する上で欠かせないのが、バスケットボール部の存在

男女ともに全国大会常連校で、日本一の経験も数多くある

全国から生徒が来るほどだ


そんな影響からなのか、体育祭でもメインイベントはバスケの試合

毎年、決勝戦ともなると、生徒やお客さんでいっぱいとなる

もちろん、公平を期すために現役バスケ部員は参加できない

しかし、バスケ部を希望して入学したものの、その練習風景を目の当たりにして入部しなかった者がいるのも事実だ

そんな隠れバスケ部員たちの試合となるため、内容は本格的だ


さて、今年はというと…


「やっぱ樹のクラスも残ったんだなぁ」

「ん…たまたまな」

「いや、あのゴリラ卑怯だから」


トーナメント表の前で話している薫と樹

決勝はお互いのクラスがぶつかることとなったのだ

薫がゴリラと言ったのは、樹のクラスの晋吾という子のことで、まぁ顔のフォルムから来ている

あとはシン・ゴジラ(晋吾ジラ)から来ているとも

このゴリラ…ではなく、晋吾君も隠れバスケ部員の1人で、ここまでの試合でも高得点を叩き出している

対する薫のクラスは、全員で得点を重ねている感じだ


「でもさぁ…樹も要注意なんだよなぁ」

「ん?」

「目立たないように狙ってるんだろうけどさ、お前、ほとんどゴリラの得点に絡んでるだろ?」

「…晋吾のおかげさ」

「またまたぁ…樹自身で点取り行かんと、うちのクラスには勝てんよぉ、なんたって薫様がいるからな」


薫の分析通り、ゴリラ…でいいか…がシュートを決めるのに、樹のアシストは欠かせないものになっている

どうしても、シュートを決めた後の喜びでゴリラに注目が行くので、樹は目立たないが…


「じゃ、決勝でなぁ」

「ん…」


そう言って薫は、決勝に向け練習中のクラスのもとへ

間もなく試合が始まるということで、観覧席は生徒とお客さんでいっぱいだ


「い〜つ〜きさん!」

「ん?」


観覧席から声をかけたのは、右手にチュロス、左手にわたあめを持った紗希

これまたお子ちゃまなスタイルなお姿で…しかも笑顔で…


「…幸せそうだな」

「ん?なにがぁ?」

「いや…どうした?」

「決勝に出るっていうから応援です…ってか、バスケやってる樹さんがあまりにも想像できなくて、見てみたいなぁと思って」

「…物好きだな」

「はい!頑張って下さいね」

「ん…ありがとな」

「樹くーん、勝ったら紗希からご褒美があるってぇ」

「あ、あぁちゃん!…なんもないですからねぇ」


笑い合いながら席に戻る紗希たち

そんな風景を見てる人もいて…


「茜はいいのぉ?」

「いいって…なにが?」


メイド姿のまま、応援に来ている茜とち〜ちゃん

いや、正確にはこの他にもメイドが多数

今、メイドカフェが執事カフェと化していてもおかしくないくらいだ


「彼のとこ行かなくていいの?ってこと」

「だから彼じゃないってぇ」

「ホントにぃ?」

「ホントだって、私は…別に…」

「でも…笠原君って意外とモテるんかなぁ?…私には近寄りがたい感じがして」

「そのイメージは合ってるかなぁ…根暗な感じ?」

「そうそう、強面じゃないのに…裏では怖そうというか…」


…言いたい放題だな

メイドでその発言の方が怖く感じるが…



「晋吾ナイシュー!」


決勝戦が始まった

一進一退の攻防が続く

ゴリラを中心に得点を稼ぐ樹のクラスに対し、全員でパスを繋ぎ得点を稼ぐ薫のクラス

だが、次第に薫のクラスの得点が増えて行く

というのも、ゴリラに対抗するマークを増やしてきたのだ


「んおっと!」

「っ…」


激しいプレーも相次ぎ、薫と樹が接触

小さい体の薫からは想像できないくらいのアタックに、樹も押され倒れてしまう


「薫様、なかなかやるだろ?」

「ふぅ…なかなかだな」


伸ばした薫の手を掴んで立ち上がる

なんか…この風景だけ見たら青春スポーツ漫画ど真ん中じゃないか


「あと3分で9点差…勝ったな」

「…どうかな」


樹の目つきが変わる

しかし、ごくごく自然過ぎて、親友の薫も気づけなかった


7…5…そして、1点差まで迫ってきた

うまくゴリラを走らせ、マークを外せたところで樹から絶妙なパスが繋がる

それをきっちりとゴリラは決めてくれた

このまま行けるか…しかし…


「うわ!?…ここでかぁ…」


ゴール前のプレーでファールを貰ってしまい、薫のクラスのフリースロー

1本目…外れ

2本目…またもや外れ、ホッとしたのも束の間、残り6秒

パスを受けたゴリラが、最後の望みと遠投でゴールを狙う

奇跡の動画何連発とかの番組でたまにあるよね

それが入って逆転勝ちっていうの

選手、観客のほとんどがこれが最後のプレーだと思った

1人の男を除いては…


ガッ!


弧を描いたボールは、無情にもリングに弾かれる

これで終わり…薫のクラスの全員は思った

みな、ボールを追ってもいない

しかし…その男…


スッ…ガシュ…ドン、トン、トト、トン…


アリウープ…というのをご存知だろうか

リングで弾かれたボールを、空中でキャッチし、そのままゴールを決める

この男、決めてみせたのだ


驚きの跳躍力でボールを掴み、一旦手首を後方に引いてから、ネット目指して押し込み、そして…リングを掴んでから着地

え…ダンク!?!?!?!?

あのNBAもびっくりするやろぉ!!!


ドン


樹が着地した音が体育館中に響く

そう、選手も観客も、驚きで会場中が静まり返ったのだ

しかし、それも一瞬

次の瞬間には…


うぉぉぉぉぉ!!!!!


歓声が響き渡る

地響きが起こりそうだ

ゴリラたちが樹に駆け寄り、バンバン頭を叩く

もちろん迷惑そうにしてるけど…その表情は…まんざらでもなさそうだ


「やられたよ」


整列し、解散してから薫が話しかけてくる

悔しそうな顔もしてるが、それ以上に清々してる感じだ


「お前…爪隠し過ぎだろ」

「…たまたま、いいボールが来ただけさ」

「またまた…ま、お疲れ様」

「ん…お疲れ」


お互い固い握手を交わす

青春してんな、お前ら

そんな2人の姿を、ポーッと眺めてる女子が2名いるぞ


もうすぐ、長かった4日間が終わる

壮大な締めくくりに、興奮はまだ冷めそうにない


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