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未定  作者: ちゅう
40/50

殺し屋

時間は前後しますが…



「紗希…なにかあったでしょ?」

「へっ?な、なんで?」


あれから、いつもの女子会に参加できない日が1ヶ月続いている

だって、開催場所はいつも決まって…

自分でまいた種だけど…


今はお昼休み

少し強引にあぁちゃんに誘われ学食へ

尋問?

取調べ?

そんな空気だ


「樹さんとなにかあったの?」

「い、いや、別に…」


言えない

言えるわけない

自分からあんなことしといてなんだけど…


「私、別に怒ってないよ?ただ、ちょっと寂しいかなって」

「えっ?」

「だって、友達に話せないこと、要は隠し事でしょ?それされてるって…いい気しないかなって」

「………」


そう…だよね

あぁちゃんは、私のこと思ってくれてるからこそそう言ってくれて…その優しい目で


「………」

「え、えっと、そのね…」



「手作り!?もう夫婦じゃん!」

「ち、違うっての!ホントたまたまで…」


やっぱ恥ずかし過ぎて、ご飯を食べに行ったことだけを話したのだ

ゴメンあぁちゃん…でも、今はこれで勘弁してぇ


「樹さんも大胆だなぁ」

「ホント…たまに直球で豪速球が来るから、私も避けられなくて」

「…それ…相手も脈ありなんじゃない?」

「んぉ!?…ご、ごほっ」


あ、危ない…うどんが鼻から出そうだった


「紗希大丈夫ぅ?」


わ、笑ってるならそこのティッシュを取って下さい


「あ、あぁちゃんも豪速球投げないでよぉ」

「ゴメンゴメン…でも、なんでもない相手にそこまでする?少なくても、悪い印象は持たれてないんじゃない?」

「そうだと…まぁ、嬉しいかな…」


ちょっとだけ、あの日のことがプレイバック

自然と口角が…抑えて抑えて…ふぅ〜


「じゃ、今日はいつも通りねぇ〜」

「へっ?え、ちょ、ちょっと待って!」


このいつも通りというのは、女子会のこと

足早に去って行くあぁちゃんに、私も何も言えず…後ろ姿がかっこいい…ってそうじゃないだろ!

…どうしよう



「…いらっしゃいませ」

「っぅぅぅ〜!!!」


やっぱいるんかぁい!

いるのかぁぁい!

思わず、心の中ではこてこての関西弁で叫んでしまう

と、とりあえずいつものボックス席へ


「あぁちゃん…帰っちゃダメ?」

「ん?ダァメ♡」


こんな可愛い顔してるのに、目が殺し屋だよぉ

うぅ…


「…ご注文は…いつも通り?」

「んっ!?」


き、気づかなかった

体に緊張が走る


「いつも通りでぇ…あ、樹さんの料理はメニューにならないんですかぁ?」

「ん?…俺の?」

「ん!?」


驚きであぁちゃんを見る

そこには、やっぱり殺し屋…いや、小悪魔の目が

てへって…可愛いけど、可愛いけど…可愛くない!


「生憎、マスターには敵わないんでね、店で出せるレベルまではまだまだ」

「ふ〜ん、残念…紗希も食べてみたくない?」

「わ、私っ!?」


やっぱり殺し屋だ

暗殺系の


「わ、私は、その…」

「… 俺のは趣味で、マスターは仕事だから…ここではマスターの美味しい料理を口にしてくれ…失礼します」

「………」


フォローしてくれたのかな?…ありがたやぁ


「樹さん…いい奴じゃん」

「へ?」

「今のって、マスターを思ってのことでしょ?」

「まぁ…そうだろうね」


カウンターの向こうで、珈琲の準備を始める樹さんを見る

マスターとのやりとりは少ないけど…それだけ阿吽の呼吸って奴なのかな


「…ここではってことは、家行けばおっけぇってこと?」

「ぶっ!」


あぁちゃんに耳元で囁かれ、思わず水を吹いてしまう


「あ、あぁちゃんあのね」

「ゴメンゴメン、今のは意地悪だったね」


その後、樹さんにテーブルを拭いてもらい、いつも通りの飲み物が運ばれ…ふぅ〜

樹さん…かぁ

最初は年上に見えて…今も同い年とは思えないから敬語だけど

信頼できるお兄ちゃんって言えばいいのかな

とりあえず…


「おかわりください」

「ん…」


………

って思った方、正解だと思います

だって、考え始めたらなんか恥ずかしくなっちゃうんだもん

なら…いつも通りが一番かなって


「ぅ…」


でも、やっぱり樹さんが見れない

カウンターを挟んで、2杯目の珈琲の準備をしている樹さん

ふぅ〜…冷静に、冷静に


「…風邪でも引いたか?」

「へっ?」

「顔…赤いから」


マ、マジですか!?

ってか、樹さんは私を見てるのね


「樹さん知らないんですかぁ?馬鹿は風邪引かないんですよ?」

「そっか…子供は風の子だしな…ん、お待たせ」


そう言って出された珈琲の横には、やっぱりガムシロ

う〜ん…これが子供ってことだろうか

大人の女性になるためには…よし!


「う…やっぱりにがぁい」


ブラック珈琲は飲み物じゃありません

薬味でしょ、こんなの


「…口直しに」


そう言って樹さんは、珈琲の横になにやら黒い三角形の物体を

えと…チョコレートケーキ?


「これ、初めてで…味の保証ができないから…ま、紗希ならいいかなって」

「………」


それって…どう、捉えればいいんでしょうか?

私だから…私だけ…気を使わず?…特別に?

樹さんはというと、おかわりを持ってあぁちゃん達のいるテーブルへ

えと…とりあえず…頂きます


「ん…美味しい」


素直な感想

後で調べたら、ザッハトルテっていう奴だったみたい

私の辞書にはなかった横文字だ


「…どうだ?」

「う〜ん…今ひとつ、かな」


カウンターに戻ってきた樹さんに、わかったような口で感想を

だって、素直に美味しいって言ったら…悔しいというか恥ずかしいというか…

まぁ完食しておいて言うセリフではないか…


「腹こわしたら…勘弁な」

「私だよ?全然問題ないよぉ」

「…ハンバーグで当たったかと、心配してたけど…大丈夫そうだな」

「へっ?」


わ、忘れてたのに…ここにきてまたあの光景が

一気に恥ずかしくなって…でも、急に目線逸らすのも不自然だから樹さんを見るしかなくて…


「…し、心配…して、くれてたんだ」

「ん?」

「ううん、なんでも…お、お手洗い借りるね」


そそくさと移動する

だって、このままあぁちゃん達のとこ戻れないし

一旦冷静に

さっきの言葉も、樹さんに聞かれてなくてよかった

ふぅ〜…


「…やっぱ赤いなぁ」


鏡に映った自分に一言

樹さんといると、なんでこんなにも感情の起伏が激しいんだろ…

これってやっぱり…いやいやないでしょ…樹さんはありだけど、私がないない…

…樹さんはあり?…ありぃ!?!?

今、私ありって思った!?

うそぉ!?

なんで?…でも、あり…か…ありだよ!

全然ありでしょ!

だって、あんなにカッコいいし…あんなに…


「…なにしてんだ?」

「わわっ!?び、ビックリしたぁ」


振り向けば、あぁちゃんがお手洗いの出入口に立っていた

ちょい呆れ顔?


「樹くんと、なに喋ってたの?」

「い、いや、別に…他愛もない話…だよ?」

「ふ〜ん」


うわ、思いっきり信じてませんって顔だ

だって、だって…


「樹くんってさ、フリーでしょ?…紗希のことはどうなんかね」

「ど、どうって…特にないでしょ、相変わらず私はお子ちゃまだし…できの悪い妹的な感じじゃない?」

「そうかなぁ」

「そうだよ…さ、席戻ろ?」


あぁちゃんの背中を押して促す

これ以上は、あぁちゃんに責められてボロが出るのがオチだからね

さて…ガムシロでいつもの自分に回復です

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