歩きスマホ
歩きスマホはやめましょう
って書かれた看板の前で歩きスマホ中です
いつもはそこまでスマホ依存じゃなくて…忘れても結構平気で…
「んふっ…」
思わずにやけてしまう
画面には、私と…
「おはぁ!!」
「わわっ」
急に背中から声をかけられ、慌ててスマホをしまう
りぃたん、来るなら来るって言ってよぉ
「あれ?今のってもしかしてぇ?」
「な、なな、なんでもないって!」
見られたか?…いや、大丈夫のはずだ
なんとなく…いや嬉しくて?…待ち受けにしちゃったけど…
「昨日はお疲れぇ…あの後どっか行った?」
「い、いや、別に…」
「あら…進展なし?」
「ぅん…特には…」
「意味しぃん…ま、紗希らしいか、応援はしてるよ」
「りぃたんも、積極的にねぇ」
「言われなくても!」
そう言って気合でも入れたのか、少し先に見えてたあぁちゃんのもとへ
なんか…男らしいぜ
ピロリン♫
「ダイレクトメール…ですね」
メールの受信音で再びスマホを手にする
好きな洋服ブランドからのセール情報だった
うん…可愛いのがいっぱいだ
メール画面を閉じ、ホーム画面に戻る
昨日までは近所のわんちゃんだったけど…
「たれ耳わんちゃん…可愛いな」
もったいないと思いつつ、美味しく頂きました♡
私と、たれ耳わんちゃんと、それから…笑顔…と言うには程遠いけど、穏やかな顔した男の子
ツーショット…お願いしちゃいました♡
「あ、あの…」
「ん?」
「き、記念に…写真、いい?」
「ん…いいぞ」
「え、えっと、じゃあ、隣に…」
「ん」
樹さんが隣に座る
肩と肩がぶつかるくらい近くに
大丈夫?…かな
ドキドキ…聞こえてたりして…
画面に映る2人と1匹
「もうちょっと近く…かな、入んない」
「ん」
ぐいっと寄ってくる
ドキドキ…もそうなんだけど…やっぱ、居心地がいいというか、安心できるというか…
「うん、いい感じ…ハイ、チーズ」
カシャ
お互い寄せ合って、まるで…
「紗希…今日ずっとニヤついてない?」
「ふぇ?そ、そう?」
時が経つのは早いもので、今日もいつものメンバーで女子会中
う〜ん…今日はいつも以上に早く感じたなぁ
授業の内容…全く頭に入ってないや(てへっ)
「そんなに昨日のデート楽しかった?」
「い、いや、そういうんじゃ…」
「あぁ!そっか昨日だっけ…で、どうだったの?」
あぁちゃんの好奇心に火がついてしまった
こうなるとちょっと厄介だったりして…
りぃたんも、いい感じに盛って話してくれるし…
「ふぅ〜…」
だいぶりぃたんが盛ってくれて、返答だけで疲れちゃって…一息一息
でも…今日は樹さんバイトじゃなくてよかった
いたら…絶対りぃたんが直接聞きにいってるだろうし
カウンターの向こうには…マスターだけ
少しだけ…寂しかったりして
「まったねぇ〜」
駅へと向かうりぃたん達を見送り、私は1人お家へ歩き出す
自然とスマホに手が伸びる
今日何回目だろうか…
ドンッ
「わわっ!」
「っと」
私が前をよく見てないせいで、人とぶつかってしまった
ちょうどスーパーの出入口の前
歩きスマホはやめましょう…その通りですね
「す、すすすいません!」
「…ちゃんと前見ろ、紗希」
「へっ?」
下げていた頭の上から、聞き慣れた声で名前を呼ばれる
見上げれば…
「い、樹さん!?…え、なんで、どうして?」
「そこまで驚くか?」
「へ?…あ、あぁ、まぁ…そう、だよね」
だ、だって…さっきまで、画面越しに見てたから…
まさか、会うなんて
「…お買い物ですか?」
見れば、樹さんは目の前のスーパーの買い物袋を持っていた
「ん…この時間安いから」
「しゅ、主婦みたい」
なんか意外かもぉ
まぁ、なんでも筒なくこなせそうではあるけど…
「1人暮らし…だからな」
「うそっ!?ホントに?」
「ん…この近くのマンションで」
「え…お母さんとお父さんは?」
「…海外」
「そっか…忙しい人なんですね」
大変だなぁって思った
でも、同時に違和感というか、空気が変わったというか…なんか樹さんから暗い感じが…
あ…いつものこと?(笑)
「私はムリだなぁ…掃除洗濯は面倒だし、料理も出来ないし」
「…紗希らしいな」
「でしょう…ってコラ」
思わずノリツッコミ
全く失礼な…しかし事実だから反論もできない
「今日のご飯は?」
「…ハンバーグ、かな」
「ハンバーグ!?」
奇遇にも私の大好物メニューではないか
あ、俄然ケチャップよりデミグラスソース派
なんなら煮込みハンバーグがベスト
って、作れない奴が何言ってるんだって感じですよねぇ、あははぁ
「我が家もハンバーグがいいなぁ…」
どうせ餃子だろうなぁ…
最近お母さんがハマっちゃって、冷凍ストックもできるからって
変わり種の餃子も出てきて…納豆は悲惨だった、ホント
「…食べるか?」
「え?」
「肉が余りそうで、どうしようかと思ってて」
「………」
街並みの喧騒が聞こえない
いつもはうるさいくらいなのに
高まる鼓動だけが聞こえていた




