ガムシロ(原液)
「うん、今日もあまぁい」
「いい加減コーヒー以外のもん頼めば?」
「この甘さがいいんだもん」
今日もみんなとぷち女子会
課題は鞄から出してもいないけどね
「今日はあの子来てるんだね」
そう言ってりぃたんがカウンターの方を指差す
前にも見た女の子
珈琲の練習って言ってたっけ
そんで樹さんの彼女さんでもないらしい
「彼女じゃないっていうけど…どうなんかねぇ」
「怪しいよねぇ」
りぃたん、あぁちゃんも一緒になってあーだこーだ言っている
奥様方の会話ってやつ?…もう予兆がこんなところで
…悲しいかな
「紗希も、モタモタしてると取られちゃうよぉ?」
「な、なんで私なのよ?」
「だって…この間は考えたことないなんて言ってたけど…嫌いなタイプではないでしょ?」
「まぁ…ねぇ」
そう言われれば…別に嫌いじゃないし、苦手だなぁとも思ったことないけど…
「…むしろ好き?」
「ぶっ!?」
あ、危うく珈琲を吹くとこだった
「な、なんでそうなんのよ?」
「だってぇ…紗希たんの恋を、少しでも応援しちゃうぞって思ってぇ」
「ブリっ子は似合わないよ」
「私の色仕掛けはダメだったしぃ」
「はいはい、巨乳でよろしいこと」
「このつまらない日常に刺激をぉ」
「りぃたんと一緒で毎日楽しいよ?」
「…ぶぅ」
あ、拗ねた
タコさん唇になって
「…よし!デートしよう」
「はぁ!?」
突然りぃたんはそう言ってきた
デート…って恋人同士がするもの…だよねぇ?
したことない私だってわかるよ?
「私とダブルデート」
「りぃたんだって彼氏いないじゃん」
「まぁ適当に誘うよ」
「えぇ!?」
「じゃ、善は急げって言うし」
そう言って、りぃたんは立ち上がり私の腕を引っ張っていく
「ちょ、ちょっと待ってよ」
「いいからいいから」
どんどんと、私の制止を聞かず樹さんのいるカウンターの方へ
い、樹さんとデートって…き、急になにを言い出したんだ
驚きで心臓が…
「りぃたん待ってって!」
「待たないよぉ…樹くん…だっけ?」
「ん…ご用ですか?」
結局、カウンターまで辿りついてしまった
お、おかしいでしょ…恋人でもないのに、い、樹さんと…で、デートって
…あぁ…自分でも顔が火照ってるのがわかるぅ…
「樹くん、今週末もここでバイト?」
「ん…日曜はなにも予定ないけど」
「やった!…紗希とデートしない?」
「っ!!??」×2
そう言いながら私の肩に手を置く
り、りぃたん、直球過ぎるって
樹さんだって迷惑だろうし…
隣の子も驚いて…驚いて?
「…紗希と?」
「そ…不満?」
「り、りぃたん、あのね!」
樹さんがきょとんって感じで私を見る
み、見ないでぇ…
めちゃくちゃ恥ずかしいからぁ…
「い、樹さん、真面目に受けなくていいですからね、りぃたんがふざけて、その…」
必死に言葉をつなぐ
なにか言わないと…
「…構わないが?」
「ふぇ?」
自分でももの凄く間抜けな返事だったと思う
思いもよらない言葉が聞こえてしまったからだ
え、えぇっと…い、今なんておっしゃいましたでしょうかぁ…
か、かまわない…カマワナイ…釜はない?…
「…俺なんかでいいなら」
「………」
えっと…それはつまり…つまるところ…肯定の言葉で…おっけぇってこと…ホッケ?
…ボンっ
「樹くんありがとねぇ、じゃ、後で連絡するねぇ」
この後のことは…あまり覚えていない
多分、頭ん中真っ白で、がっちがちに固まってて、オーバーヒートしてて…
ガムシロ原液何本で復活できるだろうか




