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最強チートで無双してるのに、美人で可愛くてスタイル抜群な三人のヒロインから“キモいセクハラ野郎”と罵られ続ける俺の異世界冒険記  作者: トワイライト
第2章 海の街セレナ・マール編――ヒロイン三人とわちゃわちゃ・いちゃいちゃ冒険

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第50話 カナタ初の罰ゲーム、そして甘いケーキタイム

 レース結果の画面を見て、エステルが勢いよく立ち上がった。


「勝ったぁ!」


 金髪を揺らしながら両手を上げ、まるで本当に大会で優勝したかのような大喜びだ。その隣でリヴィアはモニターを見つめたまま、小さく息を吐く。


「……悪くない結果ね」


 声はいつも通り落ち着いているが、わずかに満足そうだった。一方、セラフィナは画面の順位表示を見つめたまま肩を落としている。


「……六位でした」


 静かに呟き、少しだけしょんぼりした様子だ。


 そんな二人をよそに、エステルはすでに次のことを考えていた。


「さてと」


 にやりと笑いながらカナタとセラフィナを見る。


「罰ゲーム、どうする?」


 その目は完全に獲物を見る目だった。カナタは腕を組みながら肩をすくめる。


「好きに決めていいぞ、勝者様」


 するとエステルは腕を組み、少し考える仕草をしたあと、ぱっと顔を上げた。


「決めた!」


 そしてカナタを指差す。


「一発蹴る!」


 元気よく宣言する。


 カナタは一瞬だけ黙り、すぐに言った。


「それセラフィナにも同じことするんだよ?」


 エステルの動きがぴたりと止まる。


 ゆっくりと視線が横へ動いた。


 そこにはセラフィナがいる。


 セラフィナは静かにエステルを見つめ返していた。


 数秒の沈黙。


「……やめとく」


 エステルはあっさりと提案を撤回した。


 その様子を見ていたリヴィアが、淡々と言う。


「靴磨き」


 短く、簡潔な提案だった。


 だがエステルはすぐに顔をしかめる。


「そんな弱い罰ゲームじゃだめ!」


 腕をぶんぶん振りながら強く否定する。


「もっとこう、ちゃんと罰ゲームって感じのやつじゃないと意味ないじゃない!」


 そう言って再び腕を組み、しばらく考え込む。


 だがその横で、リヴィアが静かに口を開いた。


「……いい考えがあるわ」


 エステルがそちらを向く。


 リヴィアは表情をほとんど変えないまま、淡々と続けた。


 その声は落ち着いていたが、どこか少しだけ意地の悪い響きがあった。


 四人は馬車の玄関へ移動し、靴を履き替える場所に並んで腰を下ろすと、エステルが腕を組みながら満足そうに笑う。

 

 罰ゲームの内容はすでに決まっていた。カナタはエステルの靴を磨き、セラフィナはリヴィアの靴を磨く。それが今回の罰ゲームだ。


「ちゃんと磨きなさいよ」


 エステルは玄関に座り、自分の靴をカナタの前へ差し出しながら言う。


「手抜いたら後ろから蹴るわよ!」


 楽しそうな声だった。完全に勝者の態度である。


 カナタは小さくため息をつく。


「はいはい……」


 そう言いながらエステルの靴を手に取り、仕方なく磨き始めた。布で表面をこすりながらぶつぶつ文句を言うが、エステルはまったく気にしていない。むしろ面白そうに眺めている。


 一方、セラフィナもリヴィアの前にしゃがみ込み、靴を手に取ろうとした。


 しかしその時だった。


「私のはもういいわ」


 リヴィアが静かに言い、手で軽く止める。


 セラフィナは少し驚いた顔になる。


「え、やらなくていいんですか?」


「必要ないわ」


 リヴィアは淡々と言い、セラフィナが触れようとしていた靴を軽く手で引き寄せた。


 それを見たカナタがすぐに声を上げる。


「ずるいだろ!」


 エステルの靴を磨きながら抗議する。


「なんで俺だけ働いてんだよ」


 するとエステルが勢いよく振り向いた。


「何手止めてんのよ!」


 怒鳴り声が玄関に響く。


「さっさと磨きなさい!」


 そう言いながらカナタの背中を軽く蹴るふりをする。


 カナタは慌てて手を動かした。


「分かった、磨いてるって!」


 布で靴をこすりながら文句を続ける。


「というかなんで俺だけ本気でやらされてんだよ……」


 しかしエステルは楽しそうに笑うだけだった。


「ほら、もっと丁寧に! そこ汚れてる!」


 完全に命令口調である。


 カナタが渋い顔をしながら靴を磨き続ける横で、エステルは腕を組んだまま満足そうにその様子を眺めていた。


 まるで自分専属の使用人でも手に入れたかのような態度で、時々わざと難癖をつけてはカナタをいびる。その様子は、見ているだけでもかなり楽しそうだった。


 * * *


 罰ゲームが終わり、四人は再びリビングへ戻ってきた。ソファや椅子にそれぞれ腰を下ろし、しばらく何もせずに一息つく。


 さっきまでの騒がしさが少しだけ落ち着き、部屋の中には穏やかな空気が流れていた。


 その沈黙を破ったのはカナタだった。


「ひどい目にあった」


 背もたれに体を預けながら、心底疲れたように言う。


 するとエステルが即座に反応した。


「何がひどい目よ!」


 腕を組んでカナタを睨む。


「こっちは膝枕だったり添い寝だったり着替えだったり!」


 指を折りながら数え始める。


「あの程度の罰ゲームじゃ物足りないわ!」


 完全に不満そうな顔だった。


 カナタは呆れたようにため息をつく。


「いやいや、普通に考えて靴磨きは十分罰ゲームだろ」


 そう言いながら自分の手を見る。さっきまで靴を磨いていたせいで、指先には少しだけ黒い汚れが残っていた。


 だがエステルはまったく納得していない。


「それに今回はセラフィナのおかげでこの程度で済んだのよ」


 そう言って隣のセラフィナを顎で示す。


「セラフィナに感謝しなさいよね」


 その言葉に、セラフィナは少し得意そうに頷いた。


「そうですよ」


 当然のような口調で言う。


 だがカナタは小さく肩をすくめる。


「いや、もとはといえばセラフィナがあんな順位を取らなければ……」


 ぼそっと小声で言う。


 その瞬間、セラフィナの視線がゆっくりとカナタへ向いた。


「なにか言いましたか?」


 穏やかな声だった。だが妙に圧がある。


 カナタは一瞬固まる。


 数秒の沈黙。


「いや……」


 短くそう言って、そっと視線を逸らした。


 罰ゲームの騒ぎが一段落し、四人はリビングでのんびりとくつろいでいた。ソファに座ったまま静かな時間が流れる。そんな中、ふとカナタが立ち上がった。


「ちょっと腹減ったし、おやつでも食べよっと」


 そう言いながら手を軽く振ると、テーブルの上に皿が一つ現れる。そこにはふわふわのスポンジに白いクリームが乗ったケーキが一つだけ置かれていた。


 カナタはそのままフォークを手に取り、当然のように食べ始める。


 その様子を見ていた三人の視線が一斉に集まった。


「私たちの分は?」


 エステルが不満そうに言う。


 カナタはフォークを口に運びながら、わざとらしく肩をすくめた。


「罰ゲームでいじめられたしなー」


 わざと意地の悪い声で言う。


 するとエステルがすぐに身を乗り出した。


「それはひどいわよ!」


 勢いよく抗議する。


「罰ゲームのこと持ち出すなんて最低ね!」


 かなり本気で怒っている顔だった。


 カナタはケーキを一口食べながら、三人の顔を順番に見る。


 エステルは腕を組んで睨んでいるし、セラフィナは少し不満そうにこちらを見ている。リヴィアは表情こそ変わらないが、視線だけが静かにカナタへ向いていた。


 その三人分の圧に、カナタは小さくため息をつく。


「分かったよ、みんなの分も出す」


 そう言って手を振ると、テーブルの上にケーキが三つ追加で現れた。


 エステルの顔が一瞬で明るくなる。


「私リンゴジュース!」


 すぐに注文してくる。


 カナタは呆れたように肩をすくめた。


「はいはい」


 軽く指を鳴らすと、今度はコップに入ったリンゴジュースがテーブルの上に現れた。


 テーブルの上に並んだケーキを前に、四人はそれぞれフォークを手に取った。甘い香りがふわりと広がり、それだけで少し幸せな気分になる。


 エステルはさっそくフォークを突き刺した。


「いただきます!」


 勢いよく一口食べる。


「んー! 美味しい!」


 満足そうに頬を緩めながら、すぐに次の一口へ進む。リヴィアも静かにフォークを動かしていた。


 派手な反応はないが、特に文句を言う様子もなく、淡々と食べているところを見ると味には満足しているらしい。


 そして一番分かりやすかったのはセラフィナだった。


 フォークでケーキをすくい、小さく口に運ぶ。


「おいしい……」


 その瞬間、目がぱっと輝いた。まるで宝石でも見つけたかのような顔で、嬉しそうにもう一口食べる。どうやらかなり甘いものが好きらしい。


 その様子を見ていたカナタが、ふっと笑った。


「こういうとき一番年下って感じがして可愛いな」


 軽い調子で言う。


 するとセラフィナがすぐに顔を上げた。


「可愛いと思うならもう一つ出してください」


 真顔で言う。


 カナタは思わず苦笑した。


 その横でエステルもすぐに乗ってくる。


「そうよ! いつも一個しか出さないのはひどい!」


 フォークを振りながら抗議する。


 カナタは呆れたように肩をすくめた。


「そんなにケーキばっか食べてたら太るぞ」


 その言葉にエステルが即座に反応する。


「太らないわ!」


 勢いよく言い返す。


 すると今まで静かに食べていたリヴィアが、小さく口を開いた。


「私ももう一つほしい」


 とても落ち着いた声だった。


 カナタは一瞬だけ黙る。


 三人の視線が同時に向けられていた。


 数秒の沈黙。


 カナタは小さくため息をつく。


「……じゃあ今日だけな」


 そう言って手を軽く振ると、テーブルの上にもう三つケーキが現れる。


「やった!」


 エステルがすぐに声を上げた。


 セラフィナも嬉しそうに頷き、リヴィアもわずかに表情を緩めた。

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