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最強チートで無双してるのに、美人で可愛くてスタイル抜群な三人のヒロインから“キモいセクハラ野郎”と罵られ続ける俺の異世界冒険記  作者: トワイライト
第2章 海の街セレナ・マール編――ヒロイン三人とわちゃわちゃ・いちゃいちゃ冒険

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第48話 突然の大雨、急遽始まるマリ◯カート

 朝。


 カナタの寝室には、まだ柔らかな朝の光が差し込んでいた。カナタはゆっくりと目を開け、しばらくぼんやりと天井を見つめる。昨日はいろいろあったが、思ったよりぐっすり眠れたらしい。


 ふと横を見る。


 隣にはリヴィアがいた。


 まだ眠っている。


 長い黒髪が枕の上に広がり、いつものきっちりと整った姿とは違い、少しだけ無防備な雰囲気だった。普段は冷たい印象の整った顔立ちも、眠っている間だけはわずかに柔らかく見える。


 カナタはしばらくその顔を眺めた。


「これ、ずっと眺めてられるな」


 小さく呟く。


 特にやることもないので、そのまま静かに寝顔を見続ける。呼吸に合わせて胸がゆっくり上下し、まつ毛がわずかに震える。昨日はあれだけ警戒していたのに、結局普通に眠ってしまったらしい。


 数分ほど経った頃だった。


 リヴィアのまぶたがゆっくりと動く。


 やがて目が開いた。


 そして――


 カナタと目が合う。


 数秒、沈黙。


 リヴィアは一瞬だけ固まり、それから眉をわずかにひそめた。


「……あんたいつから見てたのよ」


 寝起きとは思えないほど冷静な声だった。


 カナタは特に悪びれる様子もなく答える。


「数分前くらい?」


 リヴィアはじっとカナタを見つめ、それから小さく息を吐いた。


「そんなことして楽しいの?」


 呆れたような声音だった。


 カナタは枕に頭を乗せたまま肩をすくめる。


「普通に思ってた。ほんと美人だなって」


 あまりにも自然な言い方だった。


 リヴィアは一瞬だけ言葉を止め、それから深いため息をつく。


「はぁ……」


 ゆっくりと上半身を起こし、乱れた髪を軽く整える。


「これで罰ゲームは終わりね」


 はっきりとした口調だった。


 カナタは少し笑う。


「楽しかった?」


 リヴィアは迷いなく即答する。


「全然。寝不足よ」


 冷たい言葉だったが、昨日のような殺気はない。


 カナタは小さく笑いながら天井を見上げた。


 朝食を終えたあと、四人は馬車のリビングでのんびりとした時間を過ごしていた。


 テーブルの上にはまだ湯気の残る茶器が置かれ、窓の外にはゆったりと流れていく景色が広がっている。馬車は順調に街道を進み、揺れも穏やかだった。


 窓の外を見ると、遠くの空の色が少しずつ変わってきている。海に近づいているのか、風の匂いもどこか湿ったような気配が混じっていた。


「だいぶ進んできたわね」


 エステルが窓の外を眺めながら言うと、リヴィアも視線を外へ向けた。


「この調子なら、予定通りには着きそうね」


 セラフィナは静かに頷きながらお茶を一口飲む。


「海の街、楽しみですね。私は海を見るのが久しぶりです」


 穏やかな雑談が続く。馬車の中にはゆったりとした空気が流れていた。


 その時だった。


 窓に、小さな水滴が落ちる。


 ぽつ。


 もう一つ。


 そして、ぽつぽつと数が増えていく。


 カナタが窓の外を見る。


「雨か」


 最初は小雨だった。だが次の瞬間、空が一気に暗くなり、雨粒の数が急激に増える。


 ぱらぱらという音はすぐに変わった。


 ばらばらばら、と屋根を叩く音。


 あっという間に本降りになった。


 エステルが窓に顔を近づける。


「ちょっと、これ結構強くない?」


 外はすでに白く煙るほどの雨になっていた。街道もぼんやりとしか見えない。


 セラフィナも窓の外を確認する。


「視界も悪くなっていますね」


 雨脚はさらに強くなる。馬車の屋根を叩く音が、はっきりと響いていた。


 リヴィアが冷静な声で言う。


「馬車止めた方がいいかも」


 その言葉にカナタも頷く。


「だな」


 そう思った次の瞬間だった。


 馬車がゆっくりと減速し、そのまま静かに停止する。


 窓の外を見ると、馬車を引いていたストームホースが足を止めていた。銀色の体毛が雨の中で淡く光り、その輪郭がゆっくりと崩れていく。


 次の瞬間、体はさらさらと光の粒子になって崩れ、風に流れるように空へ溶けていった。


 外では、激しい雨が降り続けている。


 カナタは背もたれに体を預けながら言った。


「雨が止むまでここで待機だな」


 セラフィナはその様子を見て、ふっと柔らかく笑う。


「これも旅の醍醐味ですね」


 * * *


 外では、相変わらず激しい雨が降り続いていた。屋根を叩く雨音が絶えず響き、窓の外は白く煙るような雨景色になっている。


 馬車の中は安全で静かだが、さすがにやることがない時間が続くと退屈になってくる。


 しばらくして、ソファにだらりと寝転んでいたエステルがついに声を上げた。


「暇ー!」


 勢いよく体を起こし、そのままカナタの方を向く。


「ねえカナタ、なんか暇つぶせるゲーム出してよ」


 いかにも当然という顔だった。


 カナタは少しだけ考えるように顎に手を当てる。


「そうだなー……」


 数秒だけ考え、それから軽く手を振った。


 次の瞬間、何もない空間から物が現れる。


 まず一つ。


 黒い本体。


 続いてゲームソフト。


 そして少し大きめの平たい箱。


 テーブルの上に並んだのは――Swi◯ch2、マリ◯カート、そしてモニターだった。


 三人は一瞬、完全に固まる。


 ぽかんとした表情で、その光景を見つめていた。


 エステルがゆっくり口を開く。


「……なにそれ」


 カナタは気にした様子もなく答える。


「まあ見た方が早いから、ちょっと待ってて」


 そう言って準備を始めた。


 まずモニターをテーブルの上に設置し、本体をその横に置く。ケーブルを接続し、慣れた手つきで電源を入れる。


 ぱち、と小さな音がして画面が光った。


 黒い画面が一瞬だけ明るくなり、色鮮やかな映像が映し出される。


 三人の視線が一斉に画面へ向いた。


 エステルが思わず身を乗り出す。


「なにこれ!?」


 驚きで目を丸くしている。


 セラフィナも興味深そうに画面を見つめた。


「魔道具……ですか?」


 その反応にカナタは少し笑う。


「まあそんな感じ。これはゲーム機ってやつ」


 カナタはテーブルの前にコントローラーを並べながら、簡単に説明を始めた。


「ルールは簡単。カートに乗ってレースをするゲーム」


 三人はモニターをじっと見つめている。


「操作はこのスティックで方向、こっちがアクセル。アイテムを拾うと相手の邪魔とかできる」


 画面には色鮮やかなコースとキャラクターが映し出されていた。魔法世界では見たことのない映像に、三人ともかなり興味を引かれている様子だった。


 エステルが身を乗り出す。


「こんなものもあるのね!」


 目を輝かせながら言う。


「早くやろうよ!」


 完全に乗り気だった。


 カナタは笑いながらメニュー画面を操作する。


「まあまあ、まずキャラ選んで」


 画面にずらりとキャラクターが並ぶ。


 三人は揃ってモニターに顔を近づけた。


 エステルが首を傾げる。


「これ何が違うの?」


 真剣な顔でキャラを見比べている。


 カナタは肩をすくめる。


「最初は見た目で決めればいいと思う」


 その言葉を聞いて、三人は改めてキャラクターを見始めた。


 最初に決めたのはリヴィアだった。


「私はこれにするわ」


 迷いなく選んだのは、小さなキノコ頭のキャラクター、キノ◯オ。


 カナタは少し意外そうな顔をする。


「へえ、それなんだ」


 リヴィアは淡々と答える。


「小さい方が軽そうだから」


 理屈だった。


 次にセラフィナが控えめに手を挙げる。


「私はこれにします」


 彼女が選んだのは、黄色の小さなキャラクター、ベ◯ビーデイジー。


 セラフィナは少し嬉しそうに微笑む。


「可愛いですね」


 そしてエステル。


 キャラクター一覧をじっと見ていたが、突然指を止めた。


「こいつ強そうだからこれにする!」


 画面に表示されたのは巨大な亀の王様、ク◯パ。


 カナタは思わず笑う。


「いかにもエステルって感じだな」


「なによそれ!」


 エステルは少し不満そうに言い返す。


 最後にカナタがキャラを選ぶ。


「じゃあ俺これ」


 選んだのは、仮面をつけた小柄なキャラクター、ヘ◯ホー。


 こうして四人のキャラが決まる。


 キャラクター選択が終わると、画面はすぐにレース画面へ切り替わった。色鮮やかなコースが映し出され、四台のカートがスタートラインに並ぶ。


 ヒロイン達はコントローラーを握りながら、まだ少し戸惑った様子だった。


「これ本当に動くの?」


 エステルが半信半疑の顔でスティックを触る。


「動きますよ、たぶん」


 セラフィナも慎重にボタンを確認している。


 リヴィアだけは真剣な表情で画面を見つめていた。


 その時、レースのカウントダウンが始まる。


 3。


 2。


 1。


 スタート。


 次の瞬間、カナタのカートが勢いよく飛び出した。


 一気に加速し、他のカートを置き去りにする。


 一方、ヒロイン達のカートは普通にスタートするだけだった。


 エステルが画面を見て目を見開く。


「え!?なんで!?」


 セラフィナも慌てた声を出す。


「もう前に行ってます!」


 リヴィアが小さく呟く。


「速い……」


 画面ではすでにカナタのカートが先頭を走っていた。


 カナタは余裕の表情で笑う。


「勝負はもう始まってるよ」


 その言葉を聞いた瞬間、三人は慌てて操作を始めた。だが慣れないコントローラーのせいで動きは完全にぐちゃぐちゃだった。


 エステルのク◯パは壁にぶつかる。


 セラフィナのベ◯ビーデイジーはコースの端に引っかかる。


 リヴィアのキノ◯オはなぜか逆方向へ進みかけて慌てて戻る。


 エステルが叫ぶ。


「ちょっとこれ難しい!」


 カナタは前を走りながらちらりと横の画面を見る。三台のカートがコース上で混乱している様子を見て、思わず笑った。


 雨で止まった旅の時間。


 だがその馬車の中では、思いがけないゲームが始まっていた。

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