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最強チートで無双してるのに、美人で可愛くてスタイル抜群な三人のヒロインから“キモいセクハラ野郎”と罵られ続ける俺の異世界冒険記  作者: トワイライト
第2章 海の街セレナ・マール編――ヒロイン三人とわちゃわちゃ・いちゃいちゃ冒険

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第45話 Aランク武器プレゼント――ダンジョン攻略のご褒美とハンバーグ

 ボス部屋の中央には、先ほど現れた宝箱がまだ静かに置かれていた。ミノタウロスを倒したあと、四人はその場でしばらく戦利品を確認していた。


 リヴィアは手にしたばかりの剣――ヴァルクス・ブレードを見つめる。だが彼女はふと視線を下げ、少しだけ申し訳なさそうな表情になる。


「私だけでごめんね」


 その言葉に、エステルがすぐ手を振り、あっさりと笑う。


「全然いいのよ! ダンジョンなんてこれからいくらでも行くんだし!」


 セラフィナも穏やかに頷いた。


「これから他のダンジョンもどんどん攻略していきましょう」


 三人の空気はむしろ明るい。装備を独占したという雰囲気はまったくなく、普通に次の冒険の話をしている。


 その様子を横で見ていたカナタは、少しだけ目を細めた。


(いいパーティだな)


 思わずそんなことを考える。ギスギスした雰囲気がないのは、見ていて気持ちがいい。


 そして次の瞬間、カナタが何気なく言った。


「じゃあ二人にも武器あげるか」


 三人の視線が一斉にカナタへ向く。


「……は?」


 エステルが思わず声を漏らす。


 カナタは特に気にした様子もなく手を軽く掲げた。すると空中に淡い光が集まり始める。魔力の粒子が渦を巻くように集まり、ゆっくりと形を作っていく。


 やがて光は二つの武器へと姿を変えた。


 一つは、細い装飾が施された魔法杖。先端には赤い宝石がはめ込まれており、魔力の波が静かに揺れている。


 もう一つは、銀色の装飾が刻まれた聖杖。柔らかな光を放ち、触れるだけで癒しの気配が感じられた。


 エステル用の魔法武器。


 セラフィナ用の回復武器。


 どちらも、明らかにただの武器ではない。


 カナタが軽く言う。


「Aランクくらいでいいだろ」


 二人はしばらく固まっていた。


 エステルが恐る恐る杖を手に取る。


「これ……ほんとにいいの?」


 セラフィナも驚きを隠せない様子で武器を見つめた。


「Aランクの武器って……一億Gぐらいするんですよ」


 カナタはあっさりと肩をすくめる。


「いいよ、みんなが喜ぶなら」


 その瞬間、エステルは慌てて杖を抱きしめた。


「返せって言っても絶対返さないからね!」


 カナタは思わず笑う。


 その横でセラフィナが小さく苦笑した。


「本当に不思議な人ですね」


 三人の手には、それぞれ新しい武器が握られていた。


 * * *


 ヴァルクス・ダンジョンを出ると、森の空気が一気に体へ流れ込んできた。


 ひんやりとしたダンジョンの空気とは違い、外の空気はどこか柔らかい。四人はその場で軽く息を吐き、戦いの緊張を解くように肩の力を抜いた。


 エステルが両腕を伸ばしながら大きく息をつく。


「はあ……疲れた」


 セラフィナも小さく笑う。


「でもダンジョンを初めて攻略できてよかったです」


 リヴィアは森の奥をちらりと見ながら頷いた。


「いい経験になったわね」


 その三人の様子を見て、カナタが腕を組んで得意げに言う。


「俺のおかげだな」


 するとエステルがすぐに顔をしかめた。


「否定できないのがムカつく!」


 リヴィアも小さく息を吐く。


「……黙ってればいいのに」


 そんな軽口を交わしながら、四人は森の中に停めてある馬車の方へ歩いていく。


 エステルは扉を閉めると、そのまま肩を回しながら言う。


「とりあえず私たち先に風呂に入るわ」


 リヴィアも頷く。


「汗も流したいしね」


 セラフィナも同意する。


「戦闘のあとですし、さっぱりしたいです」


 三人は自然な流れで浴室の方へ歩き出した。


 その後ろを、カナタも何の疑問もなくついていく。


「じゃあ俺も」


 次の瞬間だった。


 三人が同時に振り返る。


「付いてくんな!」


 声がぴったり揃った。


 カナタは一瞬止まる。


「え?」


 だがその間にも、エステルが扉を押し開け、二人を中へ押し込む。


「はいここまで!」


 ばたん、と勢いよく扉が閉まった。


 カナタはその前に一人取り残される。


 しばらく扉を見つめたあと、小さく肩をすくめた。


「……ひどくない?」


 しばらくして、浴室の扉が開いた。温かい湯気とともに、三人がリビングへ戻ってくる。風呂上がりの髪はまだ少し濡れており、体からは湯の温もりが残っていた。


 三人はそのままソファーや椅子へ倒れ込むように座る。


 エステルはソファーにぐったりと体を預け、天井を見上げたまま力なく手を上げる。


「カナター、お腹すいた」


 その声にセラフィナも同意するように頷く。


「私もペコペコです」


 リヴィアも椅子の背もたれにもたれながら静かに言った。


「私も」


 三人とも完全に脱力している。風呂で疲れが抜けたせいか、戦闘の緊張が一気に抜けたようだった。


 その様子を見ていたカナタが立ち上がる。


「じゃあ今日はハンバーグ作るか」


 その言葉にセラフィナが首を傾げた。


「ハンバーグってなんですか?」


 カナタはキッチンへ向かいながら答える。


「肉料理だな」


 それを聞いたセラフィナは少し興味を持ったようだった。


 カナタが振り返る。


「セラフィナも一緒に作る?」


 セラフィナは少し考えてから頷いた。


「せっかくですし、やってみます」


 そう言って立ち上がる。


 するとカナタは気軽な調子で言った。


「リヴィアとエステルは休憩してていいよ」


 次の瞬間、エステルが勢いよく体を起こした。


「ちょっと待って!」


 リヴィアも腕を組んでカナタを睨む。


「戦力外扱いね」


 二人の視線がじっとカナタへ向く。


 どうやら、まったく納得していない様子だった。


 キッチンへ移動すると、カナタは作業台の前に立った。横ではセラフィナが落ち着いた様子でキッチンの周囲を見回している。


 カナタは軽く手を振り、インベントリを開く。すると空間から食材が次々と取り出され、作業台の上に並んでいった。肉、玉ねぎ、パン粉、卵、調味料など、必要な材料が一通りそろう。


 セラフィナが目を丸くした。


「本当に便利ですね」


 カナタは軽く笑う。


「まあな、料理する時は特に助かる」


 そう言いながら肉の塊を取り出し、包丁の代わりに手をかざす。すると肉は一瞬で細かく砕け、あっという間にひき肉の状態になった。


「本当に何でもできますね」


 カナタは肩をすくめる。


「便利能力ってやつだ」


 そこからは普通の料理だった。カナタが玉ねぎを刻み、セラフィナがボウルにひき肉を入れる。そこへ刻んだ玉ねぎ、パン粉、卵を加え、手でしっかりと混ぜていく。


 セラフィナは真剣な顔で材料をこねていた。


「こうですか?」


「もう少し強く混ぜていい」


 言われた通りにこねると、肉の塊がしっかりまとまっていく。


 カナタはそれをいくつかに分け、手のひらで形を整えた。


「こんな感じで丸くする」


 セラフィナも見よう見まねで形を作る。少し不格好ではあるが、本人はかなり真剣だった。


「意外と難しいですね」


 カナタはフライパンを火にかける。


 温まったところへ、形を整えた肉を並べた。


 じゅうう、と音が広がる。


 焼ける音とともに、肉の香ばしい匂いがキッチンいっぱいに広がっていった。


 その匂いはリビングの方まで届いたらしい。


 ソファーにいたエステルの声が聞こえてくる。


「なにこの匂い!」


 続いてリヴィアの声も聞こえた。


「……すごくいい匂いね」


 どうやら二人とも、完全に反応しているようだった。


 しばらくして、フライパンから香ばしい匂いが立ち上った。


 カナタは焼き上がったハンバーグを皿へ盛り付け、テーブルへ運んでいく。丸く整えられた肉は表面がこんがりと焼けており、切れ目からは肉汁がじゅわりと滲んでいた。


 それを見たセラフィナが目を輝かせる。


「美味しそうです」


 その言葉と同時に、リヴィアがそっとテーブルへ近づいてきた。皿の上のハンバーグをじっと見つめ、誰にも気づかれないように小さな欠片をつまみ上げる。


 ぱくり、と口へ入れた。


 その瞬間だった。


 後ろからエステルの声が飛ぶ。


「リヴィア何してるのよ!」


 リヴィアは一瞬だけ動きを止めるが、すぐに何事もなかったかのように咀嚼する。


「……味見よ」


 エステルは呆れた顔になる。


「勝手に食べないでよ!」


 その横でカナタは特に気にした様子もなく、キッチンから茶碗と椀を運んできた。炊き立ての白い米と、湯気の立つ味噌汁が次々とテーブルに並べられる。


 料理がすべてそろうと、四人は自然と席についた。


 エステルは待ちきれない様子でフォークを手に取る。


「いただきます!」


 そう言って勢いよくハンバーグを切り分け、一口食べた。


 次の瞬間、目を見開く。


「なにこれ!めちゃくちゃ美味しい!」


 肉の旨味が口いっぱいに広がる。外は香ばしく、中はふっくらとしていて、噛むたびに肉汁が溢れてくる。


 セラフィナも一口食べ、思わず表情をほころばせた。


「本当ですね……とても美味しいです」


 リヴィアも静かにフォークを動かし、ハンバーグを口へ運ぶ。しばらく無言で味わったあと、小さく呟いた。


「……悪くないわ」


 その言葉にエステルが笑う。


「さっき勝手に食べてたくせに!」


 リヴィアは特に気にした様子もなく、黙々と食事を続けていた。


 テーブルの上には笑い声が広がり、ダンジョン攻略の疲れを忘れるような、賑やかな夕食の時間がゆっくりと流れていった。

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