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最強チートで無双してるのに、美人で可愛くてスタイル抜群な三人のヒロインから“キモいセクハラ野郎”と罵られ続ける俺の異世界冒険記  作者: トワイライト
第2章 海の街セレナ・マール編――ヒロイン三人とわちゃわちゃ・いちゃいちゃ冒険

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第38話 魔力の滝ルミナフォール――水遊びと川魚の串焼き

 街道の森を抜ける風が、馬車の外を静かに流れていく。


 ストームホースが引く馬車は、滑るように森の道を進んでいた。


 エステルは窓際に立ち、外の景色を楽しそうに眺めている。


「森ってこんなに広いのね!」


 嬉しそうに言いながらガラス越しに外を覗き込む。


 リヴィアは長椅子に座ったまま腕を組み、静かに景色を見ていた。


「道は順調ね」


 短く言いながら視線を街道へ向ける。


 セラフィナは背もたれに軽く体を預け、穏やかな表情で外を眺めていた。


「とても静かですね」


 そんな穏やかな時間の中で、カナタは長椅子に寝転ぶように座り、天井を見上げて軽く伸びをする。


「楽でいいけど、ちょっと暇だな」


 ぼそりと呟く。


 その言葉を聞いたエステルが振り返る。


「贅沢なこと言わないでよ、こんな快適な旅はそうそうないわよ」


 カナタは肩をすくめると、ふっと視線を宙へ向けた。


 次の瞬間、目の前に半透明のウィンドウがふわりと浮かび上がる。


 カナタのチート能力による情報検索だった。


 現在地周辺の情報が一覧で表示され、森の地形や街道、いくつかの地点名が並んでいく。


 その中で、カナタの視線が一つの名前で止まった。


「ルミナフォール?」


 小さく呟く。


 ウィンドウに詳細情報が表示される。


 【DATA】

 ▷名称:ルミナフォール

 ▷区分:自然スポット

 ▷特徴:森の中にある小さな滝

 ▷備考:高い魔力を含む水が流れる場所


 カナタは少しだけ口元を上げた。


「面白そうじゃん」


 そう言いながらウィンドウを閉じると、三人の方へ視線を向ける。


「少し寄り道になるけど、行ってみない?」


 エステルがすぐに反応した。


「滝?」


 興味を引かれた様子で聞き返す。


 リヴィアも腕を組んだままカナタを見る。


「遠いの?」


「いや、ちょっと森の中に入るくらいだな」


 カナタが軽く答えると、セラフィナが小さく微笑んだ。


「滝なら綺麗そうですね」


 エステルはすでに窓の外を見ながら楽しそうな顔をしている。


「行こうよ!」


 即決だった。


 リヴィアは小さく息をつきながらも頷く。


「問題ないわ」


 カナタは満足そうに笑う。


「よし、じゃあ寄り道決定」


 次の瞬間、豪華な馬車は街道を外れ、森の中へと続く小さな道へゆっくりと進み始めた。


 馬車が森の細い道を抜けると、木々の隙間から水の音が聞こえてきた。


 やがて視界が開け、小さな滝が姿を現す。


 岩壁の上から流れ落ちる水はそれほど高くはないが、透き通った水が白い筋となって落ち、下の滝壺で静かに波紋を広げていた。


 周囲には淡く光る粒のようなものが漂い、森の空気の中でゆらゆらと輝いている。


 馬車を降りたエステルが目を輝かせた。


「わあ、きれい!」


 滝の方へ駆け寄りながら、楽しそうに水面を覗き込む。


 リヴィアは周囲の森を軽く見回してから滝へ視線を向けた。


「確かに悪くない場所ね」


 短く言いながらも、流れる水を静かに眺めている。


 セラフィナは滝壺のそばまで歩くと、そっとしゃがみ込んだ。


「水がとても澄んでいます」


 滝壺の水は驚くほど透明で、底に転がる小石まではっきり見える。


 そのとき、カナタの視線が水の中で止まった。


「ん?」


 滝壺の奥を、淡く光る影がゆっくりと泳いでいる。


 小さな魚のような姿だったが、体の表面がほのかに光り、普通の魚とは明らかに違っていた。


 カナタは目の前にウィンドウを呼び出す。


 【DATA】

 ▷名称:マジックフィッシュ

 ▷区分:モンスター

 ▷ランク:E

 ▷備考:レアな魚型モンスター。高価で取引される


 カナタは思わず口元を上げた。


「へえ、面白いのいるじゃん」


 エステルがすぐに振り返る。


「なに?」


「この魚、モンスターだってさ」


 カナタは滝壺を指差す。


 水の中では、淡く光る魚がゆっくりと泳いでいた。


 セラフィナが少し驚いた顔をする。


「魚のモンスターですか」


 リヴィアも腕を組みながら水面を見つめる。


「珍しいわね」


 カナタは少し考えるように滝壺を見下ろした。


「これモンスターファームで飼えそうだな」


 そう言うと軽く指を鳴らす。


 次の瞬間、滝壺の水がわずかに揺れ、光る魚が数匹ふわりと宙へ浮かび上がった。


「えっ!?」


 エステルが思わず声を上げる。


 魚たちは空中で一瞬だけ光り、そのまま小さな光の粒になって消えた。


 カナタはあっさりと言う。


「テイム完了」


 セラフィナが瞬きをする。


「もう終わったんですか?」


「うん、モンスターファームに送っといた」


 カナタが軽く答えると、リヴィアが静かに息をついた。


「相変わらず規格外ね」


 滝壺の水は再び静かに揺れ、残った光る魚たちがゆっくりと泳いでいる。


 森の中では、滝の水音が静かに響いていた。


 カナタは川辺まで歩いていき、しゃがんで水に手を入れた。


「お、冷たい」


 指先を軽く動かすと、水がさらさらと流れていく。


 その様子を見ていたエステルが興味津々で近づいた。


「ほんと?」


 そう言いながらしゃがみ込み、水面に手を触れる。


「わっ、ほんとだ!冷たくて気持ちいい!」


 嬉しそうに声を上げた次の瞬間、エステルはにやりと笑った。


 ぱしゃっ。


 水が跳ね、カナタの腕にかかる。


 カナタは一瞬ぽかんとした。


「おい」


 エステルは悪戯っぽく笑っている。


「ふふ、どう?」


 カナタはゆっくり口元を上げた。


「やったな」


 次の瞬間、手で水をすくい上げてエステルへ投げ返す。


 ぱしゃっ。


「きゃっ!」


 エステルが慌てて後ろへ飛び退く。


「ちょっと!本気じゃない!」


 抗議するが、カナタは楽しそうに笑っている。


「先にやったのそっちだろ」


 エステルは少し悔しそうな顔をすると、再び水をすくった。


「もう一回!」


 水が飛び、カナタが避け、また水が跳ねる。


 気がつけば二人は川辺を走り回るような追いかけっこになっていた。


 その様子を見て、リヴィアが小さくため息をつく。


「子供ね」


 呆れたように言いながらも、滝壺のそばまで歩き、水面へ手を伸ばした。


 指先が冷たい水に触れる。


 リヴィアはわずかに目を細めた。


「……確かに涼しいわね」


 その横でセラフィナは岩の上に立ち、森の景色を静かに眺めていた。


 滝から落ちる水が白く光り、空気の中には淡い魔力の粒がゆっくりと漂っている。


「とても綺麗ですね」


 穏やかな声で呟く。


 カナタとエステルは相変わらず川辺で騒いでいた。


「待てって!」


「捕まえてみなさいよ!」


 水が跳ね、笑い声が森の中へ広がる。


 その音に混ざるように、滝の流れる音と森の風が静かに響いていた。


 しばらく水をかけ合って走り回ったあと、二人は川辺で足を止めた。

 

 カナタは軽く息をつきながら小川へ目を向ける。そのとき、流れの中で銀色の影が動いた。


「ん、魚いるな」


 浅い流れの中を、小さな川魚が数匹ゆっくり泳いでいる。石の影に隠れたり、流れに乗って少しだけ移動したりと、のんびりした動きだった。


 カナタは軽く指を鳴らす。


 次の瞬間、水面が小さく揺れ、川の中にいた魚が数匹ふわりと宙へ浮かび上がった。


「えっ?」


 エステルが目を丸くする。


 魚たちは空中でぴちぴちと跳ねるが、透明な力に掴まれているように逃げられない。


 カナタはそのまま手で受け取った。


「よし」


 銀色の川魚が四匹、手の中でばたばたと動いている。


 エステルが呆れた顔をした。


「またよく分からないスキルで捕まえたの?」


「便利だろ」


 カナタはあっさり言うと、近くの木から細い枝を何本か折り取った。


「せっかくだし焼いて食べるか」


 その言葉にエステルが目を見開く。


「また料理!?」


 半ば驚いた声だった。


 カナタは気にした様子もなく、魚の腹を手早く処理すると、枝を削って串を作り、そこへ魚を刺していく。


 リヴィアが腕を組んだままその手元を見ていた。


「慣れてるわね」


「まあな」


 カナタは軽く答えながら、近くの石をいくつか並べて簡単な焚き火台を作る。


 指を鳴らすと、小さな火がぱっと灯った。


 薪が燃え始め、焚き火の炎がゆらゆらと揺れる。


 その上に串を並べると、魚の皮がじわりと焼け始めた。


 ぱち、ぱち、と油が弾ける。


 やがて香ばしい匂いがふわりと広がった。


 エステルの鼻がぴくりと動く。


「なんかいい匂いしてきたんだけど!」


 思わず身を乗り出す。


 魚の皮は少しずつきつね色に変わり、表面から脂がにじみ出て炎の上で小さく弾けていた。


 リヴィアは真剣な目で串を見ている。


「火加減も悪くないわね」


 焼き色を観察するように呟いた。


 その横でセラフィナが小さく微笑む。


「川魚の香りですね」


 焚き火の煙と一緒に、素朴で食欲を誘う匂いが森の空気へ溶けていく。


 カナタは串をゆっくり回しながら焼き具合を確かめた。


「もうすぐ焼けるな」


 ぱちぱちと燃える焚き火の音とともに、香ばしい匂いがさらに強く広がっていった。


 カナタは串を軽く持ち上げ、焼き具合を確かめる。


「よし、いい感じだな」


 そう言いながら串を順番に焚き火から外すと、近くの平たい石の上に並べた。焼きたての魚からは白い湯気が立ち上り、香ばしい香りがふわりと漂う。


 エステルはもう待ちきれない様子で身を乗り出していた。


「早く食べたいんだけど!」


 カナタは苦笑しながら一本の串を差し出す。


「ほら、熱いから気をつけろよ」


 エステルはすぐに受け取ると、ふーふーと息を吹きかけてから魚を一口かじった。


「んっ……!」


 目を丸くする。


「これ美味しい!」


 素直な声だった。


 こんがり焼けた皮はぱりっと香ばしく、中の白身はふわりと柔らかい。川魚特有の優しい味が口の中に広がる。


 その横でリヴィアも串を受け取り、静かに一口食べた。


 数秒だけ無言で味を確かめ、それから短く言う。


「……悪くないわ」


 淡々とした口調だったが、評価としては十分高かった。


 セラフィナも串を手に取り、丁寧に一口食べる。


「素朴でいい味ですね」


 穏やかな笑みを浮かべながら言った。


 滝の音を聞きながら、四人は焚き火の前でのんびりと魚を食べていく。森の空気は涼しく、滝壺から吹く風が心地よかった。


 やがて食事を終えると、カナタは焚き火を軽く払うように手を振る。


 ぱっと火が消え、煙だけが細く空へ上がった。


「さて、そろそろ行くか」


 四人は軽く片付けを済ませ、森の小道を戻っていく。


 やがて豪華な馬車のところへ戻ると、ストームホースが静かに待っていた。


 カナタ達が乗り込むと、ストームホースはすぐに走り出す。


 馬車は再び森の街道へと戻り、滑るように道を進み始めた。

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