自称普通の高校生は無理矢理まとめた
「太郎さん、わたしは彼女と結婚します」
「はっ?」
佐藤さんの第一声がそれだった。
「佐藤さん、その人北の森から出てきたんですよ?」
「はい。アンリから……あ、彼女の名前、アンリって言うんですよ。可愛い名前でしょ?」
「どうでもいい」
「はい……アンリが魔族だってのは聞きました。しかし私は彼女を一目見た時に運命を感じたのですよ!」
普段は紳士なのにたまに……結構頻繁に頭のおかしな事を言い出す残念な大人の平常運転だ。いつもの佐藤さんだ。
「あ……あの、いいですか?」
恐る恐ると手を挙げて発言の許可を求める魔族のアンリさん。
彼女の語った内容はまとめるとこうだ。
魔族は千年の長い期間で親近交配に近い形になってしまうので新しい血を取り入れるために婚活としてコチラの世界に来て、気に入ったパートーナーを探すのだと言うこと。
その周期が何故千年なのかと言うと、大量の人数をコチラの世界へ送り込むための魔法陣の充填帰還が千年かかるからなんだとか。
少人数ならもっと短い期間で起動も可能なのでは?と聞いたら殴り合いの喧嘩が起こるから駄目だと言われた。知らねぇよ。
大量の魔物を引き連れるのは護衛の為だとか。
本来、平和的にパートーナーを探したいのだが、何故か毎回攻撃を受けるから、ついムカついて反撃してしまうらしい。
魔族の護衛として連れてくる魔物たちは、何もされなければ絶対に何もしないと断言された。てか、この世界で魔物を見たら殺られる前に殺れがデフォルトだと教えたらえらいカルチャーショックを受けていた。
魔物を連れてこずに、それぞれ一人でコッソリと来たら?って提案したら知らない土地で一人だと心細いし、寂しいじゃないですかっ!とメッチャキレられた。
つまりは、住んでる場所が変われば文化も考え方も常識も変わるってことなんだろう……?
意外な方向から魔物の大発生の原因が分かり、プッタの街は驚くほど少ない被害で終結宣言がなされた。
あれから数年が経過した。
魔物の大量発生の原因、理由、対策はプッタ辺境伯領主ダンカン・プッタの名前で全ての国、街、村へと連絡がなされた。
それに対して怒りの治まらない人も居るだろう。悲しみに暮れる人も居るだろう。しかし、結局日本に戻ることが出来ない転移者たちのようにどうしようもない事だ。
俺にも、誰にも何も出来ない。
せめてその怒りが、悲しみが時間とともに和らぐことを祈るばかりだ。
今日もプッタの街で時間限定で営業をしている『タロウ亭』には長蛇の列が出来上がっている。
数年が経過する中でアーキンドゥ商店の力を借りて、米と大豆の入手に成功した。
空間魔法を使い、大豆を発酵させたり、醸造させたりに成功した。
つまり、メシマズなこの世界に日本食を広める準備が整った訳だ。
結局魔族の国には行かずに、プッタの街で家庭を持つことを選択した佐藤さんとその妻になったアンリさん。
佐藤さんがアンリさんと家庭を作ったことがショックだったのか人知れず度に出かけた高橋さん。
相変わらず薄い本を自主制作している中村さん。
いつの間にか『タロウ亭』でネコと共に働いている愛ちゃん。
それぞれが自分の道を見つけて頑張っている。歩いている。
普通の高校だった俺も、普通の社会人として少しでも誰かの笑顔を作るお手伝いが出来れば良いなと思っている。
「おまたせしました!『タロウ亭』オープンします!今日のメニューは白米と味噌汁、メインはハンバーグですっ!」
此処まで読んでくださって本当に有難うございます。
考察の至らない点、配慮の足りないところ沢山あると思います。
そんな駄文を途中で投げ出さす、最後まで無理矢理にでも完結させるという自分の目標は達成できました。
読んで下さったアナタが居たからこそ頑張れました。
本当に有難うございます。




