表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霧の街の経済戦争  作者: kou1
第一章
8/13

開戦前夜7

「嫌です」


意外なところで問題が出た。

フィンが同行を拒否したのだ。

今回の件の重要な人物である。

彼が動かなければ、わからないことだらけだった。


「嫌です、本当に嫌です」


半分べそをかいているフィンは、アリサと三人の兵士に囲まれていた。


「でも、あなたが来ないと何も始まらないわ」


兵士の一人が言った。

まだモジモジしながら、フィンはその兵士の顔を見る。

兜に隠れて表情はよく見えない。

フィンは納得できないという視線を送った。


「フィン様、お覚悟を決めてください」


困ったような顔で兵士の後ろに立ったアリサが言う。

そのアリサの顔を見て、ますますフィンは泣きそうになる。

そして目の前の兵士に向かって言った。


「卑怯ですよ、アリサ様」


兵士が兜をずらして、堪えきれないといった感じで笑った。そこにはアリサの顔があった。


「これぐらいしないと、ダメでしょ。そもそもお城から出られないんじゃ、何もできないじゃない」


「ですけど」


言いかけたフィンの声をかき消すような、大声があがった。


「男ならさっさ覚悟をしろ! 自分のやろうとしていることに、責任がとれないなら異を唱えるな!」


違和感なく軍服を着こなしていたのはミサだ。むしろ普段着ているため、着こなすという表現は少々違うのかもしれない。


「早く着替えちゃいなさい」


ミアだった。

こちらはラインが出ないように、大きめの服を着ている。彼女の膨らんだ胸は、きつめの下着に押し込められている。


ミアが指差した先には赤を主にした、フリル付きのドレスがあった。所々にピンクの刺繍が入り、可愛らしさを強調している。


「だったら僕も軍服にしてください。なんでドレスなんですか」


ミサが首を横に振る。そしてフィンの肩を掴んでグッと引寄せ睨んだ。


「お前のように軟弱な兵士がいるか! つべこべ言わずに早く着ろ」


そのまま引き裂くように服を剥いでいった。






数分を待たずして、そこには可愛らしいお嬢様が立っていた。


「やっぱりよく似合うわ」


着替えさせ終わったミアが、ゆっくりと見物する。小顔に大きな眸、そして線の細い体はどう見ても女の子だった。指は細く、手袋をしているように白い。


「お化粧もしてみていいかしら? 何か小物も必要ね」


真面目に考え込むミアの後で、アリサはお腹を抱えて笑い転げ、ミサはドキドキしていた。メノアは苦笑いしながらミアを手伝い、フィンはその間震えていた。






その日の日記にフィンは


『おもちゃにされた』


と書いた。

今までで味わったことのない屈辱だった。

そして、二度と女装しないと誓った。


しかし、ミサの日記には


『あれならいける』


と一言だけ書かれていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ