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霧の街の経済戦争  作者: kou1
第一章
7/13

開戦前夜6

「少々お待ちを」


と、ミサは出ていった。残されたアリサとミアは何となく手持ちぶさたで、ミアの帰りを待った。


「ミサ、遅いね」


「そうですね」


「ミアは私の考え、いいと思う?」


「そうですね」


「そうですね、ばかりね」


「そうですか?」


「もう、ミアは」


しばらくクスクスと二人で笑っていると、


「入ります」


と、ミサが部屋のなかに入ってきた。アリサを連れて。


「え、わたし!」


「これは!」


二人は目を丸くして、椅子から飛び上がらないばかりに、驚いた。


「驚きましたか? この者はメノア、最近私がメイドとして愛でているものです」


得意そうにミサはメノアを紹介した。メノアはお辞儀をしている頭をあげ、アリサとミアを見た。


「お初にお目にかかります。メノアと申します」


正面から見るとアリサより、やや幼い様子だった。一年前といったところだ。


「メイドは愛でるために雇うものではありませんよ」


「そこじゃないから」


頓珍漢な注意をするミアをたしなめ、アリサはメノアを見た。


『良く似ている』


素直に思った。背の高さ、容貌、雰囲気、まず遠目には分からない。双子と間違われても、おかしくない。

近寄ってみると、髪はウィッグで誤魔化しているようで、よくよく見てみると、アリサの金髪に比べやや茶色がかっていた。


「街で見かけたとき、これだと思い、私のメイドにしました。公式の場に連れていくこともありませんし、今のところ誰も知りません」


「なんでこれだと思ったのかと、なんでわざわざ人目につかなくしているのかと、なんで私と似た服を持っているのかと、なんで変装用のウィッグを持たせているのか‥‥‥」


一気にここまで言って一呼吸とる。そして苦虫を潰したような顔で続けた。


「については、この際聞かないでおくけど。あまりいい気分はしないわね。それにあなたと二人きりになるのは、今後考えるわ」


呆れた顔でアリサは曖昧な照れ笑いをするミサを見た。


「きれいな花は手元に置いておきたいのです。ですが、そのお陰でアリサ様が外に出る手助けができます」


否定はできなかった。これなら余程のことがない限りバレないだろう。


「彼女を影武者にってことね。ミアはどう思う?」


「そっくりですけど、大丈夫でしょうか? 王族としての振る舞いなどは、すぐに真似できるものでもございませんし。いかがいたします?」


首を傾げながら考え込むアリサとミアを見ながら、ミサは笑った。


「すでに教えているのなら、問題はないでしょう? 先程私と邸を一周しましたが、誰も気が付きませんでした」


それを聞いてアリサは嫌そうな顔をする。


「嬉しいけど、複雑な気分ね。どちらとしてもミサと二人きりになるのは、もう控えるわ」


ミサは残念そうだったが、気を取り直し、


「それでもご不安でしょうし、念のため常に私か姉さんと一緒に行動するようにいたしましょう。ならば疑うものもございません」


と提案した。

影武者と言っても誰かに狙われているわけではなく、命に関わることもない。


『それなら大丈夫か』


アリサは思った。

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