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闇
住み馴れた自宅の居間、窓から見える庭に作った小さな畑。
庭の栗の木の合間から朝日が差し込み、いつもの様にスズメが数羽、何かを啄んでいた。
最近巣立ちしたばかりの少し色の薄い2匹のスズメは、しきりに鳴いて親スズメに餌をねだっている。
朝露に輝くこの光景が、僕は堪らなく好きだった。
しかし、家の中に意識を戻すと、そこに共に暮らしているはずの家族の気配はない。大切な家族の顔も思い出せなかった。
「どうして…。」
わけが分からず、ただ涙が溢れ、溢れて、寂しさに押し潰された。
絶望と後悔。
「どうして…なんだ…。」
ふと、誰かに抱きしめられる。
『アック。迷い込んでしまったのね…。』
優しく、暖かい抱擁だった。孤独の闇が晴れてゆく。
「……。」
『ここは深淵の迷宮。あなたの想いが現実となる世界。』
「……か…みさ…ま?」
『忘れないで、あなたはひとりではないのよ。あなたの大切な人達は、いつもあなたと共に生きているわ、魂とはそういうもの。
地球で大切だった人達も、輪廻の中で常に共に生きていたの。時に兄弟として、時に友人として、時に夫婦としてね。
もちろん、このブルーローズでも。
あなたは誰も失ったりしていない。』
「……ぁ……」
『ゆっくり…ゆっくりと、傷を癒しなさい。』




