神様の水鏡
「ようクロ。アックの野郎はまだ寝てるのか?」
「カメだから冬眠したのかもね!」
「だとしてもだ、あんまりお嬢に気を揉ませるんじゃねえぜ。」
達丸くんは漢気が凄いのである。番長気質な八咫烏なのだ。因みに、お嬢とはことちゃんのことだ。この辺りのボスは、ことちゃんなのである。
クロは優しいので、いつもアックを甲羅干ししてあげている。夜も星が見えるように岩の上に置いてあげている。朝も朝日が見えるように…要するに、外に放置だ。
アックがいつ起きても良い様に、甲羅いっぱいに落書きも忘れない。
そんなアックを達丸くんと一緒にツンツンしていた時、遂に。
『あんた達、何してるのかな?』
遂に、ことちゃんに見つかってしまったのだ。
怒ったら結構怖いんだよね、ことちゃん。プリプリと怒りながらアックを抱えて行ってしまった。
達丸くんもつまらなそうに帰ってしまった。
アックが眠りについてから、もう10年の月日が流れていた。
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『おばあちゃん、ただいま!』
「おかえり。何だい、アックも一緒じゃないか。」
『クロったら酷いのよ!こんなに落書きしちゃって…お風呂に入れてあげるわ。』
「あいつも寂しいんじゃよ。」
『それは、分かるけどね…。』
「まあ、綺麗に洗ってあげな。」
『うん。』
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「それにしても、この水鏡は何処と繋がっているのかねぇ。」
そこにはあの日、神さまが作った水鏡があった。何処かに繋がっている…というのは分かるのだが、誰も中にも入れないまま、消えずにそこにあるのだ。
「まあ、考えてもしょうがないさね。アックが目覚めるのを待つしかないね。」
もうすぐ年の暮れ。皆がそれぞれの想いを抱いて、アックを待っていたのだった。




