魔法
『おはよう、アック。』
なんだろう。このフサフサから逃れられない。離れたくない。
「これは…魔性の女のあれ?魅了スキル!?」
『フフッ、寝ぼけてる?ポン太ちゃんが朝ご飯作ってくれたから、皆んなで食べましょう?』
何とポン太ちゃんは10歳くらいの女の子の姿になっていた。和服姿で、お人形さんみたいに可愛いらしい。
だが何故か、僕とことちゃんはカメとキツネのままだ。
『何でだろうね。』
「何でだろう。」
「まあ、定めじゃろ。」
白いご飯に味噌汁、めざしに漬物、焼き海苔まで付いている。
「美味しい!ポン太ちゃん、ありがとう!」
恥ずかしそうに頷くポン太ちゃん。
「アックにね、お願いがあるの。ポン太はね…」
「お願い?なんだろう?」
「ポン太は、アックのお家に行ってみたいな。」
『うん!私も行きたいわ!』
「本当!?もちろん歓迎するよ!一緒に住んでるクロも紹介したいしね!」
『おばあちゃん!いいかしら?』
「ああ、ご飯食べたら行っておいで。」
『ありがとう!おばあちゃん!』
−−−−−−−−−−−−
「アックや。これにお前の庭を繋いでみな。」
おばあちゃんが何やら祝詞のようなものを唱えると、目の前に大きな水鏡が現れた。
『大切なのはね、繋がりよ。ここはむすびの旅館。きっと上手く行くわ!』
「うん、やってみるよ。」
「………………」
『アック、頑張って!』
「…………………」
宙に浮いた水鏡が波打ち始める。もう少しで繋がりそうな感じがしたその時。
「あはは!アックみーつけた!」
なんと、そこからクロが飛び出して来た。
『…あ。』
「えー!」
「………クロ、色々台無しだよ…。」
「あ!さくらちゃん!久しぶり〜!」
『「「 ?さくらちゃん? 」」』
「…台無しじゃな。」




