ことの結び様は
「「カァー、カァー」」
「カラスくん、おはよう。達丸くんは居るかい?」
「よう、アック。昨日振りだな。」
「達丸くん、よろしくね!」
「こちらこそ、よろしく頼むぜ。」
「達丸くんは、地球での記憶はあるの?」
「あるぜ。オレは八咫烏つってな。結構長く生きてんだ。他の奴らは、まだまだひよっ子でな。何も覚えちゃいないよ。」
「そうなんだね。達丸くんたちは、いつもこの辺りに居るのかい?」
「ああ、ここは故郷に似てて落ち着くな。アックもそうだろ?」
「うん、僕もそうだね。これから、ことのむすび様にお供えに行ってくるから、また後でね。」
「おう、じゃぁな。」
−−−−−−−−−−−−
「おはようございます。今日は果物を色々持って来ました!」
ことのむすび様は祠の前で出迎えてくれた。
『良く来たの。さあ、ついて来るがよい。』
祠の側には、揺らめく鏡の様なものが浮いていた。そして、ことのむすび様はすうっとその中に消えて行く。
僕は少しためらったが、ことのむすび様の後を追って飛び込んだ。
すると、そこは…
「…温泉だ。」
目の前を流れる川から立ち昇る湯煙り。灯籠が並び風情ある道の先には古風な温泉旅館があった。
『いらっしやいませ!むすび旅館へようこそ!』
「あのぅ…ことのむすび様?…ですよね?」
『そうですけど?』
「随分と…そのぅ…雰囲気が、変わられましたね?」
『ああ!あの水鏡を潜ると、どういう訳かあんな風になっちゃうのよ。もう嫌になっちゃう!』
「…………。」
『さあ、入って入って!』
「お、お邪魔します。」
なんとも、異世界な展開であった。




