表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
母がいない間だけ、幼馴染が俺の料理を食べに来る  作者: bonta
変えれぬ関係、変わる想い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

83/94

お疲れ様会

「⋯⋯⋯終わった。何もかも」

「お疲れ様、どうだったの?」

 期末テストが終わり、項垂れている琴音に声をかける。反応を見る感じ、感触としてはあまり良く無かったのだろうか。


「いや、手応えはあったけど、シンプルに疲れた。夏希ー、癒してー」

 琴音がそう言いながら急に抱きついてきた。驚いたけれど、案外人肌が暖かく感じて心地良い。暑い時にされたら嫌だろうけど、冬だから許してあげよう。


「そうだね、せっかくお昼で終わったんだし、甘い物でも食べに行こっか?」

 時刻は丁度十一時を過ぎた所だ。テストは終わったので部活に行くことも出来るけれど、今日の所は友達に付き合おう。


「ごめん夏希、私、金欠」

「あ、いつものね」

「いつものって何さ!私だって持ってる時は持ってるからね?」

 だけど、琴音の方はお金がないようで、私もそこまで持っているわけじゃないから、外食という選択肢は難しそうだ。


「そっか、それなら⋯⋯」

 そこで、脇阪くんからもらったギフト券の事を思い出す。千円分と、少しお金を使えば二人でも飲み物くらいなら飲めるだろうか?


(⋯⋯でも、ここで使うのはなんか違う気もする)

 これは私へのプレゼントなんだから、私個人で使うべきな気がする。琴音に奢るために使うのは流石に違うだろう。


「……あ、そうだ」

 脇阪くんの事を考えたからだろうか。ふと妙案が思いつく。


「ん?何かいい案ある?」

「自分達で作ろうよ、家庭科室使って」

 それは、いつも彼がやっている事。今日は脇阪くんのお母さんは休みの日だし、彼も家で食事をするだろう。家庭科室は問題なく使える筈だ。


「……ほう?続けて?」

「材料はそんなに高いのじゃなくていいし、簡単な甘い物くらいなら作れると思う。テストも終わったし、先生に言えば多分許可もらえるよ」

 お菓子作りの事は良く分からないけれど、流石に買ってくるよりは安いだろうと思う。


「なーるほど!つまりそれって……」

「お疲れ様会。手作りで」

 一瞬の沈黙のあと、琴音の顔がぱっと明るくなる。


「なにそれ楽しそう!!」

 さっきまでのぐったりした様子はどこへやら、勢いよく私の肩を掴んできた。


「思いつきだよ、脇阪くんがいつもやってたから⋯⋯」

「いやー、なるほど!私には思いつかなかったよ。誰かに作ってもらうって発想はあったけど、自分で作るなんて考えなかったわ!」

「大げさだなぁ⋯⋯」

 少し大げさな反応に苦笑しながら、琴音と一緒に家庭科室の使用許可をもらいにいくのだった。



『家庭科室使いたい?ふーむ、まぁ前田は良く知ってるから構わんだろ。火には注意しろよー』

 そんな軽い流れで、担任の先生からは簡単に許可を貰えた。そんなノリで火を使わせて大丈夫なのだろうか?


「夏希ー、冷蔵庫にお肉とか、何か色々あるんだけど」

 現在は冷蔵庫の中を物色中だ。すると冷蔵室には肉と野菜が整頓されて置かれており、ほとんど彼の私物入れになっている現状に苦笑してしまう。


「ほとんど脇阪くんのだと思うよ?お菓子作りに関係なさそうな物は触らないようにね」

「は~い」

 ちなみに、家庭科室にあるものは使って良いのか聞いたら「別に構わないぞ、後で請求するわ」というありがたい言葉を脇阪くんから貰っている。


 という事で、料理する状況としては充分だということは分かったけれど⋯⋯

「それで、何作ろっか?」

「分からん!私が料理すると思うかね?夏希は何か作れるの?」

 女子二人集まって、何も成果が得られそうにないとは思わなかった。作れる物、かぁ。目の前にあるのは小麦粉、卵、牛乳⋯⋯


「うーん⋯⋯パンケーキくらいなら作れるかな」

 目の前にある材料で、私程度でも作れそうな物を提案してみる。


「え、ホットケーキミックスないじゃん。どうやって作るの?」

「え?小麦粉とベーキングパウダー」

「マジで!?夏希料理出来たんだ!?」

 ⋯⋯まさかこの程度の事で驚かれるとは思わなかったけれど。


「それじゃ作ろっか。琴音、小麦粉の重さ測って」

「おっけー!美味しく作ってやろうじゃないの!」

 琴音みたいに本当に料理しない人からすれば、凄い事なんだろう。案外気分が良いな。脇阪くんもこういう気持ちで私に料理作ってるんだろうか?


「琴音!?弱火!弱火で焼かなきゃ生焼けになるから!」

「えー?面倒臭いなぁ。強火で一気にやっちゃ駄目なの?」

 それからは、料理をしない人がやりがちなミスを繰り返しながらも、楽しむ。


「うっわ焦げた!いや、これは焦げが美味しいんだよ!」

「ちゃんと食べなよ?」

「⋯⋯一緒に食べようね!夏希!」

「調子良いんだから、もう⋯⋯」

 友達とお菓子を作るなんて、きっと今だけしか出来ない事だから。


「おお!夏希上手いじゃん!全然焦げてない!」

「これくらい普通だよ。脇阪くんならもっと上手く焼くんじゃないかな?」

 だからこそ、この時間を大事にしていこう。


「ふーーん?別に脇阪くんの話なんて一切話してないのに、名前が出てきちゃうんだぁ?」

「りょ、料理してるんだから自然と出るでしょ!」

 ⋯⋯いじられるのは正直面倒だけど、今のは私が隙を晒したのが悪いということにしておこう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ