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母がいない間だけ、幼馴染が俺の料理を食べに来る  作者: bonta
近いようで、遠い距離

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デートとは何か?

 デートとは、主に交際中や将来的な恋愛関係への発展を期待する男女が、日時と場所を決めて二人で会う、出かける行為です。

 単なる友人の遊びとは異なり、親密さの向上や関係の進展を目的としたロマンチックな時間を指します。(AI回答抜粋)


 ⋯⋯という事らしい。この内容に私達が当てはまるというのなら、脇阪くんは私に恋愛感情を抱いているという事になるのだろうか。


「どうした難しい顔して」

 でも、その割には普段と変わりないように感じる。なら最初から私に好意があったという事になるんだろうか。それは自惚れている気がする。


「おーい、前田さーん?ちゃんと前見て歩いてるか?」

 第一、上記の内容がデートの定義なんだとしたら、その場合は私も彼に好意を抱いていなければならない。

 彼に対する気持ちは、今も昔もそんなに変わっていない、と思う。私が抱いている感情は、はたして恋愛感情なんだろうか。


「無視すんなよ馬鹿」

 そうして無駄に考え事をしていたら、頭を軽く叩かれた。


「⋯⋯暴力反対」

「これで暴力沙汰は勘弁してくれ。セクハラで捕まる可能性はあるけどな」

 相変わらずな対応に、少しだけムッとする。真剣に考えてた私が馬鹿みたいだ。


「あと、ちゃんと前見て歩いとけよ、せっかくの紅葉なんだから」

 そう言われ、既に目的地に着いていた事に今更ながら気付く。目の前の公園には鮮やかに色づいた紅葉樹が何本も連なっていた。


「綺麗だね」

 有名スポットと違い、大量の紅葉樹があるわけではないけれど、それが功を奏してか、人が沢山いる事もない。


「だな、⋯⋯ちょっと休憩するか」

 そうして近くのベンチに腰掛ける。周囲を見渡すと、はしゃいでいる子供達よりも、手を繋ぎながら歩いている男女が目に入ってくる。多分、今考えていた内容のせいだろう。


「それで、何をそんなに考えてたんだ?」

 ⋯⋯悩んでいるより、普通に相談してみても良いかもしれない。


「うーん⋯⋯デートってなんだろうって思って。脇阪くんはどう思う?」

「ああ、なるほどな。俺の言った事なんて軽く流してもいいんだぞ?」

 私の考え事に合点がいったようだけど、脇阪くんの中のデート像とはどういう物なんだろうか?


「そうだな⋯⋯もし恋人が出来たとして、前田さんはその恋人に、今やってる事を後ろめたさなしに説明出来るか?」

 想像してみる。彼氏に「今度異性の幼馴染と映画館とカフェと水族館行って来るんだよね」と言えるか⋯⋯


「無理だね」

「だろ?まぁそんな事言ったら、映画館の時点でアウトなんだけどな」

 なるほど、脇阪くんにとってのデートは、恋人がいた時に出来るかどうか、という判断なのかな?


「個人的解釈はこんな感じだな。恋人同士じゃなくたってデートにはなると思う」

 だからこれはデートなんだと、彼は言うけれど。


「じゃあ、恋人同士なら他にどんな事するのかな?」

 これ以上に出来る事とはなんだろう、とも思う。私に恋人が出来た時には、これ以上の事が起きるんだろうか?


「さあ?デートなら手繋いだりとか、キスしたりとかするんじゃないのか?」

 それは、想像するだけで恥ずかしいな。好きな人とは、そういう事も恥ずかしくはないんだろうか。


「あとは、こんな他人行儀な呼び方ではないだろうな」

 付け足すように、脇阪くんが呼び方について話す。


「それについては、実は結構気になってるよ」

「? それってどれ?」

「呼び方。なんか他人行儀だなって」

 前々から思ってたんだ。昔からの顔馴染みにしては、呼び方に距離があるって。



「一回、名前で呼んでみようよ。お互いに」

「ええ⋯⋯良いだろ別に今まで通りで」

「恥ずかしいんだ?」

「はあ?俺は問題ないけど、前田さんが恥ずかしいと思ってだな⋯⋯」

「私は、一回くらいなら平気だけど?」

 最近知ったんだけど、こういう時、脇阪くんは少し挑発すると、乗ってくれる事が多い。


「分かったよ、とりあえず一回だけな」

 今回も折れてくれた。ため息をつきながらも私の提案を聞いてくれるみたいだ。


「んじゃ言い出しっぺからな」

 ⋯⋯私からだと思って無かったので、急に緊張が走る。

「わ、分かった。じゃあ呼びます」

 大丈夫、難しい事なんかじゃない。前から「ゆうくん」って呼んだ時もあるだからそんなに変わらない。


「⋯⋯ゆ、悠人くん?」

 そう思っていたのに、結構どもってしまった。呼んだ瞬間、胸の奥が少しだけ熱くなる。これは、思ったよりも恥ずかしい⋯⋯


「なんですか夏希さん?」

 返事をする脇阪くんは随分と余裕そうだ。でも、その言い方には誤魔化しを感じる。


「⋯⋯呼び捨てじゃないんだ」

 というか、なんか逃げを感じるんだけど。


「呼び捨てにしてほしかったのか?そういうのは未来の彼氏にしてもらえよ」

 そうして紅葉狩りを終え、次の目的地へと歩いていく。

 デートには行けるのに、幼馴染を呼び捨てにも出来ない。そんなアンバランス感が、どうにも可笑しく感じた。



「ある程度休んだし、そろそろ水族館行くか?夏希」

「か、軽く言うのは禁止だから!」

「ええ⋯⋯なんだよそれ」

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