治療と看病は四苦八苦
「う〜ん…」
「ミエナお姉ちゃん…大丈夫?」
頭痛が酷くなったミエナはメイナスと共に早退して一旦教会へと戻り、リュクウ達が見守る中でベッドで眠っていた。
「ごめんね、暫く寝てれば大丈夫だからね」
「ほら、そんなに集まってたらミエナが眠れないわよ。ここは任せてお外で遊んでおいで」
「遊びじゃないもん!これも看病なんだから!」
ニーナが反論するも水とタオルの入った桶を持って来たシスターに部屋から追い出されてしまう。
「あら、熱は無さそうね」
「はい…頭が痛いだけです」
体温計を使うも平熱を示しているだけで高熱で頭痛を起こした訳ではなさそうだった。
「ねぇ、ニーナ。なんて言ってたか聞こえた?」
「なんかね、頭が痛いだけみたい」
障子に目あり壁に耳ありとあるように、ニーナは特徴的な水平に長く伸びたエルフ耳を扉に当て、シスターとミエナの会話を盗み聞きしていた。
「頭痛…そう言えばメイナスさんが書斎でお医者さんの本を読んでたけど」
アレックスの言葉を聞いたニーナ達は早速教会にある書斎へと向かう。
「どの本なの?いっぱいあって分かんないわよ」
ところが本はパズレインスクールほどではないにせよ、たくさんあってどれが目的の本か分からなかった。
「えっとね…あ、あの上のとこにある本だよ」
唯一その本を見たことがあるアレックスは子供の手が届かない棚の上部を指差した。
「私に任せてよ」
トトはハーピーであるため、空を少し飛び上がれば余裕で棚の上部に届くのだった。
「重い…メイナスお兄ちゃんはこんなの読んでんの」
医学書の類でページ数が膨大且つ大きい著書であるため、子供であるトトからすればちょっとした石と同じであった。
「文字ばっかりでつまんないわね〜」
「なんて読むのこれ」
「う〜ん…」
それでも何とか脚で掴んで持ってくるも、本の中身はまだ教えて貰っていない文字がたくさんあり、ニーナ達にはなんと書いてあるか分からなかった。
「アレックス、あんたはこれなんて書いてあるか読めないの」
「僕も読み書きとかは…」
子供達の中でアレックスは最年長なのだが、彼はトードナの元で召し使いとしてコレクションされた経歴が長いために文字の読み書きなどは余り分からなかった。
「どうするの」
「大丈夫よ、描いてある絵を見れば大抵は分かるはずよ」
医学書はハッピーエンドで終わる絵本とは異なるのに、絵を頼りにすれば良いとニーナはヤトラ達に向かって自信満々に言ってしまう。
「じゃあ、まずは…何か飲ませてるよ」
「きっと薬よ。シスターもあたし達が風邪を引いたら薬を飲ませてくれたわ」
最初の絵には瓶の中身をスプーンを使って患者に飲ませていた。そこからニーナは薬を飲ませるのだと判断した。
「早速薬を持っていきましょう」
「えっと確か薬は…戸棚の中だよ」
薬の置き場所をヤトラから聞いたニーナ達は今度は戸棚へと忙しなく動く。
「あれ、ん〜…?ねぇ、どのお薬なの?いっぱいあるよ」
高い場所はやはりトトに任せておけば大丈夫だが、戸棚には瓶や缶などの容器がたくさんあって、どの薬を飲ませれば良いか分からなかった。
「適当に取ってみてよ」
「じゃあ、これは?」
戸棚の中はトトにしか分からないため、当てずっぽうに取らせてみる。彼女は脚に平べったい円筒形の缶を持って降りてくる。
「これ…薬かしら?味見してましょう!」
「わあっ!美味しい!甘い!」
「こんな薬なら何度でも食べちゃうよ!」
「うん!お薬美味しい!」
缶の蓋を開けたニーナ達は中に入っていた薬が本当に効くのかどうか口にしてみると、思わず笑顔になってしまう甘さと美味しさに夢中になって食べ続けてしまう。
「って、これはクッキーだよ!」
余りの美味しさに同じく夢中になってたアレックスだが、自分達の食べている物が薬ではなくお菓子のクッキーであるとツッコミを入れる。
「どうりで美味しいはずよね。そもそも薬は瓶に入ってるだろうし」
「もしかしてワザとなの?」
「うるさいわね!あんただって食べたでしょ!」
食べてから違和感を話すなんて最初から分かっててやったのかと疑うも、反論の余地はないと遠回しに盗み食いの片棒を担いでしまったことを指摘されてしまう。
「じゃあ、トト。今度は瓶を探してみて」
「うん、待ってて…これはどう?」
気を取り直してトトは戸棚から瓶を掴んで降りてくる。中には黄金色の液体が入っていた。
「う〜ん…♪これも甘くて美味しい〜♪」
「何度でも舐めちゃうね〜♪」
「シスターのホットケーキが食べたくなっちゃった〜♪」
「ホットケーキ…よく分からないけど甘くて美味しそう〜♪」
コルク栓を開けて中の液体を舐めてみると、痺れるような甘さが口いっぱいに広がり、夢中になって瓶の中身をしゃぶるように舐めてしまう。
「って、これはハチミツだよ!」
無論、これも薬ではなくハチミツだった。どうりでホットケーキを食べたくなるはずだと言わんばかりに再びツッコミを入れるアレックス。
「そう言えば薬ってこんなに甘くなかったわね。寧ろ苦くて飲みたくなくなる味だったわ」
「本当に知らないでやってるよね…?」
指や手に付着したハチミツを綺麗に舐め回してから呟くニーナにアレックスは苦笑いしてしまう。
「それで…薬ってどの瓶かな。色々あるよ?」
三度目の正直で今度こそミエナに効く薬を探すことにするが、やはり容器がたくさんあって瓶だけでも十本以上は戸棚に置かれていた。
「変な匂いがする奴がそうだろうけど…」
一応瓶にもラベルが貼られているのだが文字余りが読めないため、自身の記憶を頼りに薬を探すことにする。
「だいぶ落ち着いたかしら。私は少し買い物をしてくるわ」
「はい、分かりました」
部屋ではシスターがミエナの身体を拭き、彼女の額に冷やした布を置いていたが、そろそろ買い出しに行くため部屋を後にするのだった。
「はあ…急にどうしたんだろう」
「ミエナお姉ちゃん?」
入れ替わりでリュクウ達が入って来たことに寝そべっていたミエナは扉に視線を移した。
「皆、どうしたの?」
「お薬持って来たの。これ飲んで元気になって」
トトはニーナの情報を頼りに戸棚から取ってきた容器の中身をコップに注ぐ。確かに鼻を刺すような独特な匂いがしてくる。
「うっ…これ何か変な匂いするけど、大丈夫なの」
「メイナスお兄ちゃんが言ってたわ!『良薬は口に酸っぱし』ってね!」
「え〜…何か違う気がするけど」
「これ飲んで元気になって…」
言葉と薬の二重の意味で何かが違うような気がするが、トト達は早く元気になって欲しいと言う願いを込めた眼差しで見てくるために、ミエナはこの怪しい薬を飲まざるを得ない状況になってしまう。
「皆…分かったよ、ありがとうね。えい!?」
意を決したミエナはコップの中の液体を口の中に一気に注ぎ込む。途端に注がれた途端に嗅いだ酸っぱい匂いと、それに見合った強力過ぎる酸味が爆発するように口内に広がる。
「ぶうううぅぅぅっ!?何よぉこれぇ!?」
一気に飲み干したものの、明らかに薬とは違う刺激的な味に耐えられず一気に液体を吹き出してしまうミエナ。
「ちょっと!飲まないと元気にならないわよ!」
「これ本当にお薬なのかな」
ニーナが母親みたいな台詞を呟く中で、ヤトラは容器のラベルに書いてある『Vinegar』と言う文字を見て首を傾げていた。
「って、ちょっとそれ薬じゃないわよ!?」
先程から酸っぱい匂いや味がするのも当然だ。何故なら『Vinegar』とはつまり『お酢』のことであり、そもそも口に含むことが出来ない液体だった。
「…そう言えばお薬は苦い味がしたわね」
「じゃあ、これも違ったの」
今更薬の概要を思い出したニーナの発言に再び肩を落とすヤトラ。
「確か薬は粉状の物もあったわ。そっちも探して」
「良いけど、薬だけで良いのかな。本には他にも治療方法があったと思うんだけど」
今度は粉薬を探してみるアレックスだが、本に記載されていた治療法が必ずしも薬だけでないことを口にした。
「本当だ。他にも治療法がある…これは頭を氷で冷やしてるのかな」
「氷で冷やす…」
ページを捲ってみると熱を出した患者の頭に氷の入った袋を載せているイラストが記載されており、それを見たリュクウはあることを考える。
「ミエナお姉ちゃん、頭を冷やしに来たよ」
「リュクウちゃん、ありがとう。でも、もう冷やして貰ってるから」
ようやくお酢の酸味が口の中から消えたところにリュクウが心配しながら入って来るも、ミエナは既に冷やして貰ってるから大丈夫だと告げる。
「遠慮しないで!えーい!」
「冷た!?」
有無を言わさずリュクウはマナミナを行使するとミエナの額の濡れタオルがキンキンに冷えて固まったのだ。
「それそれー!」
「ちょ、待って!これは寧ろ寒い…!?」
張り切っているのかリュクウはマナミナを夢中で行使し続けるために部屋の中に吹雪が発生し、ミエナの叫びは次第に覆われていく氷によって掻き消される。
「何か寒くない?」
「そう言えば妙に冷えるよね」
リュクウが見えなくなってから不自然に冷え込むことにトト達は首を傾げる。するとそのリュクウが泣きそうな顔で駆け寄ってきた。
「皆〜!?どうしよう…ミエナお姉ちゃんが大変だよ!?」
まさか容態が悪化したのかとアレックス達は新しく見つけた薬を手に急いで二階の部屋へと急ぐ。
「うぇ〜ん!?冷やしてあげようと思ったら…」
「…冷やし過ぎて凍らせちゃったんだね…」
部屋に入ってみるとベッドから乗り出した状態で氷漬けになったミエナが目に入ったことで、頭を冷やそうとしてリュクウがやり過ぎたのだとすぐに理解した。
「冷やすと言っても頭を冷やすだけで良いの!女の子は体を冷やしたらダメってシスターが言ってたわよ!」
「そう言う問題なの」
何か焦点がズレたようなニーナの発言にツッコミを入れてしまうも、このままでは確かにミエナの身体にも容態にも悪いはずだ。
「とにかく溶かすわよ。火魔法『ファイヤー』・ボール!」
「え、ちょっと待って!?」
氷を溶かすのは同意だし火魔法を使うのは百歩譲ってアリだ。だからと言ってほとんどモンスターを攻撃せんばかりの威力で放ったことにアレックスは唖然となる。
「あっちいいいぃぃぃ〜!?」
氷塊に包まれたミエナだが、今度は火に包まれて火だるま状態になってしまい、彼女は部屋の中を駆け回る。
「わわっ!?ミエナお姉ちゃんー!」
「ぷはっ!?…はあ…冷たくて気持ち良い…!?」
今度は水流を放ってミエナに着火した炎を消火するリュクウ。
「ごめんね!?大丈夫…!?」
「う…うん…とにかく今は寝かせて…」
こんなことになるとは思わず目に涙を溜めながら駆け寄るリュクウに怒るに怒れないミエナはベッドの上でグッタリと力無く呟くのだった。
「そうだ!火傷にはアロエセラピーの塗り薬を使えば…!?」
そう言うとトトは窓から外へと飛び立ち、アロエによく似た薬草の採取に向かう。
「採ってきた!これを擦り付ければ…!」
電光石火の勢いでトトが窓から帰ってくると、足にはトゲトゲした多肉植物が一束掴まれており、それを火傷したミエナの身体に擦り付けようとする。
「待って!それもしかしてチクチクタスじゃ…!?」
「いったあああぁぁぁい〜!?」
見た目が異なるために別種ではとアレックスが警告するも、トトはそのアロエ…と言うよりもサボテンのような針を有する多肉植物を擦り付けてしまい、治療するどころか針山地獄を味わわせてしまう。
「うぐう…お願い…寝かせて…」
「「わぁ〜ん!?ごめんなさい〜!?」」
よりボロボロになったミエナにトトも加わって一緒に泣きながら謝罪するリュクウ。
「だ、大丈夫よ!今度こそ薬を見つけたんだから!」
そう言うニーナの側には白い粉が入った瓶があり、これまでと比べると確かに薬のようにも思えた。
「これを飲めば一発よ!」
「ううっ…とにかくこれを飲んだら静かにしててね…」
三度目の正直と言わんばかりに粉を口に含み、コップの水を飲み干すミエナ。すると部屋の扉を誰かが開け放った。
「ねぇ、誰か嘔吐剤を知らない?白い粉みたいなので飲むと強い吐き気を催すから……あ」
入って来たのはメイナスで失くなった薬を探していた。すると部屋の中にその特徴とよく似た薬が置かれていて、しかもそれをミエナが飲んだのを目撃した。
「吐き気を………うっ!?」
薬の説明を聞いた瞬間にミエナの顔は一気に青ざめ、先程飲んだ物が全部喉元まで登ってくるのが伝わってくる。そして………
「大丈夫かい?全部吐いて楽になって…」
「す…すみませ…うぐう…」
台詞だけ聞くと自白させているようにも聞こえるが、今のミエナは三度目の正直によって本物の薬を飲んでしまい物理的に色々吐き出している最中だった。
「まったく…帰ってきたらミエナがずっと吐いててビックリしたぞ」
「お前らなんたってこんなことをしたんだ」
ある程度の調査が終わって教会に戻って来てみると、戸棚や台所は調味料や薬の容器や中身やらが散らばっており、部屋では毒沼に落ちてダメージを受けているところにモンスターから袋叩きにされたかのようなボロボロのミエナが部屋の中で連続で吐いていたのだからレイラとステラは子供達に詰問をしていた。
「ミエナお姉ちゃんが辛そうだったから治療しようと思って…」
「じゃあ、ハチミツやクッキーがすっからかんなのはどう言うことだ」
「それは…間違って食べました…」
ニーナが話した動機自体は純粋そうだが、それならばつまみ食いしたのはどう言うことなのかとレイラが追及するとバツが悪そうにヤトラが答える。
「それに部屋の中で魔法を使ってミエナを攻撃したのか?」
「冷やそうとしたらやり過ぎちゃった…」
「あたしはそれを温めようとしただけよ」
治療方法としては間違ってはいないがやり過ぎていることを指摘されリュクウは再び泣きそうになり、ニーナは悪くないと言わんばかりに開き直った態度を見せる。
「それで薬の知識も持たずに僕の調合した嘔吐剤を飲ませたのかい」
百歩譲ってつまみ食いなどは許せるがニーナの開き直った態度と、あやふやな知識で薬を持ち出してミエナに飲ませたことがメイナスの気に障ったらしく責めるような言葉をニーナに投げ掛ける。
「うっ…それは…その…ごめんなさい…」
鋭い指摘と責めにニーナは次第にヘナヘナと落ち込んでしまい謝罪の言葉を零した。
「謝るんならミエナにだよ。他の皆も散々迷惑を掛けたんだからね」
「「「ごめんなさい…」」」
「い…良いのよ、分かってくれれ……ううっ…!?」
メイナスに促されるまま子供達は今だに吐き気に苦しむミエナに謝罪する。
「それにしても…なんたってこんな急にこんなことをしたんだい?」
「だって…ルアーネお姉ちゃんが苦しんでる時に僕らは何も出来なかったのが…辛かったから…」
ヤトラが思いの丈を言葉として言い放った途端にニーナも他の子供達も大粒の涙を零しながら泣き出してしまう。
「皆…そう言うことなら言ってくれれば良いのに。やり方ぐらい教えてあげたよ」
悪いことをしたため躾のために叱ったつもりだが、そんな純粋な思いを聞いたら、こちらが悪い気がしてならなかった。
「全部あたしのせいだ…ミエナお姉ちゃん……ごめんなさい…」
「良いのよ…だから泣かないで…」
自分がしたことは悪いことだと認めた瞬間、先導をしていたニーナは特に責任を感じたのか再び謝罪をする。
「今回は結果的には良くないことでしたが、あなた達のその思いは大事にすべきですよ。問題はこれからどうするべきか…今度は私からも色々教えてあげますよ」
シスターの言葉に子供達は泣いていたために答えられなかったが小さく頷いて同意を露わにしたのだった。
「それでそっちの調査はどうなったの」
「ああ、そのセインルーンってのはここから北西に向かった所にあるらしいんだ」
話は変わって例のセインルーンについての話題になる。メイナスとミエナが教会にいる間にスザク達は色々調べたようだ。
「そこはとても神聖で綺麗な場所らしくてな。観光スポットにもなっていた場所なんだってさ」
「観光スポットにも?だったら知ってる人は多そうにも思えるけど…」
話を聞く限りではセインルーンを知る人は多くないはずなのに、観光スポットにもなっていたとはどう言うことなのかとメイナスはスザクに聞き返す。
「確かに前までは観光スポットだったんだけど、変な花が咲いて人が近寄らなくなったんだって」
「変な花?それだけでかい?」
アメジスの補足情報を聞くもまだ納得がいかなかった。寧ろ花が咲けば人が寄ってくるのではないかと矛盾点を指摘した。
「よく分からんのじゃが、その当時は仇討ちだとか不穏な台詞が飛び交っていたそうじゃ。おまけに不気味などに咲き狂い、花自体も縁起が悪い代物とかで人々は忌避したそうじゃ」
手に入れた情報だけでは詳しいことは分からないが、人が寄り付かないだけの理由があることは間違いなかった。
「それとミエナちゃんの頭痛なんだけど、確か君は昔の記憶がないんだよね」
「え…うん…そうだけど…」
「それと図書館で倒れたのは頭が痛いだけで、それ以外は具合が悪いとかはなかったよね?」
「うん…それは確かだよ…」
話は変わるがルアーネはミエナに過去の記憶や症状について質問と確認をし、少し考えた後に確証を得たように頷くのだった。
「もしかすると君の頭の痛みは病気とかじゃなくて、記憶が呼び覚まされようとしているんじゃないのかな」
「記憶が…?」
ルアーネはミエナの頭痛が病気由来ではなく、記憶由来による物ではないかと指摘した。
「何かのショック…頭を強く打ったりとかで、それまでの記憶が失われることは珍しくないよ。けど、心に残っている印象…味や匂いや音とか、とにかく強く記憶に残っている物を捉えた瞬間に失われた記憶が呼び覚まされる時があるんだ」
人間の記憶には不思議な部分があり、それまで一切の記憶を失っても、ふとした切っ掛け…それこそ強く心に残った記憶を刺激されれば連鎖的に思い出す場合があるのだ。ルアーネはミエナの頭痛もその兆候ではないかと予測していた。
「確かに…セインルーンのことを聞くと心の何処か引っ掛かるような気がするの。もしかしてそこが私の故郷…なの?」
話を総合するにセインルーンが自分の故郷で、そこには自身が忘れてしまった記憶の全てがあるのかと頭を抱えて悩むミエナ。
「どうするミエナ、このまま教会にいる?それとも」
「もちろん行くよ!私の知らない何かがあるのなら…ハッキリさせたい!」
メイナスからの質問に対してミエナは自分の失った記憶を取り戻すためにも留守番なんて論外だと立ち上がりながら答えた。
「そう言うと思ったよ。ただ…」
「ただ?……うっぷ…!?」
メイナスは敢えて留守番を選ぶよくな質問をしたかと思っていたが実はそうではなかった。その証拠に再び顔が青くなるミエナ。
「その嘔吐剤…三日は効果が残るから暫くは動けないかも」
「な…なるほど…ううっ…!?」
つまり薬の効果が失くなるまではミエナは吐き気を催し、動けなくなるため出発は暫く延期することとなった。
「…そんなにキツいならあたしもぉ…♡」
「そこ!自分から飲もうとしない!」
辛そうにしているミエナを見たドMのスザクはそんなに辛いのなら、さぞかし気持ち良くなるだろうと考えて飲もうとするがメイナスに首根っこを掴まれて止められる。




