VSメフィスト2
25
勇斗とメフィストは剣でつばぜり合いをしていた。
勇斗の攻撃が強くはじめは気が付いていなかったが気が付いた。卓也が消えていることに。
メフィストは辺りを横目に見まわした。だが卓也は見つからない。
そして、そんな油断を勇斗が見逃す訳がなかった。
勇斗の剣を押す力がさらに増す。つばぜり合いの位置は次第にメフィストに近づいていった。
メフィストは押し切られると判断して勢いよく剣を振り切った。
その衝撃でメフィストは勇斗から離れた。
しかし、そこで驚愕に見舞われた。
離れた先に居たのは卓也だった。
「うぉりや!」
卓也はナックルダスターをはめた手でメフィストに殴り掛かった。
卓也が得意とするのは自分の身に着けたものを硬化させること。剣も強化できるのだが、卓也は剣を使わない。
剣も握っている間は硬化できるのだが元が細いだけに少々の攻撃で折れることがあったからだ。
なので卓也はナックルダスターを使い、それを極限まで硬化させて相手を殴るという戦法を取っている。
閑話休題。
卓也に殴り掛かられたメフィストは一瞬剣で受け止めることを考えたが、その考えはすぐに捨てた。彼は卓也の
戦いを何度も見ているので剣では受け止めきれないことを知っていた。
そこで、自分の真下に風を起こしその衝撃で卓也とは反対側に自分を飛ばした。
しかし、飛んだ先には勇斗が居た。勇斗は剣を横一文字切払ってかまいたちをメフィストに浴びせた。
メフィストは上空への飛行に切り替え、そのかまいたちをかわした。
「…やりますね。まさか私がここまで追いつめられるとは。」
メフィストの表情には焦りが見て取れた。
「お前も今の攻撃を全部かわすとは思いもしなかったぜ。」
「そろそろ、私も攻撃させてもらいますよ!」
そう言ったときにはすでにメフィストは視界から消えていた。
そしてキーンという剣同士がぶつかる音が聞こえた。
卓也たちは最初それがどこで起こったかわからなかった。
しかし、今までにない威圧感に勇斗の方を観た。
するとそこには、今までとは明らかに表情の違うメフィストが後ろから勇斗に向かって剣を振り下ろしていた。
しかし、その剣は勇斗に届いていなかった。勇斗が右手の剣を後ろにもっていくだけで受け止めていたからだ。
「なぜ…私の攻撃が読めた。そして、なぜその体制で受け止められる!?」
「…簡単な話だ。お前の強みは相手に表情を読ませないことで気配を誤魔化し攻撃がどこから来るかわからなくすることだ。しかし、今のお前はただ感情に任せて攻撃しているだけだ。それならお前の気配も読める。俺がこの攻撃を受け止めている理由に気づかないのがその根拠だ。」
メフィストはその言葉に顔を顰めた、そして気が付いた。
「物理障壁…」
「そういうことだ。そして俺の物理障壁に触れたということはどういうことかわかるだろ?」
メフィストはハッとして勇斗から離れようとした。しかし、メフィストはその場を動けなかった。
立方障壁
障壁を立方体状に展開することで全方位に対する攻撃を障壁の耐えうる限り防ぐ。これは守るだけでなく敵を捕らえるのにも使える。万能に見えるがこの技には欠点がある、それは使用者が直接的または間接的に触れていなければならないということだ。
勇斗は剣を固定したままメフィストに向き直った。
「さて、これでお前も終わりだ。」
メフィストはさらに顔を顰めた、しかしすぐに顔に笑みが戻った。
「そうですねぇ、終わりかもしれませんねぇあなた方が。」
「どういう意味だ?」
卓也がメフィストに問う。
「この障壁には弱点があります。それはこの高すぎる防御力です。この技は勇斗君、あなたにも破ることはできない。つまり私に攻撃するためには一度障壁を解く必要があります。ですが障壁を解いた瞬間私はあなたたち全員を殺すことが出来ます。さて、どうするつもりですか?」
メフィストはこの技を一度見ていた。それは少し前のこと、勇斗に与えられた任務はとある人物の確保だった。しかしその人物は勇斗と同じAwakeであったため普通に確保することは難しかった。そこで勇斗が使ったのが今回使っている技だった。
「できるさ。今の俺ならな。」
そういうと勇斗の体が光に包まれた。
光が晴れた先に居たのはエンペラーフォームの勇斗だった。
そしてその勇斗からまた光が発せられる。
そのとき玲子のブレスレットが光りだした。
「おいマスター!まさかあれをやるつもりなのか!?」
「あれ?何のことなのフレア。」
「マスターは、虚無空間を使う気だ。」
「それはどんな技なの?」
「虚無空間ってのは、対象の周囲をそのまま虚無の世界に引きずり込む技だ…」
「対象の周囲って…勇斗も巻き込まれるじゃない!」
こう言ったのは凛だ。
「そうだ、立方障壁で閉じ込めている相手に虚無空間を使えば自分も虚無へ連れていかれる…」
「勇斗やめて!そんなことはしないで!」
凛が叫ぶ。勇斗はそれに首を左右に振って答えた。
その間にも勇斗が発する光は強くなっていく。メフィストは驚愕のままだ。
そして部屋が次第に崩れてきた。天井が落ちる音の中でフレアは玲子に話しかけた。
「虚無空間からマスターを助ける手段が一つだけある。それは…」
光が部屋全体に広がった。
「みんな、さよならだ。」
光の中に真っ黒な球体が出来た。




