勇斗の真意
15
炎が勇斗のもとを去ってから数日。勇斗は独りになっていた。
始めは新しい強い人間が来たということで周りにいた者も勇斗が引き抜き(?)で入ったと知ると皆離れていった――ただ一人を除いて。
「勇斗!」
「おーい、勇斗。」
勇斗は窓から外を見ていた。凛たちのことを考えていたので周りの声が聞こえていなかった。
「ん、卓也か。」
「どうかしたのか?」
勇斗はP.Sに凛がいることを卓也に言っていない。言えばP.Sに味方するかもしれなかったが、それよりも凛に対して憎しみを抱くことを恐れたからだった。
「いや、少し考え事をしていただけだ。それより何か用があったんじゃないのか?」
「あぁ、次の作戦が決まったから報告だ。」
「どんな内容だ?」
「P.Sの連中のアジトを叩く。」
勇斗は驚いて固まってしまった。
「勇斗?」
「…そうか。それで決行日時はいつなんだ?」
「3日後だ。そう聞くってことは参加するんだな?」
「…あぁ、何を当たり前のことを言っているんだ?」
「俺がここに来たのは作戦の内容を伝えるだけじゃなかったからな。」
「なるほど、俺の意志確認ってことか。」
「その通り。」
「それは問題ない。」
「みたいだな。わかった3日後な。お前を閉じ込めた連中を蹴散らそうぜ。」
「あぁ。」
よし、あいつらを根絶やしにしてやる。
あぁ、凛たちは逃がす。
勇斗と卓也はお互いの思いの胸にハイタッチした。
16
作戦決行当日。
勇斗は森の奥深くにいた。
すると後ろから一人の男が近寄ってきた。
「おはよー勇斗君。」
「メフィストか。」
「大丈夫かい?今回のは君のもといた組織だけど?」
「問題ない。敵は潰す。」
そういうと勇斗はさらに奥へと消えていった。
「ふふ、いいね。君はいつ行動するのかな。」
メフィストは不敵な笑みを浮かべもと来た道を引き返して行った。
「皆の者!今日がP.Sたちの最後の日だ。今まで殺された仲間たちの恨みをはらうのだ!」
真がこういうと周りからは「おー!」と団結した声が聞こえてきた。
「…出撃!」
解放軍1万の軍勢が一斉に動き出した。
作戦の内容は森の中にあるP.Sのアジトを叩くというものだったが、アジトの場所は把握できていない。つまり手当たり次第にアジトを探して見つけ次第潰すということだった。
ピー!笛の音が森に響いた。笛はアジトを見つけた時の合図だ。笛のなった方向に一斉に解放軍が向かう。
勇斗も笛のなった方向に向かおうとすると、目の前にメフィストが現れた。
「…なんのようだ。」
「ただ君に別の作戦を伝えようと思ってね。」
「別の作戦だと?」
「うん。アジトは完全な囮。P.Sは今頃基地に向かってるだろうね。」
勇斗もこの考えには同意した。
森の中にアジトがあるとだけわかるというのはおかしい。
わかるならばアジトのだいたいの位置までわかるはずだ。
つまりこれはP.S側が仕掛けた罠。
大量の兵士をアジト捜索に向けさせることで基地の守りの手薄にしてその間に攻めるという古典的な手段だ。
しかし、ここで一つ疑問が出てくる。
メフィストはこの罠に気づいている、ならなぜわざわざ相手の罠に掛かるようなことをしているのだろう。
「ふふ、なぜ僕が罠に掛かるようなことをしているのか、って顔をしているね。
理由は簡単だよ。罠に掛かったふりをしておけばわざわざ探さなくてもあいつらは出てくる。そこを倒せばいいだけだからね。」
その理屈は通る。しかし、解放軍の規模は1万5千だ。その大半の1万を罠に掛かるために割くのはかなりリスクが大きい。さらにここにはMr.といわれる御神太智、風上真、神庭卓也の3人に加えて、栖鳳勇斗、メフィストと解放軍の中でもトップの5人がいる。
「ということで栖鳳君。君と僕は基地に戻るよ。」
勇斗は驚いた。それもそのはずだ。メフィスト以外の4人のなかでは勇斗が一番裏切る子脳性が高い。なのにもかかわらず勇斗を選んだメフィストの心理を探り切れていないからだ。
「時間はないよ。さぁいくよ。」
勇斗は成すがままにメフィストと共に基地へと戻っていった。
更新が大変遅れました。申し訳ありません。
忘れていたわけではありません。(すこし頭から飛んでいた日もありましたが…)
用事が重なっており、書くに書けませんでした。
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