解放軍 勇斗
12
そこは昔を思い出させる部屋だった。
白い壁に白い床。何も置かれていない部屋は勇斗が連れていかれたときの最初の部屋と同じだった。
今違うのは勇斗が一人ではないということ。
目の前には一人の男がいる。
おそらく裏にはたくさんの人間がいるだろうが、目の前にはこの男、メフィストただ一人だ。
なぜ相手が一人なのかというと、メフィストが「大勢いたら話しにくいよね?」とか何とか言ってほかのやつらを下がらせたからだった。
武器(炎)は取り上げられていない。
周りには誰もいない。
なのに勇斗にはメフィストを攻撃しなかった。
いや、できなかった。
メフィストはただ笑みを浮かべているだけに見える。しかし、四方八方どこにも油断がない。
勇斗はあきらめたように顔の表情を少し崩した。
「やっと警戒をといてくれたね。」
メフィストには勇斗が攻撃しようとしていたこともすべてお見通しだったようだ。
「まぁまだ完全にというわけじゃなさそうだけど。それは仕方がないか。」
メフィストは笑みを崩さずに話をつづけた。
「僕が君をここに連れてきたのは言うまでもないよね。君の能力さ。」
それはわかっていた。勇斗の能力――コピー――は今まで誰も持ったことのない能力だといわれてきている。
「君の能力“コピー”は誰もが一度は持つ能力なんだ。」
これは初耳だった。誰も持ったことがないとしか言われていなかった。
「でもみんな自分の中でイメージした能力をコピーしてそれが自分の能力になってしまう。だからコピーの能力は消える。でも君は消えなかった。それは」
この先メフィストが言おうとしたことはなぜか勇斗にはそれとなくわかっていた。
「それは、君が普通の人間ではなく。帝といわれるものたちの末裔、さらにはその中でも無をつかさどる無帝の末裔だからだよ。」
「無帝?それは聞いたことがないぞ。確か帝は、炎、氷、雷、風、地、光、闇じゃなかったか?」
「そうだね。普通のは7つのことを帝という。でもその帝のさらに上に立つ者、それが無帝だよ。そして君が無帝の末裔だという証拠はそのブレスレットがよく知っているはずさ。ね?炎くん。」
「…あぁ、知っているさ。マスターは炎帝を顕現させた。帝を顕現できるのはブレスレットを持ち、その力を極めた者だけ。でもマスターは炎を極めることなく顕現させた。そんなことが出来るのは俺たちの上位に当たる“無”だけさ。」
「そういうこと。さて、君の正体も説明できたことだし、僕が君に求めることを言うとしようかな。
僕が君に求めるのは、エーサの壊滅への協力。彼らは別次元へアクセスしてその技術を応用して世界の支配をたくらんでいる。それを阻止するのがここの役目さ。」
「なるほど、大義名分はわかった。裏の事情は聞かない。俺がここに加われば玲子や凛たちにはこれ以上危害を加えることはないんだよな?」
「うん。その通りだよ。」
「なら答えは決まっている。
協力しよう。」
勇斗とメフィストはお互いの腹の内を知りながら握手を交わした。
勇斗は解放軍の一員となった。




