第19話 装飾品は所有者を望む
エリアス様が滲んでいく。
琥珀色の瞳が優しくて、アルヴァは泣いてしまう。
アルヴァの耳にはエリアス様が選んでくださった、琥珀色の耳飾り。
重いかと訊かれたら、重い。
とても、とても重い。
こんな重いものを受け取っていいのか、悩んでしまう。
それなのに、嬉しくて堪らない。
さっき泣いたばかりなのに、もうこれ以上泣けないと思ったのに、涙が溢れて止まらない。
アルヴァはゆっくりと手を動かした。
涙を拭うこともせず、耳元へと触れた。
耳たぶに乗る程度の小さな耳飾り。
その小ささは、エリアス様の気遣い。
だって、エリアス様は言った。
仕事の邪魔にならないようにって。
本当にアルヴァのことを考えて。
アルヴァのことだけを想って。
エリアス様の瞳の色を、エリアス様自身が選んでくださった。
重すぎて嬉しい。
重すぎて苦しい。
息が詰まって、呼吸がままならなくなる。
エリアス様がまた抱き寄せてくれた。
今度は手を背中に回した。
縋りつくのではなく、抱き合うように。
アルヴァの気持ちが、伝わるように。
「……喜んでるってことでいいんだよな?」
おそるおそる訊いてくるエリアス様に、アルヴァは何度も頷いた。
「良かった」
安堵の息が首筋に触れる。
その熱を受けて、自分の熱も伝えたいと思った。
ずっと、ずっと隠し続けていた熱を。
「……好き」
喉元で声が震えた。
一度零した言葉は、涙と同じで止まらなくなった。
「好き。……好き。エリアス様大好き。もう離れたくない。嫌なの」
「……ああ」
「ずっと一緒がいいの。本当は嫌だったの」
「……そうか」
「アストリッド様だけじゃなくて、誰にも渡したくなくて」
「俺は君のものだよ」
深くて優しい声。
アルヴァは頭を左右に振る。
「違うの。エリアス様は誰のものでもないの」
「忘れたのか?」
そっとエリアス様がアルヴァを離した。
琥珀の瞳がアルヴァの泣き顔を映す。
「俺は君の装飾品だろう?」
「……そ、それは」
「今なら喜んでなるよ」
「……エリアス様、意地悪です!!」
なんでそんなことを言うのか。
アルヴァは怒ったのに。
「どうして? 君のものになれるなら、なんだっていいよ」
「おかしいです」
「それぐらい」
エリアス様は笑った。
とても綺麗に。
「俺は君のことを愛している」




