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1 ボケ茄子夫との付き合い

 貴族とは言え、もう領地を代官に任せて名ばかりの管理をして暮らせる時代は終わって久しい。私たちの親の代からは、貴族という肩書きがあるだけで、実際は正しく貴族だった時代の財産で商売をいかに軌道に乗せられたかで明暗がはっきり分かれていた。


 こんなことになったのは、祖父母世代が生まれ成人するくらいまで長期に渡った隣国との戦争が理由だ。貴族は国から資金援助を要請され、各種税金は高騰し、泣く泣く土地を手放して金銭を工面した。

その結果、土地なし貴族ばかりになった。


 更に鉄砲やら爆弾やらの組み立てを、工場に動員された女性たちが担ったため、女性がいないと仕事が成り立たない構図が出来上がった。そして女性の地位も向上した。


 十年超でこれだけ大きな変化があったのだ。祖父母世代が現役の頃や、親の代を経て、今は貴族か平民か、男か女かではなく、いかに頭を使って金を生み出せるかで豊かになれるか否かが別れるようになってきている。


 元は同じ貴族であっても、時代の波に乗って財閥と呼ばれるようになるほど元の資金を活かせた家もあれば、時代に迎合出来ず、爵位すら価値がなくなって売れないため、浮浪者として一家で路上を彷徨っている家もある。


 戦勝国に吸収されることは免れたものの、我が国は敗戦してしまったので、国として財政に余裕はない。だからこそ「国の再興」だの「国力増強」だのを掲げて、単純に労働力を増やしたい意味も込めて女性の社会進出や、商売の成功を国として後押ししているのだ。


親に先立たれた孤児ならともかく、金持ちが自滅した結果の浮浪者まで救える状況ではなかった。


 このような実力主義の厳しい時代にも関わらず、あのボケ茄子夫は、都合の良いことだけど耳に入れて貴族の血筋だということに固執し、飲む買う打つといった、無駄に財産を食い潰す以外まるで何も出来なかった。


 茄子夫がするべき仕事は、今まで全て私が代わりに行ってきた。


 そんな腐った茄子と私が結婚したのは、恋愛結婚も珍しくなくなってきたのに、未だに昔の価値観で生きている祖父母世代とそれらに逆らいきれない親世代が、貴族同士の結婚をしなければならないと強引に取り決めたせいだった。


 茄子もどきとは密な付き合いではないが、貴族の幼稚舎から中等学校まで同じで、幼馴染と言えば一応そうだった。


 そもそも貴族の男女なので、あまり密に話してはいけないという暗黙の了解があって、ろくに話したことがない割に、お互いに結婚やお付き合いはご遠慮したいと思っていた。そこだけ気が合った。


 何しろ奴の中身はピーマンみたいにスカスカだが、見目を大事にする貴族の血統のお陰で、外見だけは綺麗だったのだ。そして貴族で外見の良い男に惹かれる女性は多かった。

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