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13 クビ宣告ならはい喜んでー!

 社内監査の結果、自分の息子が全く出勤しておらず、名ばかり役員で給料泥棒をしていることが複数の社員にバレたことで、義父は既に怒り心頭に発していた。


 更に学生時代のボケ茄子の素行から、分厚い親バカフィルターを通しても、奴に仕事ができないことは明白で、役員の権限はあっても、私を含めかなり多めに配置された部下が実務を担い、誰でも分かるほど噛み砕かれて報告された物を、確認して判子を押すようになっていた筈だった。


 それでも頭スカスカピーマン頭は、確認という作業が出来なかった。そのせいで、今では権限が全て嫁に乗っ取られていた。

監査によって、ようやくそのことに気づいた義父は、もう頭の血管をブチ切れさせていた。


社内電話が掛かって来た時、受話器がガタガタ震えるんじゃないかと思ったが、そんなことはなかった。受話器って凄い。丈夫。


 「とにかくすぐに来い!」と義父に呼び出されて社長室にいくと、ゴルフクラブが飛んできて、慌てて秘書が義父を止めていた。


 貴族学校だというのに、いずれは企業を率いていく立場だというのに、学ぶ姿勢ゼロで煙草を吸ったり女生徒を侍らしたり、卒業すら出来ず逃げるように外国に行かされても反省せず、メイドを孕ませて堕ろせなくなってから報告したり……。


私からすれば、奴は問題行動をしなければ死ぬのかと思うほどだが、それでも義父は可愛い息子ちゃんが仕事の権限を全て嫁に乗っ取られることにも気づかず判子を押すほど、馬鹿だとは思っていなかったようだ。

馬鹿ですよ?


 「このクソ嫁があ!よくもノアの権限を乗っ取りおって!越権行為が過ぎる!クビだ!今すぐクビだー!!」

「はい喜んでー!」


「喜ばないでください!奥様!奥様がいなかったら誰がこの仕事回すんですか!ノア様は行方不明なんですよ!?」

「いえいえ。ノアの行方が分かっても、どうせ仕事は回せませんわ」

「余計ダメじゃないですか!」


「貴様らぁ!息子を馬鹿にしおって!まとめてクビの上訴えてくれるわ!」

「社長!落ち着いてください!冷静に判断してください!奥様とベテラン社員が抜けてボンク……ご子息が戻られても、同じ仕事にはなりせん!」

秘書を筆頭に男性社員たちが義父を押さえ込んだ。どさくさに紛れて誰か叩いたり蹴っ飛ばしたりしていた気がするが、私はゴルフクラブを投げられて怖くて怖くてよく覚えていない。私からかなり離れて飛んで行っていたけど、怖かったなあうん。


 義父は社員たちに「説得」され、私と巻き添えを食った同部署の社員をクビにすることは諦めた。


「お前の仕事は夫の権限を奪うことではない!今回はクビにしないでおいてやるから、さっさとノアを連れ戻し、夫が仕事に集中出来るようでしゃばらずに支えるのだ!ノアが戻ったら権限は全て元に戻せ!」

とそれは寛容なご指示をいただいた。


「あ、結構ですよ。クビにしていただいて」

「奥様ぁーーーー!!!」


 義祖父の会社は義祖父の言語化できない部分にこそ要点が凝縮されていた。

義祖父の人柄と人脈は伊達ではなかった。


更に男尊女卑的な、身分差別的な思考は古かったが、ビジネスに関しては先見の明があった。


義祖父を失った義父は、大企業ゆえに、在るだけで膨大な費用がかかる会社を維持するだけで精一杯だった。


 経営に近い部署にいるからこそ、社員たちは私が抜けてノアが戻ってくることが不安だったのだろう。

必死の引き留めに遭って、一応義父の言うことを聞くことにした。

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