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天来  作者:
超越者達
99/102

手紙

アレスはシャルーダの手紙を届けに東の地方に訪れた。

「この辺りに旅芸人って来てないか?」

アレスは街の人にそう聞いた。

「あぁ、時々来てるよ。来てくれた時は賑やかで楽しいんだよ。」

「そうか」

「そういえば前にもう1人芸人がいたなぁ。その人面白かったんだけどなぁ。いなくなっちゃったんだよ。その仲間の人たちに聞いても黙っちゃって教えてくれないんだ。」

「…あぁ、その人の事は知っている。」

「そうなの?じゃあその人に言っておいてくれよ。帰ってきてくれって。」

街の人はその事を聞いて期待に満ち溢れた様子でアレスに頼んだ。

「そいつは死んだ。」

容赦なくアレスは現実を突きつけた。

街の人は唖然としている。

「教えてくれてありがとう。じゃあな」

そのままアレスは別れを告げる。


アレスは情報の通りに東の街を転々と歩き回り、芸人達を探した。

そして、とある街で遂にそれらしき団体を見つけた。

「あんたら芸人?」

芸人の1人にそう聞いた。

「そうだけど、入団希望かい?それなら…」

アレスは黙って、かつてシャルーダがつけていた仮面を見せる。

それは、アレスがシャルーダの死体から取り出したものだった。

「それは…!」

その芸人は心当たりがあった。

「おい、セルト来てくれ!」

そして、セルトという芸人を呼び出した。

「なんだよ、クラン。大声出して…」

セルトがクランの方に寄ってきた。

「これ…」

クランはアレスの持っている仮面を指差す。

「っ!」

セルトも気づいたようだった。

「あんたらに手紙だ。この仮面の持ち主からだよ。」

アレスは2人の様子を見た後、シャルーダの書いた手紙を渡した。

「手紙…?」

「あいつからお前らに宛ててのものだ。」

困惑するクランにアレスがそう言った。

「あいつはどこなんだ?」

セルトは恐る恐る聞いた。

どこか予感していたような、でも信じたくない、そんな様子だった。

「死んだ。俺が殺したんだ。」

アレスは淡々と告げる。

「っ!」

2人の表情が強張る。

「…そうか。」

クランは必死で冷静に答える。

「随分と冷静に振る舞おうとするんだな。俺はお前の友達の仇だぞ?」

「あんたは手紙を届けてくれた。悪い人には思えない…」

クランはそう答える。

「そうか、手紙を読むといい。かけがえのない友人の遺言だ。」

アレスはそう言って去っていった。


アレスは街を出て、しばらく歩く。

「〜ったく。嫌なことさせるよなぁ。」

ため息混じりにそう言った。

「…」

アレスはふと、手紙を見た彼らの様子、そしてどんな事が書かれていたか、彼らの紡いできた友情をどう締め括ったのか考えた。

「…やめよう。俺には…あいつら以外にはあの手紙を完全に読み取ることはできないんだ。さっさと帰ろうか。疲れちまったよ。」

アレスの声は広大な夜空に溶けていった。

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