終幕/黒蝕.15
正義も悪にも縛られないと決めた。
この戦いもレキスに言われたから来た、とそう思っていた。
でも、どこかあの時の清算をしたいと思っていたのかもしれない。
だって、僕は…
今、猛烈にヴェインを殺したいから。
「立てても、もううまく動けないだろう。ヴェイン」
エルノアはヴェインに銃口を向けるように力を貯める。
「…終わって…たまるか…!」
ヴェインの心は折れていないが、この状況を打破できる力は持っていない。
「さようなら…ヴェイン」
エルノアは光線を放った。
しかし、その光線はヴェインに当たらず、跳ね返った。
「っ!」
エルノアは跳ね返った光線を手で受け止めた。
「誰だ…」
エルノアの目の前には鏡が浮いていた。
そして、中から少女が出てくる。
「ルーニア…」
ヴェインはそう言った。
「作戦は失敗ね。ヴェイン、帰りましょう?あなたをここで失う訳にはいかないわ。」
ルーニアはそう諭した。
「分かったよ…」
「させるか!」
エルノアはヴェインを逃すまいと光線を放つが、二人は鏡の中に溶け込んでしまった。
「っ!」
エルノアの手は後一歩届かなかった。
こうして、この戦いはヴェインの謀略を打ち砕き、終わりを迎えた。
「ヴェインを取り逃がしこそしたが、よくやってくれた。ありがとう」
レキスはシリウス達を集めて激励の言葉をかけた。
シリウス達は達成感に溢れる明るい顔だったが、一人だけ顔色が優れない者がいた。
「エルノア」
シリウス達が帰った後、レキスはエルノアを呼び止めた。
「なんだい?僕は疲れたんだけど。」
「ヴェインと戦って、何か思い出したか?」
「…別に」
エルノアはそう言って積歴の大樹から出て行った。
鏡面世界にて、傷だらけのヴェインがベットで寝ていた。
「ヴェインがここまでやられるなんて。」
ルーニアがヴェインの額を撫でる。
「やはり、私達も行けば…」
「お前達に何が出来た?」
コルティアの言葉を遮って、ルーニアが言った。
「ヴェインが倒せない敵にお前達が敵うとでも?寝言は寝て言うのね!」
「…それでも、入ってきたばかりの三人のみでは…。ルクリエルだけでも殺せたかもしれない。」
「お前達は前の任務で失敗したでしょ!?ヴェインに信用されてないのよ!」
「テメェ、コルティアが黙ってりゃいい気になりやがって!お前はいつもここで見てるだけじゃねえか!」
コルティカが話の間に入ってきた。
「コルティカやめろ。」
コルティアが止める。
「なんで…」
「今は言い争っている時ではない。」
「…」
「…」
コルティアがそう言って、ルーニアとコルティカは黙った。
「でも、新しく仲間が増えたのに、すぐに死んじゃったじゃない。どうすんのよ。」
ルーニアがそう問う。
「問題はない。ここはヴェイン様一人で成り立っているようなものだ。私達はただ、ヴェイン様の手の届かない所を助ければいい。ヴェイン様さえ生きていれば、私達は負けはしない。」
「そうね…」
ルーニアは頷く。
「そうですよね、ヴェイン様」
「っ!」
ルーニアとコルティカはコルティアの言葉を聞いて、ヴェインの方を見た。
ヴェインは起きていた。
「もう、大丈夫なの?」
「あぁ、問題ない。…コルティアの言う通り、この計画が途絶えようと、シリウスさえ手に入れば、全てが覆る。」
その言葉を聞いて三人は希望を得る。
「さぁ、始めよう。私達は終わりはしない。」




