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天来  作者:
超越者達
95/101

黒蝕.12

「やぁやぁ、君が僕のショーのお客さんかな?」

「はぁ?」

シャルーダが意味不明な事を言い出し、アレスは困惑する。

「僕は旅芸人をやっていてねぇ。こういうのは得意なんだ。まぁ、見ててよ。」

アレスに手の甲を見せ、掌を隠す。

「さぁ、僕の掌には何もありませんでしたが?」

そして、掌をアレスの方に向ける。

すると、シャルーダの手に一輪の薔薇が咲いていた。

「何という事でしょう!何もなかった手に可憐なお花が…」

「いや、そういう能力だろ。皮膚を好きに変える能力。」

「…」

シャルーダは黙った。

「お客様、では次はジャグリングでも見せましょう。」

シャルーダは手から球体をいくつか出現させ、慣れた様子でジャグリングする。

「おお、これはすごい。」

「では、おらっ!」

シャルーダは突然、球をアレスに投げつけた。

球は爆弾だったようで、アレスの周りで炸裂した。

「はぁ〜、すっきり」

「この馬鹿野郎!客に爆弾を投げつける奴があるか!」

「うるさい!素直ではない客には指導くらいくれてやる!」

「芸人としてあるまじき発言だぞ!」

「今は芸人ではない!」

シャルーダは皮膚を剣のように変形させて切りかかった。

アレスも剣でそれを受ける。

「そうだな、お前は闇の眷属だったな!

ダークフレア!」

黒い炎が2人の間に生じる。

「あっぶね!」

シャルーダはすぐに後ろに下がった。

アレスはシャルーダに飛びかかり、剣を振り下ろす。

「くそっ!黒い炎は見せただけか!」

「そうだ!」

シャルーダはアレスに蹴り飛ばされた。

「あんた、全然戦い慣れてないね。まさか戦い初めて?」

「言っただろ、芸人だったって!」

「この戦いから退いて、ヴェインの仲間もやめるんなら命を助けてやる。」

「…そうして、僕は何をすればいい?」

「また、芸人でもやればいいじゃないか。」

「…できない。もう僕には芸人はできないんだ。」

シャルーダの声に覇気がなくなる。

「さっきやってたじゃねえかよ。」

「できないって言ってるだろ!」

シャルーダは声を荒げた。

「それで、今はあいつの配下としてここにいるのか。お前は自分がどんな世界に迷い込んだのか分かってないだろ。こんな事よりマシな事なんていっぱいある。」

「うるさい!何も知らないくせに!」

シャルーダは子供が暴れ回るように、刃物を振り回す。

アレスはシャルーダから離れた。

「何があったか知らないけど、ヴェインの仲間になる程の理由なのか?あいつが本当にまともな奴だとでも思ってるのか!?」

「そんなのは関係ない!僕みたいな奴は、自分の居場所を作るのに精一杯なんだ!居場所を作ってくれる人が誰であろうと、縋るしかないんだよ!」

「…ヴェイン以外にいなかったのかよ!」

「っ!」

シャルーダは同じ旅芸人の2人を思い出した。

シャルーダの剣がその動揺を表すように揺れる。

「…それでも、僕にはもうヴェインしかいないんだよ!」

シャルーダはアレスに斬りかかる。

「馬鹿野郎…」

アレスはシャルーダの体に剣を突き刺した。

「受け入れてくれる仲間はきっといたんだろうに。」

「あぁ…いたさ…いたよ。そう、僕が手放したんだ。あいつらはきっと僕を受け入れてくれた。僕が、怖がったんだよ。」

シャルーダは皮膚を変化させ、一枚の紙とペンを作り出した。

「すまない…これを彼らに届けてくれないか?旅芸人として東の地方で活動していたはずだ。わがままなのは分かってる。でも…」

「いい。そんなに俺は白状じゃない。探して届けるよ。」

「ありがとう…」

アレスは手紙を受け取った。

シャルーダの死を見届けて、アレスはその場を後にした。

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