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天来  作者:
超越者達
94/101

黒蝕.11

「ファイア!」

リゼアが炎の魔法を唱える。

メアリーは弓を引いて放った。

放った弓は炎にぶつかる。

「魔法に当たったか…」

メアリーはそう呟いた。

「ならば、もう一発…」

そしてもう一度、矢を放つ。

リゼアはそれを避けるためにメアリーの弓の放たれる直線上を離れた。

しかし、矢はリゼアを付いてきた。

「アイス!」

リゼアは矢を凍らせた。

「驚いた?」

メアリーは無邪気に笑っている。

「私はね、代償を負う代わりにそれに値する見返りを貰える能力があるらしいの。」

「へぇ、視力の代わりがその弓かい?」

「あら?気づいてたのね。まぁ、ずっと目を閉じてるから当たり前か…」

「目を失ってまで、手に入れる程の武器じゃ無さそうだけどなぁ。」

「別にいいのよ。こんな武器は付属品。私は望んで視力を奪ったんだ。」

「…」

矢が複数放たれる。

「この弓はね、連射も可能なんだよ。」

「ボム!」

爆発で矢を落とす。

しかし、別の方向から矢はもう一本放たれていた。

「っ!」

魔法を放つ暇はなく、杖で受けるしかなかった。

リゼアの持っていた杖は壊されてしまった。

「あら?何かが壊れた音がしたわ?あなた魔女っぽいし、杖でも壊れたかしら?なら、もう戦えないわね。」

(…あの時はヴェルタナを止めるために使ったけど。やっぱりこの力は使いたくない。できるだけ戦いから遠ざかろうって決めたから…でも、)

「…仕方ない、か。」

メアリーは知らなかった、リゼアの強さを、かつて『黒滅の四戦士』の一人として闇と戦った者の強さを。

「炎双剣!」

炎を纏った双剣がリゼアの両手に出現する。

「…!?」

リゼアの変化を感じ取って、メアリーは困惑する。

焦ったメアリーはリゼアに向かって複数の矢を放った。

リゼアは容易くそれらを切り刻む。

「っ!」

メアリーはリゼアから距離を取る。

「…」

メアリーの弓には追尾の他にも機能があった。

矢が当たった所の情報をメアリーに与える機能だ。

リゼアに放った矢で双剣の位置を察知し、リゼアから距離をとった。

(奴に何があったか分からないけど、杖から剣に切り替えた!でも、距離を取れば斬られることはない。)

メアリーはまた矢を放つ。

当たった場所はリゼアの剣の間合いから大きく離れていた。

(よし、このまま…)

しかし、メアリーの体は深く斬られた。

「っ!?」

リゼアはすでに、メアリーのすぐそこまで来ていた。

メアリーがリゼアから離れた時、リゼアは弓のもう一つの機能を推測していた。

メアリーを欺くためリゼアは片方の剣を矢に投げ当て、距離を誤魔化した。


深く斬られ、大量の出血が見れる。

メアリーの傷は明らかに致命傷だった。

メアリーの持っていた弓が消えていく、死の間際に能力が解けていく。

能力が消えた事で一瞬だけ戻った視力が最期に見たものは自身を見るリゼアの眼差しだった。

昔、メアリーの大切な人に向けられたものと同じ、優しい眼差しだった。

「あぁ…なんて…きれいな…い…ろ…」

メアリーはそれを欲しがるように手を伸ばすが、届かない。

メアリーの鼓動は止まった。

「戦い方から見て、素人。戦いなんて知らなかったんだろう。運命に翻弄され、この戦いに招かれた訳だ…。可哀想な子だ。」

リゼアは開いたままのメアリーの瞼をそっと閉じた。

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