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天来  作者:
超越者達
93/101

黒蝕.10

エルノアの脳裏に焼き付いた記憶。

ヴェインの力、闇の氾濫、自身の身に癒えない傷をつけたあの力。

「ヴェイン…!」

エルノアに緊張が走る。

「ブラックホール!」

闇が溢れ出す。

「ディバインアロー!」

エルノアがそれをかき消した。

「多少の計画のブレはあったけど、ある程度順調に行きそうだ。」

「お前はこの戦争を起こして何を企んでいる!」

エルノアはヴェインに問いただす。

「ヴァーデンとルクリエルの抹殺だよ。そこによくも邪魔をしてくれた、と思ったが。好都合だ、エルノア、お前も殺してやる。」

エルノアはすぐに神器をヴェインにかざした。

「さぁ、悪夢を始めようか!」

ヴェインの周りに闇が湧き上がる。


メアリー、エリィ、シャルーダは崩壊したエクスカリバーの方に向かった。

「向こうに超越者らしい者がいた。」

エリィはそう言った。

「問題ない。3人で飛び込んで一人でもルクリエルの首に手が届けばいい。」

メアリーがそう言った。

「…何か来るっ!」

エリィは自分達に近づいてくる気配にいち早く気づいた。

リゼアが飛び込んできた。

「ボム!」

3人の中心で爆発が起きる。

「っ!」

爆発に吹き飛ばされ、3人はそれぞれ分けられた。


「やられたな…」

(あいつらが見えん。あの爆発だけで俺たちをここまで離すのは無理だ。転送魔法で適当に飛ばしたか…。どちらにせよあの短時間じゃそう遠くには行けないだろう。早くあいつらと合流して…!)

2人を探そうとするエリィの前に、ヴェルタナが立ちはだかった。

「…なるほどな、俺たちを分断してそれぞれ叩くつもりか、他の奴らにもついているんだろ?」

「そうだ、お前達の好きにさせる訳にはいかないのでな。」

ヴェルタナは鎌をエリィに向ける。

「なら、お前を殺して計画を遂行してやる。」

エリィの手にあった黄色いナイフが消えた。

その時、ヴェルタナの頬が傷つく。

「!」

すると、ヴェルタナの全身が切り刻まれていく。

ヴェルタナは傷口から溢れた血を操り、エリィの方に飛ばす。

「ルビーニードル」

エリィは青いナイフを手に取り、またそれを消した。

次の瞬間、エリィの目の前に覆い被さる血が掻き消された。

「っ!」

唐突な衝撃をヴェルタナは咄嗟に鎌で防いだが、受けきれず少し後ろに下がる。

「あんたヴェルタナだろ?」

「私を知っているのかい?」

「そりゃあね、吸血鬼の中じゃ有名人だよ。」

エリィは嘲るような笑みを浮かべながら話す。

「人間と暮らしてたクソ馬鹿野郎ってな。」

「あ?」

ヴェルタナはエリィを睨みつける。

「あ?じゃねえよ。何で吸血鬼が食いもんと暮らしてんだよ。非常食か?」

「…」

「ダンマリかよ。お前は超越者になったらしいけどな、お前は吸血鬼の恥晒しなんだよ!」

「もういい、黙れ…!」

「あぁ?」

「決めた、お前は今すぐに殺してやる!」

「…やってみろよ!」


エリィの能力は赤、青、黄の3色のナイフをそれぞれ2本ずつ与えられる。

赤色のナイフは相手の血を吸収し、ナイフを消費して吸収した血の量に比例した威力の爆発を起こす。

青色のナイフはナイフを消費すると威力の高い斬撃を繰り出す。

黄色のナイフはナイフを消費した時、威力の低い複数の斬撃を与える。

そして、複数のナイフを使うと効果を重複させる事ができる。


(今、さっきの会話でナイフのクールダウンは終わった!全部のナイフを使ってお前を切り刻んでやるよ!)

「死ねっ、ヴェルタナ!」

「ブラッドクロス!」

血の十字架がエリィの正面に出現する。

「くそっ!」

青のナイフと黄色のナイフを合わせて、それを消した。

(2本使っちまったが、まだまだ手持ちはある!)

しかし、目の前にヴェルタナの姿はなかった。

「どこだ…?」

次の瞬間、エリィの右腕が切り飛ばされた。

「っ!?」

ヴェルタナは血に隠れて、エリィを上から狙っていた。

飛んだ腕が分解される。

(何だ、これは。ヴェルタナの能力か?)

「誰かを愛するのに、食う側も食われる側も関係ない。その者が愛おしいなら、自分を作り変えてでも共に歩んでみせる!吸血鬼としての立場なんて気にするものか!私はこの生き方を曲げるつもりはない!」

「何をべらべらと!腕を落としたくらいで勝った気になってんじゃ…!?」

エリィの動きが鈍くなる。

「何だ…これは…!?」

「ハーヴェスト」

エリィの魂が砕かれた。

エリィの体は地面に打ち捨てられた。

「…さぁて、リズ達の方はどうなってるかな?」

ヴェルタナはその場を立ち去った。

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