黒蝕.2
ルクリエルは城の中から外を眺めている。
「もう良いだろう。睨み合うのもつまらん。開戦じゃ!」
エクスカリバーから放たれる高密度のエネルギー砲が開戦の合図となった。
光線はヴァーデンに直撃し、大爆発を起こす。
ヴァーデンは黒い塊に身を包み、自身とヨタを守った。
「開戦か…」
ヴァーデンは動き出す戦況を見下ろしている。
次の瞬間、動き出した兵士達の目の前で爆発が起こった。
「…!?」
予想外の出来事にヴァーデンは目を疑う。
味方の軍に攻撃をするはずもない、しかし自分はまだ攻撃をしていない。
つまり、第三勢力の介入を示唆していた。
「…!」
その時、自身の近くに強力な力を持った何者かの気配を感じ取った。
「誰だ!?」
ヴァーデンが気配の方を見る。
そこには、エルノアが来ていた。
「エルノア…!邪魔をするなよ!」
「そうはいかない。レキスの頼みだからね。」
「レキス…だと?」
「あぁ、この戦争をこのまま続けさせる訳にはいかない。」
戦争の中心、ヴァーデンとスニレイク王国軍に挟まれる位置に二つを隔てるように何者かが立っている。
「リズと一緒に戦うのはいつぶりかしらねぇ?」
ヴェルタナがそう言った。
「私も懐かしくて涙が出そう。」
リゼアがわざとらしく手で額を覆った。
「俺、いるか…?」
アレスが自信なさげに言った。
「数は多い方がいいでしょ?」
リゼアは自信を取り戻させるように言った。
「それにしてもこんな数の人間を相手って…」
アレス達の目の前には大量の兵士が並んでいる。
「まぁ、大丈夫でしょ。」
ヴェルタナはなんの気負いもない様子だ。
「出来るだけ殺さずなんだろう?そんなに簡単な事じゃない。」
アレスはため息をついた。
「文句を言わない。やるわよ」
リゼアが気合を入れさせる。
入り乱れる戦場をルクリエルも見えていた。
「何が起こった?」
「分かりません。恐らく第三勢力だと思われますが…」
「チッ!横槍か、なんてつまんないことしてくれるのじゃ!」
(それにしても横槍が早すぎる。まだ、開戦してすぐじゃぞ?余程情報網に優れていると見えるな。)
ルクリエルは思考を巡らせる。
「外は我が見る。お前達は中に侵入した敵を撃ち倒せ!」
「承知!」
側近の男は女王の間を出る。
「セルファ、キルシカ!城内を守れ!女王様の騎士としての役割を果たせ!」
男の声が城内に響き渡る。
セルファ、女王の身を守るスニレイク王国屈指の実力を持った三人の騎士の1人。
退屈を感じていたが、男の声がそれを砕く。
「仕事っすか!?いやぁ、楽しくなってきたってね!」
キルシカ、セルファと同じ三騎士が1人。
「…」
男の指示に従い、城内の警戒を強める。
その時、城内に何者かが侵入する。
「…!」
三騎士はその存在に気がつく。
そして、セルファ、キルシカが会敵する。
「お嬢ちゃん、名前は…?」
セルファが目の前の敵に問う。
「霊廻神社の巫女、禮」
「そっか、僕はセルファ。ここの防衛を任されてるんだ。仕事を果たさせてもらうよ。」
「…侵入者か」
キルシカは敵を目の前にそう呟く。
「お姉さん、なんか怖いねぇ。」
禮と同じく城内に来た泥阿がそう言った。
「…敵と会話する気などない。すぐに殺してやる。」
そして、あの男も例外ではない。
「…ここまでの侵入を許してしまうとはな。貴様らは何者だ?」
男の相手はシリウス。
「俺はシリウス。この戦争を止めに来た!」
シリウスはそう言った。
「戦争を止める?何の為に?」
「裏で動いている悪い奴がこの戦争を起こした。あんたら騙されたんだ。最悪あんたのとこの王女様も死ぬぞ!」
「信用ならんな。俺からすれば貴様らもそう変わらないと見える。」
「だったら力ずくで話を聞かせる!」
「そうか。俺は王女様を守護する三騎士の長、バクラ。貴様を王女様に仇なす誅敵と見なし滅する!」




