恋
ここは帝国が誇る名門学校。
スニレイク王国立大学。
そこには、数々の優秀な生徒が在籍している。
私もその生徒の1人だ。
この学校の生徒である事を私は誇りに思っている。
そして、この学校には異人種も少なくない。
人間と違って長い間雇うことができるから扱いやすいらしい。
その事に私達は文句をつける事はない。
そもそも、この国の女王様だって数百年も変わっていないらしいし。
そして、私には密かに恋している人がいる。
「やぁ、おはよう」
「おはようございます。エリィ先生」
エリィ先生…エリィ・デッドムーン
このエリィ先生は女子の間では密かに人気がある。
エリィ先生の奥が見えないミステリアスな雰囲気が私達を惹きつけている。
そう、私もその1人だ。
先生は吸血鬼らしくて、そこも先生の魅力に拍車をかけている。
先生が荷物を抱えている。
「お手伝いしましょうか?」
「…じゃあ、お願いしようかな」
私は先生の荷物の半分を抱えて、先生について行った。
「先生って、ご結婚なさってるんですか?」
「いや、私は独り身だよ」
「えぇ!?意外ですね」
「意外って」
先生は苦笑する。
「先生はかっこいいから奥様の1人でもいるかと思いましたよ」
「私にはできないよ。種族が違うしね」
種族、私は先生の目を見る。
赤い目、やはり種族が違うと壁ができるのだろうか。
「別にいいと思いますけどね。違う種族でも」
「え?」
「本を漁れば異種族間の結婚なんてたくさん見つかります。先生が恋愛に興じた事でバチなんて当たりませんよ」
「ふふっ、そうだといいけど」
やはり受け流される。
「ありがとう助かったよ」
先生は机に荷物を置くと、私にお礼を言った。
「いえいえ」
「それじゃ、ちゃんと帰るんだぞ」
そうして先生はどこかへ行ってしまった。
先生は私と、いや私達と距離を空けている。
他の生徒、他の教師に対しても同じように、深く踏み込ませないようにしているような。
「それはやっぱり結婚してんじゃない?」
友達のマリアに相談してみたら、予想通りの答えが返ってきた。
「やっぱりかぁ〜」
「なぁに?レイナ、先生の事狙ってるの?」
「ちょっと…そんなんじゃないって!」
思ったより大きな声が出てしまった。
「はいはい、落ち着いて」
マリアは私を間違いなく揶揄っている。
「…落ち着いてる」
「でもね、奥さんがいなくても私たちじゃ無理だよ」
「どうしてそう思うの?」
「やっぱり、吸血鬼だから?吸血鬼って人間も食べるんでしょ?」
マリアの意見はもっともだった。
「でも、先生は私達を食べないじゃない」
でも、私はそれを否定せざるを得なかった。
「それに生徒と先生だよ」
マリアは強くそう言った。
「確かに…」
私は何も言えなくなってしまった。
あの話をしてからどうしても気分が沈んでしまって、俯いたまま放課後の廊下を歩いていた。
すると窓から先生が外で誰かと話しているのを見た。
「…誰?」
なんか変なフードを被っているから相手の人の顔はよく見えない。
先生は少し楽しそうに会話しているように見える。
やっぱり、先生の奥様なのだろうか。
…あまり考えないようにしよう。
私はそのまま家へと帰った。
翌日先生の授業があった。
「私はこの学校からいなくなります」
開口一番でとんでもない事が発せられた。
「え…」
「だから最後にみんなに贈り物をあげたいんだ」
私は信じられなかった。
しかし、もっと信じられないことが起こった。
最前列に座っていたマリアの首が飛んだ。
赤色が私達の視界に映り込む。
「…え…?」
そして、次々と同じ部屋にいた生徒達が殺されていく。
最後に私が残った。
先生は満面の笑みを浮かべている。
「なんで…先生…」
部屋は一面赤一色となり、エリィも全身に血を被っている。
「エリィ…やりすぎだ」
ヴェインが部屋に入ってきた。
「いいだろう、ヴェイン。千年ぶりなんだ。あぁ、やはり俺のいる場所はここだ」
エリィは手についた血を舐め回している。
「さぁ、帰ろう。新しい仲間が待っている」
「戦うのか?」
「あぁ、教室の生徒を殺すよりももっと楽しくなるぞ」
「くくく…やっぱお前は最高だ、ヴェイン!」
エリィはヴェインと共に学校を後にした。




