77/82
廃駅列車。
幻想に帰す。
皆に忘れられた廃駅列車
蔦の巻きつくホームに一人
褪せた薄茶の掲示板と
点滅する電光掲示板を
交互に見やる
十六年前のチラシが貼られ
同じ時刻を刻むホーム
駅員は幽霊ながら
こうして僕と会話する
列車がくる
錆びた音を響かせて
赤茶色の胴体を震わせて
ただ一人の客を乗せるために
ホームへと入り込んだ
油圧の抜ける音
錆びながら稼働する車輪
しばらく窓から外を見る
数十分ほどで景色は暗転し
乗っている電車は廃駅発ではなく
いつもの名古屋市の地下鉄
また帰ってきてしまった
今度はどこに行こう
廃駅列車の場所は
僕しか知らない




