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皆と一緒なら楽しくなるのよ

 翌日私が目を覚ますと、隣には誰もいなかった。いちごはいずこに!?

「……え?」

 手紙が置いてあった。『雄哉♡』と書いてあるから、私宛てだよね。そう判断して、私は封筒を開けた。

『雄哉、私は暫く旅に出るわ。そうゆう設定でお願いね? すぐ帰るつもりだから、……ゴメンね。すぐ、すぐだからちょっとだけ待っててね? いちご』ふあ? 何じゃい旅って! 予感が当たったんだね。とっても嬉しくない、予感的中だね。

「どうしよう。」

 いちごがいなくて、操られてなくってって……私がちゃんとやんないとじゃん。私はさっさと顔を洗って歯を磨いた、その時何だか可笑しなものを見つけた。鏡に私以外の人間が映っている、心霊現象……そんなたぐいの幻覚なのかな。この少女は誰? 何なの? 私は怖くなり、その場を足早に立ち去った。そして着替えを済ませ、パンを食べ終わるとすぐ部屋を出た。

「王様、大変でいやがるのです。勇者たちが彩世界カラーワールドに出現しやがったのです。」

 本世界ブックワールドがダメだったからって、今度は彩世界かい? 私一人で何とかしてやる! 気合を入れて私は、ちよこくんにお願いをする。

「分かったよ、私が彩世界に行く。送ってくれないか?」

 魔法使えない設定って、結構めんどくさいんだよね。

「分かりやがったのです。」

 ちよこくんのワープで、私は何とか彩世界に送られた。すると、私の体が勝手に動き出した。

「随分と綺麗に色塗りしてくれてるみたいだね? 私は嬉しいよ。」

 由里くんに向かって? 私は勝手にそう言った。ということは、私じゃない方の私だ!

「嬉しいの? じゃあ、一緒にどうかな。」

 可愛いね、この子も。一緒に色塗りしたいけど、私じゃ許可は貰えないみたい。……てか、由里くん1人なのかい? 珍しいね。

「私も一緒に色塗りさせて貰うよ。いや、色抜きかな?」

 そう言って私は草に触った、すると草の色が白に近付いて行った。ここの色は、人々の幸せの数だけカラフルになる。そう聞いたことあるんだよね。じゃあ色を抜くって、幸せを奪ってるって意味にもなるんだね。

「意地悪! 何で白く戻しちゃうのよ。」

 由里くんが頬を膨らませた、可愛い。その時、私の手の中に緑色の玉が出現した。さっきの草の色かな? じゃあこれには、幸せが詰まってるってこと? これで全然関係ないアイテムだったりしたら、私本気で怒るからね。

「白い方が、綺麗に見えないかな?」

 私がそう微笑んだ時、目の前に光が発生した。転移の光かな? いくら私でも、転移の光くらい分かるんだもんね。

「由里! 学校の時間になっちゃうゾーッ!!」

 男性の物凄い大声が聞こえてきた。

「健人と、あと君たちも。学校の時間なんだってよ。」

 由里くんの声が聞こえると、光が更に強くなった。光が無くなると、由里くんはいなくなっていて代わりに優花くんがいた。

「あれれ、人が変わったね。」

「誰だっていいでしょ? 別にさ。でも元々勇者と戦士でやってたところを、魔術師だけに任せるって酷くない? きついよね。」

 優花くんはなぜか私に愚痴りながらも、酷くダルそうに色を付けて行った。さすがいい人だね、超高速でここの色塗りが出来るくらいだからさ。もう神なんじゃない? 神の能力でしょ? 絶対そうだよ。

「誰だっていいけど、てか……戦士なんてどこにいたの? 気付かなかったよ。」

 そう言って私はまた、色抜きを再開した。こんな目の前で色を抜かれて、よく怒らずに色を塗っていられるね。だってさ、普通嫌になっちゃわない?

「勇者と戦士が一緒にやってたんだけど、丁度キミは由里ちゃん担当のとこに現れた。それだけの話でしょ? 何も可笑しくないわ。」

 でも折角出るんだったら、勇者よりも弱そうな戦士と最初に戦いたかったな。そもそも戦士とは殆ど関わりがないんだよね、勇者よりはあるかもしれないけどさ。

「ちょちょちょちょっと待って!」

 私が勇者との思い出を思い出そうとしていると、優花くんがいきなり叫んできた。何を待つの? 今更、色抜きに気付いたりなんかもしないだろうしね。

「何よその玉、色抜いたときにそんなの出るの?」

 知らなかったの? いや、私も知らなかったけどさ。

「へえ、知らないんだ。こんないいアイテムを?」

 いいアイテムなの? それとも嘘? こう言って、『悪世界ダークワールドに良いアイテムを渡す為に、私はこんなことを? 有り得ない!』と思わせるか。だってこの人(この人ってか私だけど)、頑張って彩世界から追い出そうとしてるし。彩世界に何かあるのかな?

「いいアイテム? そうゆうことね、はいはい分かった。」

 この様子じゃ、優花くんも私と同じ結論に至ったみたいだね。優花くんは呪文を唱え始めた、すると優花くんの手から緑色に光る何かが出てきた。それはどんどん大きくなっていき、遂に弾け飛んだ。光で何も見えなくなって、光が無くなると葉っぱや草が全て緑色に染まっていた。何それ超便利、そんなの出来るんなら最初っからやればよかったのに……。

「……え。」

 私じゃない私の人も知らなかったみたいだね、こんな素直な反応するなんてさ。てか驚いてて慌ててて、魔法の阻止をしないってゆうね。だって私の能力は防御と魔法無効化だけだと思ってるんでしょ? だとしたらさ、使えるときには使おうよそんなの。使わないとか笑っちゃうわ。いや私的には、使わないでいてくれたの嬉しいけどさ。

「えって何? どうしたのよ。」

 そう言うと優花くんは微笑んだ。分かりずらく呪文を唱えてるのかな? 私の答えを黙って待ってるふりして……、みたいな感じでさ。今度は何が起こるんだろう。ワクワク☆ しかし、何も起こらなかった。

「……え。」

 今度は優花くんがそう言う番だった、どうしたんだろう。

「えって何? どうしたのかな。」

 私は優花くんの言葉と同じようなことを返した。今更言うのもなんだけどさ……、性格悪くね?

「どうもしないよ☆」

 優花くんはそう言って、驚きの表情から満面の笑みに変わった。それと同時に空や水が水色に染まった。空はただ曇ってたようにしか見えなかったけど、水は……何だろう。白くても、味とかは普通の味なのかな。

「……な。」

 私じゃない私の人さんが、こんなに驚いてばかりなんて……。明日は大槍が降るよね、絶対。

「今度は何? ながどうしたの?」

 優花くんは嘲笑うような、そんな笑みを見せてくれた。これは、もしかして私のことをバカにしてるのかな。

「いや、どうもしないよ。」

 私じゃない私さんは、魔法を使おうとしたのか呪文を唱え始めた。……私の体であることも忘れて。私は私によって魔力封印の呪いが掛けられてるんだよ? でも呪いを解く方法なんて、掛けた本人を殺すか星くんに頼むかが基本なわけでしょ? 掛けた本人を殺しちゃったら、私も死んでるから意味ないし。もう一つの方法だって、頼んでも星くんが解いてくれる筈ないね。要するに使うことは出来ないんだよ。本物の体の持ち主、つまり私以外にはね。残念だったなあ、はっはっは。

「あんまりどうもしない顔に見えないよ?」

 決してどうもしなくないからね。ほらほら優花くん、もっと言ってやれや。

「世の中を知らない王様が、わざわざこんなところに出てくるから悪いのよ。」

 世間知らずって、私に言った訳じゃないよね……? 私を操ってるやつに言ってんだよね……! 私は確かに言ってやれって思ったけど、私にもグサッと来るようなことは言わないで。

「世の中の常識を知らないのは、アイドルちゃんだって一緒でしょ。」

 私が手を広げると、空がまた白くなった。

「てか意味分かんない。何で色を抜いて、全て白くしようとするの?」

 空が水色になった。

「白くなろうが興味ないよ、このアイテムが欲しいだけさ。てか逆にそっちは、何でカラフルな色なんて付けようとするの? そっちの方が意味分かんない。」

 空が白くなっていき、葉っぱまで白っぽくなってきている。

「そんなの、そっちの方が綺麗だからよ。彩りは重要よ!」

 そうなの!? 平和のなんチャラとかじゃなくて!? そっちの方が綺麗になるかもしれないけどさ……。

「色んな色の部屋よりも、白で揃えたシンプルの部屋の方がいいでしょ!だから白が良いよ。」

 何の話!? 今さっき、興味ないって言ったばっかりじゃんよ。

「それはそうかもしれないけどっ!」

 このまま優花くんと私は、どうでもいい言い合いを続けていた。そして……、空はマーブル色になってしまった。

「きゃっ濡れた!」

 私が悲鳴を上げた。私がだよ? 優花くんがじゃなくって、私だからね。

「あんたが変なことばっかするからじゃん、晴れてれば雨なんて降んないし!」

 雨だったの? いきなり水が降って来て驚いたけど、その後は何もないから雨じゃないんだと思うんだけどな……。

「色が混ざっちゃったから、こんなことになるのよね。大丈夫なの? 怪我とかしてない?」

 優花くん、可笑しいとは思わない? こんなことって言っても、ただ手が濡れただけだよ。怪我とかする訳ないよね、大変な事件じゃないんだよ。分かってるかい?

「大丈夫だけど……。」

 私がそう喋り始めた時、メールが届いた。何? 『謎の人物』くんからか。……面白い名前だね……、危ない人じゃない? まあ、とにかくメールの内容を。『人間世界に勇者を見つけました、どうします?』ただそれだけ、ただそれだけ書かれていた。愛華くんかな? あの子、謎とか付けるの好きだし。

「優花くん、私はもう帰るよ……。」

 そう言って私は、『向かうから迎えお願い、私の居場所は分かるんでしょ?』と言うメールを愛華くんに送った。転移もワープも使えない設定だっけ、めんどくさいな。

「空はあたしが戻しとくから。」

 優花くんが手を振ったので、私も手を振り返した。この空を戻せるんだ、凄いね。

「王様、迎えにきました。」

 すぐに後ろから、愛華くんが出現してくれた。

「じゃあ、行こうか。」

「はい。」

 私達はよく分からないところにワープした。

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