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皆で一緒に、悲しみも乗り越えて行けたらね

「ふふふふ、あはははっ。泥付けられても気付かないわけ? すぃー。」

 いちごが爆笑してる、ってことはいちごに付けられたのか。でもどこで?

「面白いわ、どこで付けたのかも教えてあげるわよ。転んだとこの床よ、あそこにそっと泥を用意しといたの。雄哉なら、絶対に気付かないと思ってね。」

 成程、2段重ねの罠だったわけだね。

「私はシャワー浴びてくるよ。」

 でもそれって、シャワーを浴びてきなって言うメッセージでしょ? 本世界でもう十分汚れたし、自分で言うくらい綺麗好きの私には耐えられないって分かってるから。でもいちごを待たせちゃうんだったら、シャワーを浴びてくるなんて私が言えないことも分かってるから。

「一緒にどう?」

 いつも通り私は、一応いちごのことを誘ってみる。

「……。」

 いつも通りすぐ否定してくると思ったら、何も言わずに冷たい視線を浴びせて来た。確かにそっちの方がダメージあるかも、うぅキツイね。

「分かったよ……、1人で行って来るよ! 急ぐから待っててよ!」

 遂に私は耐えられなくなり、たった1人で立ち上がった。

「待ってるわよ。」

 足れ気味に、いちごはそう返してくる。いちごが喋ってくれた、良かったぁ。

「覗かないでよ?」

「ほら早く!」

 でもこの急かし方、キツイ口調がいちごらしいよね。まあいちごが待っているので、私はのんびりしていないでさっさとシャワーを浴びて戻った。

「いちご、蘭くんは?」

 どうしたのかな……。いちごが口を開いてくれようとした時、ノックの音がした。

「誰?」

 いちごと2人きりの時間を邪魔されてちょっと不機嫌になりながらも、私は悪世界の王様風にクールのそう問い掛けた。

「仁志です。」

 何だ仁志くんか、しつこいな。モブのくせに、何でそんなに出てくるのさ。さっき出たでしょ? もういいじゃん。

「何の要?」

「箱の中身、調べました。」

 ああ、箱届いてたね。私がドアを少し開けると、そこから紙が差し出されてきた。私じゃない私さんが変なお願いするから、変なところに変な人が来ちゃうんじゃん。

「ありがとう。」

 でも命令に従ってくれた仁志くんには、私もお礼を言っておく。別に仁志くんは悪いことしてないからね、やれって言われたことやっただけで。私がドアを閉じると、いちごが私のすぐ後ろに現れて紙を奪い取った。そして、暫くしてから話し始めた。何だろう、仁志くんが遠くに行くのを待ったとかかな。

「で、蘭の話よね。蘭には、ちょっとした捜査を頼んでおいたわ。」

 元々いた席に戻ると、いちごはそう言ってくれた。捜査って何の? 蘭くんにいちごが頼む、分かんないよ。

「何の捜査かは聞かないで頂戴、雄哉には少し知らずにいて欲しいなと思うようなことだからさ。今度は他の質問を、お願い。」

 私には知らずにいて欲しいこと? 何だろう、でもいちごが嫌って言うなら……。

「他の質問? んじゃあね、さっき仁志くんが持って来た紙は何?」

 そっちも、凄い気になるんだけど。これは私が知ってもいいことだよね? だって気になるもん。

「こうゆうものよ。」

 何を思ったかいちごは、そう言って名刺を渡す風に渡してきた。食べ物とか鉄とか薬とか書いてあるね、分かったよ! 華世界からだね。さっきのゲームで資源を送るとか言ってたもん! 記憶力も推理力も抜群だね、さすがは小山雄哉さ。

「ふ~ん、分かった。それじゃ次ね、何で私は私になったの? 私じゃない私の考えなんて、いちごに分かるとは思ってないんだけどさ……。」

「酷いわ! 私なんかに分かる筈ないと! 私はバカだと!」

 ちょっと言い間違えちゃったの? 言い方が悪かったとかかな。いちご滅茶苦茶即答な上、何だか怒っちゃってるみたいだよ。私、そんな酷いこと言っちゃったのかな?

「ゴメンゴメン、怒らないで教えて♡」

 私はいちごに手を合わせて、そうお願いした。

「う……ま、まあいいわ……。貴方の体が貴方に戻された理由はね、接続を私が切ったからよ。この資源や蘭との約束の為に、全力で頑張ったのよ。」

 さすがだね、いちごが頑張れば何でもできるじゃん! 天才だよ。

「王様~!」

 そんな感じに私がいちごを見ていた時、部屋の外から女性の声が聞こえてきた。綺麗な声だとは思うけど、私といちごとの時間を邪魔するほどかな? ったくもう。

「入っていいですか?」

「誰かな。」

 入っていいか聞く前にさ、自分の名前くらい言うのが当然じゃないかな。仁志くんみたいに声だけで分かるような分かりやすい声だって、一応名前を聞くレベルに私は慎重だってのにさ。

「すみれです、武藤すみれですよ~。」

 すみれくんか、どうかしたのかな。

「入っていいよ。」

 まあすみれくん何だったら、別に危険はないだろうしさ。私がドアを開けてあげると、いちごの表情が明らかに不機嫌になった。ここまで明らかにいちごの表情が動くって言うのは、いちごの作った表情だよねきっと。てか2人の中があんま良くないのは知ってるけど、何でなんだろう……。

「あれ? つるぺた泥棒ババァもいたんですね。」

 すみれくんは、入って来るや否や私のいちごに暴言を吐いた。

「変態老け顔家畜野郎がどうしたんですかいな。」

 2人はバチバチと火花を散らして睨み合っていた、やっぱ会わせない方が良かったかな。でもそれじゃあ、いつまで経っても仲良くなれないよね……。仲良くして貰わなきゃだね! 仲間なんだから。

「2人とも落ち着いて。」

 私は止めに入ったが、何1つ変わらなかった。

「王様も女性は胸が大きくて若い方がいいですよね?」

 すみれくんに聞かれた、普通の人はそうだったりするのかな。でも私は……。

「私は胸が小さい方が好みかな。」

 私がそう答えると、少し凹んだ様子だったいちごが満面の笑みに変わった。何でだろう。私の好みを言っただけで、いちごが喜ぶようなこと……。

「雄哉は実年齢より上に見える老け顔より、若く見える人の方がいいですよな。いつまでも変わらず、若さを保っているんですぞ。」

 今度はいちごに聞かれた、そりゃそうだね。

「当然でしょ、若く見える方がいいな。むしろ私は、幼いってくらいの子がいい♡」

 よくロリコンとかって、言われちゃってたんだよね……。王様パワーを使えば、小学校にだって幼稚園にだってお話とか見学とかに行けるんだよ? それどころか私が行くことで、先生たちだって喜んでくれるのさ。にししし。

「このロリコンに訊いたのが間違いでした。」

 すみれくんにロリコンって言われた、別に今更凹みはしないけどさ。

「誰だって小さいものは可愛らしくて、逆に大きいものは恐ろしいと感じるものですぞ。」

 それはそうだね。昆虫類は基本的に可愛いし、逆に象とか麒麟とかは恐ろしいよね。

「そんなのよりさ、何か要があるの? わざわざ私の部屋まで来てさ。」

 すみれくんが私の部屋に……、でしょ? 何があったのさ、遊びに来たってことないよね。

「遊びに来ました!」

 今ないよねって考えたの、何でそんなときにそんなことを言うのかな。嘘に決まってるよ、だって有り得ないもん。

「何があったの? 早く言って。」

 自分の部屋にいるときくらい、ゆっくりさせて欲しいものだね。

「牢獄の人が、また逃げ出してしまったのです。もう少し強化しては? という相談にやって参りました。」

 ああ、資源が少なくて牢獄とかは上げて無いんだよね。私じゃない方の知らない私さんが、倉庫とか城の強化に使っちゃうからさ。ん? 今回の資源は、いちごが隠したんだよね。それは使える? むう、でもその資源を牢獄には回したくないなぁ。

「いや、やめとくよ。牢獄になんか使いたくないさ。いちご、分かるね?」

「すぃー、分かりましたぞ。」

 良かった、ホントにさすがいちごだね。

「すみれ、もう休んでいいですぞ。」

 優しく温かく、いちごは笑顔でそう言った。

「何で私がつるぺたババァの言うことを……!」

 しかしいちごが手を振って払うと、すみれくんは叫び出した。

「じゃあ命令ですぞ。すみれ、出て行きなさいな。」

 するといちごは、冷たく静かな声で言う。

「……! 分かりましたよ。」

 すみれではいちごの命令に逆らうことは出来ないので、すみれは渋々と言った感じで部屋を出て行った。

「お願いね、その辺のことは全部いちごに任せるよ。」

 裏方の辛い仕事は、全部……。私は表面の、目立つし楽な仕事くらい。

「雄哉、私は別に……辛くなんてないからね?」

 いちごは優しいんだね、やっぱりとっても優しいんだよね。

「そう? なら良かったよ。頑張ってね♡」

 私はいちごの頭を撫でてあげた、するといちごの顔が真っ赤に染まっていった。

「ゆ、雄哉!」

 慌てた様子で可愛らしく、私の手を振り払った。どうしたのさ、てか何するのさ。

「雄哉ってさ、彼女とか欲しいと思う?」

 え? いきなりどうしたのさ、何さ何さ。女子の大好きな恋話こいばなって奴? でもあれは、女子同士でするものか。

「うん、欲しいと思うよ。ただ、私にそんなこと許されないだろうけどね。」

 悪の王、なんだもん。彼女なんてね?

「もしも許されれば、許されるならば……! 誰かと付き合ったりする?」

 いちごは少し近づいて来て、私にそう問い掛けて来た。

「しないと思う。」

 しかし私がそう言うと、今まで見つめていたいちごが少し目を逸らした。

「私に幸せになる権利なんてないの。それにさ、私と付き合ってくれる女子なんて中々いないと思うよ? 私の立場だってあれだし……、さ」

 こんな話は切り上げてしまおう。私はそう思ったのだが、いちごが何か言おうとしていたので言うのをやめた。

「雄哉はさ、もし! もしも、例えばだよ! もし私が雄哉のこと好きって言ったら、どうするかしら。」

 いちごが、私を……? 現実じゃ有り得ないよ。私を異性としていちごが好んでくれるなんてね、だって幼いころからずっと一緒にたんだから。でももしそう思ってくれてるなんてことがあれば、私は……。

「謝る。これ以上いちごに迷惑は掛けられないから。」

 だっていちごは、私よりももっといい人と結ばれるべきだもん。

「すぃー。」

 しかしいちごは、とても悲しそうな顔をしていた。いちごの頬をそっと、滴が伝ったような気がした。

「眠くて欠伸が出ちゃったわ、お風呂入ったらもう寝るわね。この部屋で。」

 欠伸? それじゃああの涙は、欠伸で出ちゃっただけだってことかな。…………っては!? この部屋で寝るの? 今、普通に流しちゃってたよ。

「まあいいや、一緒にお風呂入る?」

「さっき入ったでしょ。」

 私の言葉に被せて来たよ、即答なんてレベルじゃないよ。

「じゃあ、一緒に寝る?」

 普段のいちごだったら、じゃあの意味が分からないとか言って来るとこだけどね。でもこの部屋で寝るってことは、一緒に寝るってことだよね。

「……え……う。」

 しかし結論を出すのが早いいちごが、考え悩んでいるようだった。

「……あ。」

 暫くすると決まったらしく、軽く頷いてくれた。

「一緒に寝てくれるの!?」

「今日だけよ?」

 可愛いわ~、天使すぐるわ~。不安げに見上げてくるとか、もう神! GOD!

「……ふふっ。」

 でもやっぱり、どこか悲しそうな笑顔だよね。何か、何かあるのかな……? 心を読もうと思った。だけど私は魔法使えない設定だしな、どうしよっかねぇ。

「んじゃね。」

 いちごは立ち上がって、歩き去ってしまおうとする。

「覘いていい?」

「ダメに決まってるでしょ!」

 おお! その答え方こそ、いちごって感じだよね。そんなことないとしても、私はそう思うね。

「調子乗んないよ、もう。」

 いちごはタッタッタと走って行った。いちご……、どうするんだろう。何かをするんだろうね、でも何かって何? 分からなけど、いちごがいなくなっちゃうような予感が……。そう思ってしまうともう忘れられず、私は怖くなってきた。いつもずっと隣にいたいちごが、これからもずっと隣にいる筈のいちごが? 私の隣からいなくなるなんて……。そんなこと考えられない、考えたくない。

 もしもそんなことが起これば、私は抵抗なんて出来ないよ。思うままに操られて、最悪な政治を尽くすでしょう。

「雄哉、ありがとう。ご飯は軽く済ませて、早く寝ましょう。」

 戻って来たいちごは、笑顔でそう言ってくれる。あれ? いつもと何か雰囲気違うね。

「そうだね、パンを用意するよ。それよりもさ、いちご……どうしたの?」

 どこが変わったんだろう。パンを段ボールごと机に置いて、私は食べ始めた。

「どうしたのって? 髪型のことかしら。」

 え? 髪型がどうしたの。

「ちょっと大人っぽくをイメージしてみたのよ♡」

 いつもツインテールだけど、今は縛る位置がちょっと低いのかな? それに髪を前に出してるから、大人っぽくってことだね。でも何で? 子供っぽい方が似合うと思うけどね。

「えへへへ、すぃーすぃー♡」

 いちごは超絶可愛すぐる満面の笑みになり、いつもの髪型に戻した。何がしたかったの? 結局。

「雄哉は優しいわ。やっぱり、凄く。すぃー、ありがとね♡」

 どうゆう意味なの? 私が優しいって? い、ちご……いなく、なんないでよね? そんな『旅に出るんだ、雄哉さよなら』みたいな、悲しい雰囲気出さないでよ。

「すぃー、いただきます。」

 いちごもパンを食べ始めた、普段通りを装った笑顔で。

「やっぱパンは美味しいよね。」

「雄哉は何でも美味しいんでしょ?」

 あー、いちご酷~い。私が味わからないみたいな言い方しないでよ、意地悪ぅ。私は無言にしない為に言っただけであって、だからそんなに冷たく即答することないと思う訳で……。

「失礼だなあ。」

 私だって味くらい分かるもん。

「すぃー♡」

 しかしいちごはそう言って、触れもしてくれずに華麗に流した。

「そういや、すぃーって何だっけ?」

 いちごがよく言ってるんだけど……、何かあったっけ。

「覚えて、無いの? 雄哉が教えてくれたのに……。」

 私が教える? 何だろう、え? いちごが凄い悲しそう。

「ほら、私がまだ幼かった頃……。」

               ☆

 私は生まれつき怪物のような能力ちからを持っていた為、親戚や家族からも避けられていた。その怪物の話を聞いたのか、王様は私を手に入れる為に甘世界スィートワールドの私の家まで来たの。そこは覚えてるわよね? それで王様が、私を連れ帰ろうとした時よ……。

「うえ~ん、うぅぅうわ~ん!」

 5歳だった私は、知らない男の人に掴まれて当然泣き叫んだ。

「泣かないで。」

 子供な王様である雄哉は、頑張って泣き止ませようとした。でも、5歳の子が聞くわけがないわ。

「泣いてんじゃねぇよ!」

 親は王様に嫌われては大変だと、無理に私を泣き止ませようとしていた。

「そんな言わないで、私はただ……。」

 王様は悲しそうな顔をして、私の手を引いた。そして誰もいない場所に行ったの。

「可哀想に、大丈夫? そうだ、魔法の言葉を教えてあげるよ。上手くいかない時には、Sweetって言ってみな。そうすると世界が甘くなって、ちょっと楽しく見えるんだよ? いちご君も泣かないで言ってみな。」

 小さな私は、そんなことを言われてもよく分からなかった。

「難しかったかな? じゃあ、私の真似してみてよ。sweet♡」

「すぃー?」

 私が頑張って真似してみた言葉なのよ。今ならSweetって分かるんだけど、やっぱりすぃーって言いたいのよ。あの時と同じようにね。決して変えたくないの、拘りって奴? まあ雄哉も、これで思い出してくれたかしら。

               ☆

 思い出した思い出した。でもそんな小さいころのことを完璧に覚えてるなんて、やっぱりいちごは頭良いね。

「そのことは思い出したけど、私の記憶ではちょっと違うかも。」

「嘘? 私もそんな小さいころの話だと、記憶が曖昧だったりするのかしらね。」

 私の記憶が間違ってるかもだけどね。

「私の記憶じゃあ……。」

               ☆

 私は最強級の能力ちからを持っていると言う少女の家まで行った。

「本当に子供を連れ帰っちゃっていいの?」

 誘拐とかになんないよね? それだったら、いいん……だけど……。

「はい、連れてってくれるなら楽になっていいです。いちごという奴なんですけど、気を付けて下さいね? ホントに。」

 酷いことを言う人だね。いちごくんか、可愛いね♡

「うえ~ん、うぅぅうわ~ん!」

 いちごくん? は、私が触ると泣き叫び出してしまった。まあ、そりゃそうだわな。

「泣かないで。」

 私はどうにか泣き止ませたくて、オロオロしてしまった。

「泣いてんじゃねぇよ! ……クソがきめ。」

 親と思われる人が怒鳴った。この子、可哀想だよ。とっても怯えた目をしているよ? 私は親としてこの人と会ってるけど、こんな酷い奴親じゃない! 私が絶対にお持ち帰りするよ。

「そんな言わないでよ、私はただね……。」

 私は悲しくなって、いちごくんの手を掴んだ。そして手を引っ張って、誰もいなそうなところに行った。別に、変なことしようとしてる訳じゃないからね? 相手は5歳児だから。

「可哀想に、大丈夫? そうだ、魔法の言葉を教えてあげるよ。上手くいかない時には、Sweetって言ってみな。そうすると世界が甘くなって、ちょっと楽しく見えるんだよ? いちご君も泣かないで言ってみな。」

 私は一生懸命微笑んで見せた。あれ? いちごくんは首を傾げてる。分かりずらかったのかな? どうすればいいんだろう。

「難しかったかな? じゃあ、私の真似してみてよ。sweet♡」

「すぃー?」

 か、可愛い♡ 可愛過ぐるわこの子♡

「スィート。」

「すぃーと!」

 可愛い♡ お持ち帰りしていいんでしょ?

               ☆

「って感じで、もっと可愛い可愛いとキュンキュン連発だったと思うんだよね。てかそれで、そのままいちごをお持ち帰りしちゃったんだよね? もう10年以上一緒にいるのか……。」

 でもいちごくんって、今だと何か違和感があるね。

「全然違くないじゃない、変態! ロリコン、すぃー♡」

 変態とかロリコンとか、失礼なことを言うね。可愛いって言ってあげてるのに! 全く、素直じゃないなあ。

「ご馳走様でした。」

 いちごは手を合わせてそう言った、食事中だっけ。無意識のうちに、私もパンいっぱい食べてたみたい。

「私もう眠いから、ご馳走様するよ。」

 今日は久しぶりに、いちごが一緒に寝てくれるって言うし。

「ねえいちご、私の歯ブラシ貸してあげよっか?」

 持って来てないでしょ? 遠慮なく使っていいよ。

「自分の持ってるからいいわ。」

 え? いちごの手に歯ブラシが出現した。何で持ってるのさ、私は結構なショックを受けた。そのまま仕方なく二人違う歯ブラシで歯を磨いて、私はふらふらとベットに倒れ込んだ。

「すぃー♡♡」

 隣にいちごも入って来てくれた、可愛い♡

「おやすみ。」

「じゃあ、おやすみのキスする?」

 私はいちごに迫ってみた。

「しないわよ! ったくもう。」

 怒られた……。雰囲気的にも、キスしてくれると思ったんだけどな。でも反応なしほど悲しくないし、いちごの反応的にも少しは想像してくれたのかな? ちょっとだけでも、悩んでくれたとか……。

「でもどうしたの? 今更一緒に寝てくれるなんて。」

 小さい頃はずっとそうだったけど、最近はそんなことなかったもんね。私が何気なく訊くと、いちごは少し私から目を逸らした。

「寂しく、なんないように……。」

 そして小声で、そう言ったのであった。寂しくって? どうゆうことさ。

「ま、まあいいでしょ!? もうおやすみ、私は寝るわ。」

「あ、うん。おやすみ。」

 気になりはしたんだけど、そのまま私は眠りに落ちた。 

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