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皆様が楽しいなら、私はそれで宜しくってよ

            風

「愛妃の気配が、無くなった? ……華世界フラワーワールドにいるの!?」

 優花は驚いている様子だ、でもさすがの優花は気付くのが早いわね。

「ならば、僕達も行きましょう。」

「帰れてることを確認して安心する、それと宝石を渡すってことね。」

 一志も優花自身もそう言っているのだが、優花は由里の手の上の宝石を見つめて動かなかった。

「安心するって、帰れてないかも……。」

「いや、大丈夫。」

 由里の言葉に対して優花は、はっきりと断言した。

「でも、行くの? 行けばそれがミッションかも知れない。だけど、んー。」

 言葉の途中で、優花は何かに気が付いたようだった。

「罠かもってことですか?」

「でもこれ、探してるんなら届けてあげないと可哀想だよ。」

 優花は由里の答えに満足したようで、笑顔を見せた。何だ、そうゆうことだったのね。

「じゃあ行こう。」

 そう言って優花は、由里のことをキラキラ見つめていた。

「多分、私もう無理よ?」

「ガーン。」

 いやいや、それは口に出して言うものじゃないでしょ。ショックを受けた風の顔をした後優花は、再びメール? を送ったようだった。

「ゆかたんの為に、転移隊参りました。」

 するとすぐに、沢山の男性たちが現れた。最早優花は、自分でやるつもりないのかしらね。

「華世界まで、お願い☆」

「はっ!」

 家来かよ、多分ファンよね。まあとにかく、全員無事に華世界へ転移した。

「ばれないようにしよ。」

 優花は姿を蟻に変えたようだった、そしてそっと愛妃の足元に宝石を置いて逃げ去った。愛妃は動かない、それなのにどうして蟻になっているのかしら。だってまさか、それを優花が知ら無い筈ないでしょ?

「じゃあ、不思議世界ファンタジーワールドに戻ろっか。」

 笑顔で言う優花の言葉に合わせ、転移の光が発生した。そして不思議世界の元いた場所に、3人だけが現れた。

「すぃー、葵は分かりますかい? 蟻の姿でやった意味が。」

 そもそもばれないようにする必要ないわ、悪いことしたわけじゃないし。

「ばれると愛妃に何か言われて、ミッション失敗になるからって優花は考えてるみたいだよ? それに挑戦者以外の人は、ターンが違くても動く可能性があるから念には念をって。う~ん、ミッションを知ってそうだね。」

 葵はそう答えてくれたんだけど、ミッションを知っている筈ないわ。だって、ミッションはランダムなんでしょ? だから何度目の挑戦だろうと、分かる筈など無いの。

「そうですかいな。よ……。」

『ステージ17 解放』


            林

「嘘だろ、若奈!? どこ行ったんだ!? 花恋さんと同じ?」

 健人が頭を掻き毟った、まあ一人はきついよね。桃花が可哀想だよ、夏澄の奴ぅ……。

「何でオレだけ残されたんだよ。」

「五月蝿い! ぶつぶつ言ってないで、早く妾を別の場所に連れてってたも。この世界は見飽きたのじゃ。」

 華世界に対して、世界が見飽きたとか……。

「蘭? 何で蘭がおるのじゃ。逃げるぞよ。」

 どうして逃げる必要があるのかしら、妹でしょう?

「早くせんと、連れ戻されてしまうのじゃ~!」

 そうゆうことか、蘭の方がずっとしっかりしてそうだものね。

「でも、どう逃げるんだ?」

「何でもよい、早くするのじゃ!」

 愛妃が叫んだ時、時間が止まってる筈の蘭が動き出した。

「愛妃姉様、帰りましゅよ。」

 蘭が封印を破ったのかな、それとも掛かってなかった? てか挑戦者以外にも、封印は掛かるのかしら。ああでも、最初は止まってたわよね。

「嫌なのじゃ!」

『ミッション17 失敗』

 蘭が目覚めるまでの数分が、制限時間ってことかしらね。少なくともその間に、華世界から脱出してなければならない。……すぃー? ここのメンバー、全員いなくなっちゃったじゃないの。どうするの?


            火

「あっ! 妾のネックレスのなのじゃ。気付かんかったのう、見つかって良かったのじゃ。」

 愛妃は優花が落とした宝石を拾った。気付いていなかったのね。

「愛妃姉様……、落としゃにゃいようにして下しゃいよ。まったくもう、なくしちゃいけましぇんからね!」

 なくしちゃいけないって、大切なものなのかな。でもこれ見てると、どう見ても蘭の方が姉よね。

「愛妃ちゃん、なんで帰りたくないの? 何か、したいこととか行きたいとことかあんの?」

 固まってても、言葉は聞えるんだ……。じゃあ他のチームが長かったりすれば、長い間同じ格好でいなきゃなんないってこと? 滅茶苦茶キツイわ。それに何も出来ずにただ暇な時間は、私が1番嫌いな時間だわ。

「妾はのう、美世界ビューティフルワールドに行きたいのじゃ。どうしても行って見たいのじゃ」

「ふ~ん、分かったわ。ねえ蘭ちゃん、行かせてあげちゃダメかな?」

 桃花は不安そうに訊いた。アイドルだわ、この可愛く見せる表情はアイドルだわ。

「……え……あ……あの……あーもう! ももちゃんに免じて許してあげましゅよ。」

 蘭が負けた!? あっ、成程。そういや蘭は、かなりのflowerファンだって聞いたことあるわ。

「そうか、なら早く連れてってたも。」

「ちょっとでしゅよ!」

 蘭は3人を、美世界と思われるところに転移させた。

「ここが美世界かのう、噂通り凄いところなのじゃ。」

「綺麗なところでしゅね。」

 あっ! この映像を王様も見ているのよね……。じゃあ平和な世界を崩そうとしちゃうかも。美世界も、そして音楽世界ミュージックワールドも……。

『ステージ18 解放』

 ステージ18……、結局いくつまであんのかしら。

「うむ、素敵じゃのう。姉様にお土産買ってってあげるのじゃ。」

 お土産? 美希に? んなのどうでもいいでしょ。

「お土産か……、ならあれとかどう?」

 桃花が指差したところは、恐らく結晶屋だった。

「それは良いのう、賛成なのじゃ。」

 愛妃は跳んで喜び……、転んだ。

「痛いのじゃ。」

 桃花が駆け寄ったが、もう手遅れね。

『ステージ18 失敗』 

 すぃー、転ばないように支えればいいのかしらね。酷くない? てかここも、全員いなくなっちゃったけど。

『ゲーム オーバー』

 遂にゲームオーバーか、映像が全て不思議世界の入口のところに変わった。


「どっちが全滅したの?」

 優花がそう訊いたけど、酷い言い方じゃない?

『オレ(わたし)たち。』

 健人と桃花が同時に答えた。まあ両方全滅したわね。

「両方か、じゃあ合同でやったのね。」

 優花は納得したようだった。やっぱこの人……、詳しいルールを知っている!? 有り得ないとは思うけどね。

「君たち、失敗しちゃったようだね。これはこれは、お仕置きが必要かな。」

 お仕置きって、王様は何させるつもりなの?

「はい、どうぞ!」

 王様の声に合わせて、光が発生した。しかし光が消えても、何の変化も無い様だった。

「何ですか、これ。」

 指輪? 夏澄の視界には、確かに指輪らしきものが映っていた。

「あたしにはないよ?」

 優花にはないのね、どうしてでしょう。

「呪いのアイテムだよ。付けているだけで、知らない人からは避けられてしまうと言うものかな? しかも勿論、外すことは出来ないんだよね。人間世界にいる間は、さすがに発動なんて出来ないと思うけどさ」

 葵が説明してくれた。てかこの人、アイテムに滅茶苦茶詳しくない?

「いいこと教えてあげる。多分不思議世界のミッションに失敗して落下した時には、誰であっても魔力が0になるみたいだよ。」

 だから伝説のメンバーに、呪いのアイテムを付けるなんてことも出来るわけか。魔力が無ければ、抵抗する力もないものね。それで優花には付いていなかったのは、落下していないからってことね。でもアイテムの効果、何だかプラスがあまりないような気がするわよ? どうしてわざわざそんなもの。

「お疲れ! もう解散していいよ。」

 そう言うと同時に、王様が目の前に出現した。

「3人とも、仲良くしててくれたかな?」

 このニヤニヤした笑い方、大っ嫌い。王様は好きだけど、雄哉のことは使わないで欲しいものね。

「うん、とってもね☆ ふふふふ。」

 葵は、満・面・の・笑・みで答えた。ちょっ、怖いんだけど。

「すぃー、王様。どうして私をこんなところに!? どうゆうことか教えて欲しいですなー!」

 どうゆうことかなんて、何と無く分かっているけどね。

「ひ・み・つ、かな。」

 秘密ねえ。でも貴方、二十代後半の男性がその仕草は……。

「秘密、ですかいな。まあ、了承しますぞ……。言いたくないことを、わざわざ言わせることはしませんぞ。今は。」

 いつもの私っぽいわよね?

「それで3人とも、呪いはどうしたの?」

 王様が訊いてきた。呪いって、葵が一瞬で解いたアレのことかしら。

「今やっと解けたところよ。呪いの解除は、私の得意分野だけどねぇ?」

 雪様? ねぇって何よ。

ーいち、ご……。危……な、い……から……早、く……逃げて。何か……しようと……し、てるみ、たいなの……。曖昧な……情、報だけど……私じゃ…………ー

 すぃー? 雄哉の声かしら。危ないって何よ、私じゃのその先は何? 逃げてって、今すぐ? ……訳分かんない。

「いちご、どうかしたかな?」

 王様に肩を掴まれた。動けない……、どうゆうことなの……?

「ん? 仲間割れかなあ。これは僕に与えられた、最高の大チャンスだね。神は僕に味方したよ。」

 葵が何かを溜め始めた。神が貴方の味方であることくらい、今更言われなくたって分かってるわよ。

「仲間割れぇ? 何を言ってるんですかいな。何回言っても学習しませんな。仲間じゃありませんぞ、他人のことなんか信じても無駄ってことですなー! すぃーすぃー。」

 このセリフ、何回言っても酷いとしか思えないわ。言い馴れたりなんかもしない、ただ酷いとしか思えない。すぃー!! もっともっと世の中が甘くなればいいのに……。

「しょれはどうでそうにぇ。信じることも大切だと、僕は思いましゅが?」

 蘭!? いつどっから現れたのよ。凄いビックリしたんだけど。

「誰も信じずに生きるなんて、寂しいではありませんの。」

 美希も……、どっから現れたわけ? だって王様が、侵入者防止トラップを仕掛けない筈がないわ。それにあれ、そんな簡単には抜けられないわ……。

「1人で出来ることなど、限られておろう? 人と人が支え合って人になると言うではないか、信じ合うべきなのじゃよ。そうは思わぬか?」

 愛妃まで……。3姉妹揃ったみたいだけど、それで何をするつもりなの? 貴方達如きで何かできると思っているの? だって恐らく優秀なのは、蘭1人でしょう? 姉2人は役に立たないわ。わざわざ3人で来たのならば、闘う筈ないものね……。そして話し合うつもりなら、王様は無敵だわ。大丈夫そうね。

「蘭、やめてっ! 皆を救いたいのっ! だkら、だからそれはやめてっ! 許してあげては言わないけど、ね? 僕からの、お願いだよ……。」

 葵が何かに気付いたみたいね。すぃー? 大変そう。華世界の人は平和な世界で生まれ育ってるわけだから、所詮は甘いことしか思いつかない。もし思いついたとしても実行する勇気はない、そう思ったんだけどな……。

「……。」

 蘭は無言で微笑んでるだけだし、何だかとても怪しいわ。まさか蘭が考えていることが、雄哉が危ないって言ったもの? ……すぃー、姉2人が来た理由は?

「蘭ちゃん、それじゃあ信じ合えていないわ。」

 雪様も何かに気付いたようね。私には分からないのだけど、やっぱり……。

ー違……うの。仕掛けよ……う……としてるのは……私の方だ……よ。蘭くんじゃ……ない……。私の……魔法に……注……意してね。それと鍵は…………宮崎…………きくんさ。……ー

 また雄哉から? でも何かを言おうとしたまま途切れてしまっている。それに、鍵が分からないわ。宮崎美希? 愛妃?

「ふっ。」

 王様の笑い声、それと共に私は意識を失った。

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