ひなも楽しいから、絶対に問題ありません
風
「覚えてろ~。」
しょぼい捨てゼリフを残し、着ぐるみの人は去って行った。
「ねえねえ、お腹空かない?」
由里が言った。今は、12時20分か。お昼ご飯の時間ね。
「じゃあ、あたしに任せて。」
優花がメールを送っていると思われる仕草をした。
「北条さん、何してるんですか?」
「ちょっと待てば、食べ物が届く筈。」
届く? 優花は何したの?
「お腹空いた~。」
ちょうどよく、由里のお腹が鳴った。
「じゃあ届くまで、これ食べてなよ。」
優花がチョコレートを取り出した。
「僕もこれをあげます。」
一志がカレーを取り出した。カレー持ち歩いてんの!?
「チョコ? ありがとう♡ カレーは、激辛って書いてあるからヤダ。」
由里は優花からチョコレートを受け取り、黙々と食べ続けた。由里が全て食べ終わった頃、沢山の足音が聞こえてきた。
『ゆかた~ん!!』
そして、大勢の人達が現れた。
「ゆかたんの為に、食料を持って来ました!」
優花のファンの人ってことかな? でもその為にそこまで行くとか、やっぱ凄いわね。
「皆! ありがとう! あたしもお礼に! 1曲歌うね☆」
『イェイ!!』
優花は水色の丸い宝石を取り出して、首元に付けた。するとそれはリボン型になり、優花の首に固定された。
「秘密のドアを開けて キ・ミ・に・会いに~行きたいの~☆」
『イェイ!!』
マイクは持ってないけど、優花の声は何だかマイクを使っているように聞こえる。どうなってんのかしら。
「星降る夜にキ~ミと 会・え・た・か・ら~」
『イェイ!!』
優花もちゃんと、後ろの人にも聞こえるように移動しながらやってるとこが偉いよね。さすがっす!
「マイスター 星の数だけ キミとの夢を描いたら~」
『ゆ・か・た~ん!!』
「秘密のドアを開けて キ・ミ・に・会いに行くよ 夢は星に届いて か・な・う・か・ら~ あたしはキミに願うよ 一緒にいたいんだ」
『Y・U・U・K・A ゆかたん!』
周りの人の声で、優花の声が聞こえなくなってるよ。
『マイスター!!』
「星の数だけ キミへの想いを言葉に出来たら~」
すぃー? もう後半だったのね。てかむしろ、まだ歌ってたのね。途中全然聞こえなかったわ。
「一緒にいよう ね☆」
『は~いっ!!』
終わっ、たの? 凄いわ~。優花1人のファンでこんなにってことでしょ? それって、一番ファンが多いと言われている桃花や、一番ファンが熱狂的と言われてる花恋だと……どうなってしまうのかしら。
「じゃっ、ありがとね~☆」
優花が手を振ると、皆が一斉に消えて行った。
「はい、これ食べていいよ。」
優花は、首の宝石を外して言った。
「うわ~いっぱい♡」
由里が目を輝かせた。
「凄いですね、アイドルとかなんですか?」
一志は知らないの? 超有名アイドル、flowerのことを。
「うん、そだよ~☆」
優花はピースした。
「こ、これは何ですか?」
一志は優花のファンが持って来た袋を開けた瞬間、硬直した。一志の視線に映っているのは、星型の白い沢山の何かだった。
「大根だよ。星型大根が欲しいって、前言ったっけね」
星型大根? 何が? てかこれ、大根なの?
「美味しいよ、私大根大好き♡」
由里は次から次へと、袋を空にしていった。
「何だろう、あれ。」
由里の視線には、木の根元が映っていて……すぃー? 土の中で光っている何かがあった。
「何か埋まってるみたいだね、取ってみよう。」
優花は光っている場所を軽く足で掘った。するとそこから、うす紫色の宝石が出てきた。
「何ですか?」
「いい匂いだね♡」
由里は、ほわわ~んという顔をした。映像じゃ香りは伝わらないわ。
「この綺麗な形、愛妃のネックレスについてた奴っぽいわね。」
優花が手に取って言った。愛妃のネックレス?
「愛妃って、美希が捜してって言ってた人よね。」
「そだね。」
由里の質問に、優花は軽く答えた。
「ではこの先に、その人はいるかもしれないってことですか。」
「そだね。じゃあ、食べたら早くいこう。」
優花は急いで食べて行った。
「ごちそうさまでした。」
「じゃあ、私もごっちゃま。」
「2人ともなら、あたしもごちそうさまするよ。」
一志、由里、優花の順に言った。そして優花は、沢山の袋を消滅させた。そのまま立ち上がり、叫んだ。
「愛妃を探すよっ☆」
『おー!』
3人は歩き始めた。
「でもここ歩いてて、愛妃に会えるの?」
すぃー!? 由里が普通の疑問を持った。
「会えると思うよ、この先に愛妃の気配があるもん。」
まあ、いるからね。でもこの後、美世界に行くとか言ってなかった?
「ふにゃ!」
由里が木に躓いて転んだ。
「大丈夫ですか!?」
一志がさっと手を差し出した。
「大丈夫よ。」
しかし由里は、手を払って普通に立ち上がった。
『ステージ14 解放』
何で!? ……何で?
林
「え……? 花恋さんは?」
「どこに行ったの?」
健人と若奈は乾いた声でそう言った。
「妾は美世界に行きたいのじゃ~。」
愛妃は足をジタバタさせて、騒いでいた。
「美世界? 若奈、知ってるか?」
「さあ、私もよく分かんないのよ。」
健人と若奈は首を傾げた。
「なぜじゃ~! 妾はいきたいのじゃ~。」
「取り敢えず、落ち着いて説明を。」
健人の対応が、どうも幼稚園生を相手にしてるみたいで。
「私達はそもそも、美世界って奴を知らないわけよ。」
若奈は手を使って、頑張って表現していた。いや、いらないよね…それ。
「妾も知らぬ、知らぬから行きたいのじゃ。」
結局誰も知らないのね、花恋なら知ってたかもしれないのに。
「美世界か、僕も行ったことないね。行ってみようかな。」
葵が呟いた。美世界って、女性ばかりのとこでしょ? てか男性の侵入を禁止されてるって、聞いたことあるわ。……それでも葵なら、大丈夫そうだけどね。
「すぃー、どんなところなんでしょうな。」
甘い世界だったらいいな。
「これから行って、見せてくれるんじゃない?」
雪様は穏やかな目で、映像を見つめながら言った。それを見て私も、再び視線を映像に戻した。
「オレ達も頑張るから、静かにしてくれって。」
健人は少し、苛立っている様子だった。
「転移ってのなら、ちょっとできると思うよ。」
「じゃあ若奈、頼む。」
若奈は頷き、呪文を唱えた。すると、恐怖世界に出た。
「疲れた、てかお腹空いた。」
本当にちょっとしか出来ないのね。
「妾もお腹空いたのじゃ。」
「確かにオレもな。」
行って3人は、同時に困った顔をした。
「リュックに何か入ってるかも。」
リュック? 健人、リュックなんて背負ってないわよね。
「ってあれ? ない。リュック、無くした……?」
今まであると思ってたの? 凄いわね、気付かないの?
「リュックって何なのじゃ。」
「何の話?」
2人の質問に、健人は顔を引き攣らせた。
「いや、何でもないよ。……あはははは。」
不自然な笑いね。健人、むっちゃ演技下手やん。……それともわざと? だとすれば、名優だけど。
「妾がお金なら持っておるが、店が無さそうじゃ。別の世界へ行け。」
若奈はもう一度転移を発動させた。ここは、音楽世界? ゆっくり進むわね。これじゃ美世界までに、何時間掛かるのかしら。
「さっきの暗い所とは違って、この世界は楽しそうじゃのう。」
そりゃそうよ。恐怖世界みたいに薄暗くて気味悪いとこと、音楽世界みたいに明るくて愉快なとこじゃね。
「あの店、食べ物屋っぽいわ。」
若奈が指差した店には『幸せを奏でる 世界で最高の音楽を作り出す店 ミュージックショップ』と大きく書かれていた。ダサくね? そして、食べ物屋っぽく無くね?
「スーパーっぽいぜ。」
近くで見た健人が叫んだ。スーパー?
「じゃあ、めんどくさいわね。私は、店の料理食べたい気分だわ。」
「スーパーって何じゃ?」
愛妃には伝わってないみたいだけど、若奈は分かったの? すぃー。
「あっ、レストランっぽいのがある!」
健人がまた言った。
「イタリアン?」
店を見て何を思ったか、若奈はそう叫び返した。イタリアンって何。
「分かんない。」
えっと、健人も分からなかったってこと?
「まあいいわ。あそこで食べて行きたいんだけど、会計は宜しくね。」
若奈が舌を出して頼んだ。あんま可愛くないわ、隣に愛妃がいるからかな。
「うむ、了解じゃ。」
でも酷くない? 会計は宜しくね、ってことは完全に奢れってことでしょ?
「健人もここで文句ないでしょ。」
「ああ、ご馳走になろう。」
3人は店に足を踏み入れた。
「いらっしゃいませ、3名様でございますか?」
店員さんの質問に、3人は頷いた。
「こちらの席へどうぞ。」
店員さんは、3人を席まで案内して座らせた。お洒落な店ね、何それ高級そう。
「うわ~可愛い。」
若奈は、音符が所々入る椅子に目を輝かせた。
「いいな~、音楽世界。僕も行きたいな。」
葵、音楽大好きだもんね。
「葵ならすぐ行けるでしょうぞ。」
魔法だけで行けば、葵は宇宙1なんだから。
「可愛いわ♡」
雪様も目を輝かせた。何が可愛いの? わたしも映像を見てみた。
「すぃー♡」
可愛い。これは、蕎麦? 若奈が頼んだのね、カラフルな蕎麦で音符が出来ていた。魔法が掛かっているのか、3Dになってるし。
「和風とか、凄い意外ね。」
「ああ、そうだな。」
健人が頼んだのは、ハートとリボンと音符でとても可愛らしく彩られているお寿司だった。細かいところは、海苔で出来てるのかな?
「可愛いのじゃ。」
愛妃が頼んだものは、音符型の天ぷらだった。主食天ぷらなの? おもっ。
『いただきます。』
3人は食べ始めた。ああ、私もお腹空いてきたなぁ。
「僕達もお腹空いてきちゃったね。」
葵に完全に読まれたわ! いや、今のは分かるわよね……。うん。
「葵、蟹買って来て。」
「何か甘いものをお願いしますぞ。」
雪様、蟹なんて食べるんだ。アイツ食べずらいじゃん。
「えー僕が? んー、まいっか。分かったよ、蟹と甘納豆でいいかな。」
何で甘いもので甘納豆なの? 別にいいけどさ。
「すぃー、構いませんぞ。」
「じゃね。」
葵が消えた。すぃー? 転移でもワープでもなかった、どうやって消えたのよ。
「にしても美味しそうね、私も食べたいわ。」
映像を見ながら雪様は、なんと涎を垂らした。…それって、リアルでもやれることだったのね。
「すぃー。私は葵が来るまで、食事の映像なんて見ませんぞ!」
更にお腹が空いて来てしまうので見るべきじゃない、そう判断した私は高らかに宣伝した。
「ねえいちごちゃん。」
「はいっ。」
いきなり呼ばれたので、驚いて声が裏返ってしまった。何それ、むっちゃ恥ずいわ。
「まだ私、怖いかな? ……そうよね。」
雪様やっぱ凹んでる。私のせいで……。
「いいえ、私は存在しているものなど怖くありませんぞ。大王だってイカだって、私の敵ではありませんからなー。」
いや怖いわよ、滅茶苦茶怖いわよ。雪様は穏やかな性格だって聞いてるけど、雪様の能力はさすがに怖いわよ。どこをどうしたって、恐れずにはいられないわよ。
「そう? 怖くないの? よかったぁ☆」
素直なのね、まるで普通の子供にしか見えないわ。だって雪様の瞳は、私にはない純粋な輝きを放っているもの。まあ素直で純粋な小学生だからこそ、能力の制御が出来るのかって言う恐怖もあるんだけどさ。
「本当に私が怖くない?」
「すぃー、全く怖くありませんな。」
どのくらいまでが、言ってOKなラインかしら。ねえ、怒らないのよね? 怒ったりしないでよね。雄哉ぁ、葵ぃ助けてよぉ。
「じゃあさ、雪様なんて呼ばないでよ。」
……どうゆう意味? まさか雪様を、呼び捨てにしろってこと? 無理無理無理無理。
「すぃー、雪と呼べばいいんですかいな。」
本人の前で呼び捨てとか、怖すぎてもう無理。雪様を呼び捨てに出来るのは、悪世界での仕事んときくらいのもんだわ。皆に恐れるものはないと伝える為に、雪様を呼び捨てにして見せたのよね……ああ怖い。
「ええ、そうね。しかし、いきなり呼び捨てってのは驚きだわ。私を怖がって怒らせないようにしてるような奴らは、言ったとしてもちゃんとかで限界みたいなのにさ。」
そっかあ、雪様がダメなら雪さんって言えばよかったのか……。
「すぃー、私は怖がっていないということですな。」
思いっ切り怖いよ、むっちゃ恐怖だよ。怒らせたりしないように、喋るたびにお呪い言っちゃってるもん。
「2人とも、随分仲良くなったみたいだね。」
葵が出現した、やっと出現した。遅いよ、葵のばかぁ。
「じゃあ注文の品、仲良く食べてよね。」
そして後から、大量の箱とビニール袋が出てきた。
「蟹は箱に入ってる、甘納豆はビニール袋ね。もう食べていいから。」
その袋全部、甘納豆しか入っていないというの? 何それ、常識的には考えられないわ。すぃー、甘過ぎるわね。葵、本当に甘過ぎるわ☆
『いただきます(ぞ)。』
袋の中から小袋を取り出し、私は中身を確認した。緑いお豆が好きなのよね。……あっ、これにいっぱい入ってるわ。
「僕も食べるよ。」
葵は、私や雪様のを取って自由に食べていた。……すぃー、様付けちゃった。
「美味しいね♡」
「美味しいわね♡」
「美味しいですな♡」
私達は3人で、仲良く微笑み合った。そしてその後は、暫く無言のまま食べ続けていた。
「僕はご馳走様ってことで。」
「それじゃあ私も、ご馳走になりましたなー。」
「んじゃ、私もご馳走様。」
私が葵に続いて両手を合わせると、雪様も私達に続いてそうした。するとビニール袋や箱は、全て綺麗に消え去った。
「すぃー、見ましょうぞ。」
あれ? 場所変わってたわ。そこは……甘世界、かな?
「健人、ちょっといい?」
若菜が健人の手を掴んだ、魔力を吸収しているのね。まあ全く魔法の使えない健人が無駄に持っているよりも、少しだけでも魔法を使える若菜が持っていた方がいいものね。
「何だよ、気持ち悪い。」
「私だって、好きで汚い手掴んでるんじゃないから!」
若菜は手を離し転移させた。でもまだ甘世界の中かしら、……まあ甘世界広いもんね。
「もう、めんどくさいわっ!」
若菜は再び健人の手を掴み、掴んだまま転移させた。華世界……か。ちょっと、ちょっとだけ飛ばしたわね。
「遅いのう、まだ着かぬのか。……って、何で妾は帰ってきているのじゃ!」
『ミッション14 失敗』
酷くない!? 絶対悪くなくない!? 何、華世界には来ちゃいけなかったの? 林は最悪ね。進むのは不可能じゃないかしら。それとも、愛妃の存在がトラップ?
火
「傷が治ってましゅ、ありがちょうごじゃいます。」
でも蘭、転んだ時に何かを拾ったわ。転んだことに意味があったのね。果たして、桃花はそれに気付いているのかしら。
「本当にこの先に、2人はいるの?」
桃花が言った。いないことを、知っているのかしら。
「ありゃ? 気配が無くなってるぜ、どうゆうこっちゃ。」
「2人とも、華世界に帰ってるんじゃにゃいですきゃ?」
そうよ、2人とももう華世界にいるわ。
「もう帰っちゃったの? じゃあ、待ってればよかったのにね。」
「蘭様の迎え、そうゆうことにしとくぜ。」
まあ結局、蘭にしか会えてないわけだからね。
「僕は迎え必要にゃいでしゅ。」
「分かってますから。」
花子はそう言って、ニッと笑った。
「で、華世界に戻るの?」
桃花の問い、2人は頷いた。
「でしゅがボク、魔力がないのでしゅ。」
「アタシも……。」
だから連れてけと?
「分かったけど、わたし転移できないの。蘭ちゃん得意でしょ、蘭ちゃんがわたしの魔力で転移してよ。」
「了解でしゅ。」
転移の光が発生し、華世界についたようだ。呪文なんか唱えてないわよね、口が全く動かなかったもの。蘭は確か、テレパシーも効かなかったのよね。分かんないわ。そもそも魔力吸収の呪文も聞こえなかったし、魔力吸収の行動も見えなかった。……いや、魔力がないということ自体が嘘かも。
何だか葵も、不思議そうな顔をして見ている。葵でさえ分からないこと? 蘭、ラン、らん。なんか楽しそう。
「姉様!! お婆様は!? 愛妃姉様は!? 何があったのでひゅきゃっ!?」
物凄く元気に、蘭は美希に駆け寄って行った。
「蘭、お帰りなさい。そんなに慌てちゃって、どうなさったんですの?」
「わしがどうかしたのかね。」
美希の後ろからは、さえもピョコッと出てきた。
「お婆様、大丈夫にゃんでしゅか。」
蘭が強力な回復魔法をさえに掛けた。何で回復? それに今回も呪文は聞えなかったが、口は確かに動いていた。
「愛妃姉様は? 無事でしゅか?」
無事ってどうゆうこと? 蘭はやっぱり何か、情報を握っているみたいね。
「愛妃はまだ帰って来ていませんわ……。」
『ステージ15 解放』
どうして今? 何か、何かあったのかしら。
「1度失敗すれば、もうダメなのか。ねえいちご、ノートのページを1枚僕に渡して貰える? 1ページ目を、もう破っちゃってさ。箱に入ってた、あのノートの。」
私は言われた通り、最初の1ページを葵に渡した。すると葵は、それに何かを描いて折り畳んだ。そして上に投げると、空中で紙が消えた。
「すぃー、何をしたんですかいな。」
甘いことならいいな……。
「願い事、かな。」
え? 願い事って何よ。響きは甘いことに聞えるんだけど、よく分からないものね。
「てかさ、国民のノートとか国王のノートとかって何なの?」
えっ? 雪様は葵に問い掛けた。アイテムとかって、雪様が作ってるんじゃないんだ……。
「国民のノートは、そこに書いておいた願いを送ることが出来るものだよ。そして国王のノートは、そこに書いた願いを叶えることが出来るもの。使い方はさっき僕がやった通りだよ、まあ強く強く願わないとダメだけどね。本当に心の奥から望む、お願いじゃないと……。」
葵が説明してくれたんだけど、何でそんなに詳しいのだろう。
「星様が作ったやつ、知らないの?」
へえ、星様が作るんだ……。
「星が作ったものは、夢世界にあるんじゃないの?」
まあどうせ、夢世界から持ち去られたとかでしょうね。
「星様が怒って封印したの、あの世界に……。」
持ち去られたわけじゃなく、星様自身があの世界にってこと? でも星様が怒るだなんて……。
「星は……、戦いや命を粗末にするようなことが大っ嫌いだもんね。原因になるものは……!」
雪様は、何かに気が付いたようだった。何だか気になったけど、雪様にテレパシーを使うほどの勇気はなかった。
「やっと気付いてくれた? この世界はね、平和の邪魔になるようなものを封印する場所。だから華世界が一生懸命守ってる、そんな感じでしょ。」
ってことは、星様が……! 雄哉、雄哉はっ!?
「ふふふ、あまり詳しくは……止めて欲しいな。ほら、見ようよ。」
葵の魔法? 私の顔は、映像の向きに固定されてしまった。
「愛妃姉様~! 久しぶりでしゅね。」
うわ、いきなり蘭と愛妃会っちゃってるんだけど。何があったのか、全然分かんないんだけど。
『ステージ16 解放 今、我は主に問う 挑戦を続けるか?』
そんなこと言ったの、初めてよね……。何で今回だけ?
「ええ、続けるわ。夏澄くんの為にも……。」
桃花は迷わずそう答えた。




