協力すれば、夢は叶うと信じていた
「あれ…?」
ここ、本世界じゃなくない?華世界じゃない?
「葵!?どうしたのよ。」
蘭!?ってことはやっぱりここは、華世界。
「あら、葵じゃありませんの。何かごようでして?」
美希もいる。おかしいな。本世界に行くはずだったのに。
「悪いけど、本世界まで送ってもらえない?」
蘭は妖精だし、転移は得意中の得意だよね。
「本世界のどこよ。」
「中央の辞書街らへんで。」
「了解。」
何で華世界に送ったの?あいつは本世界に送るもの。
本当にどうして。わざわざ慣れないところに送ったのだろう。
「おっ葵!?もう来てくれたのか!?」
「あっ桜。手紙来たから助けに来たよ。」
一瞬で桜が見つかった。本当に追われてんの?
「葵、髪が…。」
「ん?なんか変になってた?」
僕の髪がどうしたの?
「結び直しときますね。」
「うん、ありがとっ。纏めとけばいいかんね。」
瑠美じゃ、編み込んだりしかねないからね。
「で、葵。あの辺りに大量発生してる、『アレ』が私を探してるんだと思う。だから、アイツらから逃げれればOKなんじゃないか?」
あの大群…!!逃げるって。
「あんくらいなら、逃げなくても大丈夫じゃないですか?」
いやいや、あの数と戦うのは…。
「全てと戦う必要はありません。ちょっと脅してあげれば、それだけで充分でしょう?頭が悪そうですし、こっちが逃げなくても逆にあっちが逃げちゃうんじゃないですか?」
ん、んー。頭良いね、この子。
「そうか、3人なら出来るかも知んないな。」
雛乃みたいなバカがいないって、楽でいいね。
「わざと音を立てればいいか?」
桜が木々の間を、ガサガサと走って近付いて行った。
『桜だー!見つけたぞーっ!!』
見つかったみたいだね。
「僕達も行くよ。」
僕は走って桜のところまで行った。
「桜さん!助けに来ました!」
本当に大丈夫なのかな…?打ち合わせしてないし、ちょっと不安だな。
「桜の仲間なんぞ、纏めてぶっ倒してしまえっ!!」
リーダーらしき人が叫んだ。予想より頭が悪そうだ。
『うおーっ!!』
んふふっ。これならやりやすいな、思いっきり暴れてやるぜーっ!
「覚悟しろ~!行っくぜーっ!!」
ふふふふ、暴れてる時は最っ高に楽しいよね。
「葵、退いてっ!!いつまで暴れ回ってるんです!?」
あっそうだ。瑠美の声で、僕は我に返った。
「ゴメン、今戻るよ!」
今は倒すんじゃない、追い返すんだ。
『逃げたぞー!追えー!』
…想像以上の頭の悪さだよ。
「お前ら!ちょっと待て!!これは敵の罠だ!!」
んーいい感じかな?
「どうした?私を捕まえるんじゃなかったのか?なら早く来いよ。」
さすが桜だよ。何かありそう風の言い方だね。
「今度は何よ。めんどくさいわね。」
蘭がちょうどよく現れてくれた。
「妖精じゃね?」
よしっ。ざわつき始めた。
「しゃっしゃとぶっ倒しちゃいまひょっ。」
蘭も分かってくれてるね。瑠美も桜もテレパシーは得意じゃないと思ったんだけどな。
「勇者の妖精っぽいよ。」「まさかあいつら、話してた本物の勇者じゃね?」
よっしゃ!!計画よりうまくいくかも。
「最強と言われてる人たちが、私にはついている。お前らなんて、怖くもなんともないなあ。はっはっは!」
んー、桜が調子に乗っているね。
「調子に乗らにゃいで下しゃいよ。」
うんうん、す~ぐ調子に乗るんだもん。
「くっくく、頭悪すぎ。ウケるんだけど~♪くくくく。」
笑っちゃうよ。
「葵も、笑ってないで下さいよ。」
てへぺろ☆
「戦うのもダルイな。やっぱ逃げようぜ。」
「了解でしゅ。華世界に逃げまひょふ。」
僕達は華世界に着地した。
「間に合ったようだね。」
良かった。稚夏…。
「間に合ったって?」
あれ?瑠美気付いてると思ったんだけど。
「華世界が攻撃される前にってこと。…気付いてなかったの?」
「はい?」
分かんない?珍しいな。
「蘭がわざわざ、華世界に逃げるって言ってから来てくれたでしょ?」
「あいつらバカで天邪鬼だから、華世界以外を熱心に探すでしょうね。華世界に攻め込もうとしてた軍隊まで一緒に。ふふふふ、私が折角親切に行く場所まで教えてあげたのにね。」
蘭もやっぱ分かってたんだ。華世界が狙われてることも。
「なるほど。」
でも僕だって、気付かなかったよ?最初に華世界に送って貰えなきゃ、ね。
「…葵、どうしたです?」
稚夏!?いつの間に。
「桜のこと、城に置いといてくんないかな?」
「…桜です?…了解です。」
稚夏んとこにいれば、当分は大丈夫でしょ。
「稚夏、私達はもう行くわね。甘世界の愛唯を!助けにね。」
僕が蘭もつれて行こうとしていたこと、それを知ってるから言ったのかな。それとも…。
「…蘭、ど……りなの…か。意……めないのです。」
ん?稚夏は声が小さくてよく聞こえないな。僕もテレパシーあんまできないし。何より稚夏は、表情から考えが読めないんだもん。
「ふっ時機に分かるわよ。でも安心して。少なくとも、貴方に害は与えないわ。そうゆうことだから、じゃあね。」
何が?蘭、僕よりも情報がありそうだね。協力してもらおうか。
「瑠美、葵、貴方達も甘世界にで良いのよね。」
「うん、お願い。」
蘭が呪文を唱えた。ん、違う。転移の呪文はもっと短かったはず。
しかし、甘世界に転移しただけで、何も起こった様子はなかった。
「じゃあ、早くぶっ倒しちゃいまぴょきゅ。」
んー、ん。まっ仕方ないよね。よし、今度こそ暴れるぜっ!
「葵、暴れないようにして下さいよ。ここにいることを教え、愛世界にす・ぐ!戻りましょう。」
また暴れちゃダメなの?でもさ、すぐをそんなに強調しなくたっていいじゃん。
「探せって言ってたの、あいつらじゃね?」「今捕まってる勇者は、偽物とか。」
見つかった。
「蘭さん、転移の準備して下さい。」
瑠美が囁くと、それに合わせて僕は光魔法で強い光を放ち、相手の視界を奪った。奴らだってさすがに、目隠し用の光と転移用の光の違いは分かるでしょ?この目隠し用の光で転移の光を隠せば、消えたようにも見える、と。
光が無くなった。ここどこ?んー見えてきた。僕ん家の前か。
「葵、出来るだけ長く続くのを使って下さい。」
持続系は得意じゃないんだよね。
「分かった。」
その場所で魔法を使ってるように見せかけて、切れる前に別の場所に出現する。じゃあ相手が知らなそうなのを選んだ方が、もっといいのかな?
「あっいたぞ!あいつらだ!」「やっぱこの世界に現れたな。」
僕は気づかれたと同時に魔法を使った。そして、少し離れたところで転移した。
ここはどこ?見覚えないとこだな。
「夢世界?だと思いましゅ。…多分。」
道理で…。あんま来ないかんな。曖昧な言い方なのは、蘭も僕と同じで来ないからかな?
「葵!?助けてっ!!」
希!?この声はそうだよね。どこ!?どこにいるの?
「希っ!!」
希を見つけた。囲まれてる!早く助けないと。
『葵!!』
僕は駆け出した。しかしその先で待っていた人物は、希ではなかった。
「すぃー、久しぶりですなー。私が希にに見えましたかいな。」
いちご!?また、いちごに騙されたの!?そんな…。
「希は!?」
「いつもまんまと騙されてくれて、ありがとうございますなー。天才葵さんも、本当に大したことありませんなー。すぃーすぃー!」
早く、瑠美のとこ行かないと…。
「すぃー、囲まれたって怖くもなんともない、そんな表情ですなー。そんなんだから、何回も騙されるんですぞ。すぃーすぃー。」
意味分かんない。
「どうゆうこと、さ。」
「すぃーすぃーつ。甘いですなー。すぃーすぃー。」
そんなの怖くない、怖くないもん。いちごが僕を脅しているのさ。さあ、瑠美の所に行こう。僕は道を切り開こうと、呪文を唱えた。が、何も起こらなかった。魔法無効化空間!?…嘘。
「分かってくれましたかいな。ここでは魔法は使えない、魔法のない貴方なんぞ怖くありませんなー!すぃー。」
瑠美達は?
「助けは来れませんぞ。残念ながら、ここは見えてないんでしてなー。今頃は、『葵が消えた!?』とか言ってるんじゃあないですかいな。すぃー!!」
くそっ!でも魔法が使えないんじゃ、ここを抜けるのはほぼ不可能だな。
「今度は絶対に逃がしませんぞ。あ・お・いー。すぃー!」
「もう、ムリみたいだね。いちご、僕はどうしたらいいの?」
今は抵抗しない方がいいだろうね。
「死んでもらうしかありませんなー。」
そう言ったいちごは、とても悲しそうな顔をしていた。憐れんでいるの?って死!?
「やだよ。まだ。」
死にたくはないな。
「まだ、なんですかいな。」
でも従うくらいなら、死んだ方がまし?ああもうなんなの?いちごはどうして、そんな表情をしているの?
「諦めるな!戦い続けるんだっ!」
希の声だ!!希!?どこにいるの!?
「すぃー?本物さんですかいな。すぃー。」
いちごが握っていた手を開いた。すると、希が落ちてきた。
「すぃー、雑魚のくせに出てくるなんて、頭悪いですなー。」
そう言っているが、いちごの表情はどこか嬉しそうだった。普通の人じゃ読み取れない程度の表情の変化だけど、確かに微笑んだ。でも、いちごが喜ぶ理由が分からない。
「それはどうかな。」
えっ!?希、何かあるの?
「すぃー、ここで殺すよりも連れ帰った方が褒められますかいな。」
いちごが呟いたとき、希が歌い出した。
「儚くて辛~い夢だ~ったけど~。でもね~。」
…何の話やねん。
「いや、この部分を歌ってた時の葵、可愛かったなと思って。」
知らんがな。てか、可愛いっちゅーな!
「すぃー、だからなんですかいな。」
本当だよ!!
「葵、GO!!」
「きゃあ~!!!」
僕は放り投げられた。
「助けて~!!ひゃあぁっ!!」
そして瑠美のもとに落下した。
「瑠美に会えて、僕は…とっても幸せだったよ。」
意識が途絶えた。




