わたしはぜ~たい、みんな仲良しの世界を作るよ
「とても綺麗なとこ。でも、足を踏み入れると、誰も帰って来れない。だから、そう呼ばれてる。」
ふ~ん。
「城はいろんなところに書いてあるわね。」
「情報が少ないから、あんま描けなかった。城は確認できた。場所は分からないけど、全てのとこにあると思う。」
全ての、とこ?
「でも今は、ほとんどが魔王に支配されてる。」
「魔王は悪い人じゃないです。魔王は悪くないのです。」
「華世界の城は、姫が守ってるわよ。姉様も稚夏も、信じてるみたい。」
蘭と美希って姉妹にしちゃ似てないわね。
「彩世界には、なかったわよ。城も、姫も、魔王も。」
「珍しい。」
「何もなかったわ。絆も、愛も夢も何にも。今は色までなくなっちゃって。天使なんて悪い奴ばっかで、酷かったわ。」
「そんなこと、ないと思う。」
何にもないってことはないでしょ。
「葵ってさ、彩世界でどっかのエリアの、当主やってる奴の子で、愛世界の守護者の長で、甘世界で管理人やってんだよな。」
「葵は圧倒的な力を持ってるからね。」
永希と沙羅が言う。そうなの?葵ってそんな凄いの?
「でもさすがに、1人であの数と戦うのは無理だと思ったんだろうな。」
「頭が良い分、怖がりなのよね。」
「あおいんが本気になれば、勝てたかもしれませんよね。」
雛乃までが言う。。葵ってそんなに凄いの!?
「本人の体力がないから無理だろ。」
「体弱いもんね。」
「最近は元気。」
「あいつ、自分の魔法で治療してっけどよ、実際まずい病気なんだろ。」
何が?病気?
「そうだったの。なら、薬持って来ましょうか?華世界のどっかにあったはずよ。『なんでも治せる薬』となる花が。」
何でも治せる薬!?
「どっか?」
「姉様か稚夏が知ってるでしょう?」
「ひな、採りに行きたいです。」
「私は希と行くわ。いいわね。」
何で希?
「華世界ならひながっ!」
「希と行くわ。い・い・わ・ね。」
「行こう。」
2人が消えて、きらきらと光が残った。
「どうして、のんたんなんでしょうか。」
「蘭なりの考えがあるのでしょう。」
「でもよ、少しでも葵の為になればいいな。俺のことを大切にしてくれてる感じはあるが、頼ってはくれないから。」
「私としては、葵が貴方と瑠美を助けに行く!って言い出した時も驚きだったわよ。」
「あおいん、自分のこと全然話してくれないんですもん。」
「力を持ってるんだから、仕方ないわ。」
「あうぅ~!!!」
その時、葵の悲鳴が聞こえた。
「どうしたんでしょう!?」
雛乃が立ち上がった。が、沙羅が手を掴んで座らせる。
「行っちゃ駄目よ。」
「しかし、悲鳴がっ!」
「大丈夫よ。大丈夫だから、行っちゃ駄目。」
「あうぅ。」
葵が、よろよろと戻って来た。
「あおいん、大丈夫ですか!?」
「えっあぁ、うん。」
「どうしたんです!?」
「どうもしないよ。」
「もう出ちゃうんですか…。」
瑠美も戻って来た。
「次、誰入る?」
「あっ、僕最後にお湯新しくしといたよ。」
わざわざ?便利ね、魔法。
「ゆりりん、さっさと入ればいいじゃないですか。」
「ふぇっ?」
いきなり呼んだりするから、びっくりして変な声出ちゃったじゃないの。
「女子が優先ですから。」
優先されてもなぁ。
「じゃあ、私入ってくるわ。」
健人を誘う勇気なんて、私にはやっぱりないわ。
一緒に入る方がおかしいのよ!私は普通、怖がりなんかじゃない。
寒いので、さっさと洗って湯に入った。あっつ!!何でこんなに熱いのよっ!
でも、蘭と希は大丈夫かな?それに、私はこんなにのんびりしちゃってるけど、待ってる方の雪達は…。私は夜、静かに泣いている沙都子を見てしまった。私に助けられるだけの力があるなら、早く助けてあげたい。でも、どうすれば助けられのかも分からない。確かに、学校よりずっと面白い。だけど、その分ずっと怖い。稚夏と美希のことだって訳分かんないし。
どうしたら、みんなが笑顔になるのかな?
どうしたら、平和は続くのかな?
私はこの世界のことも、魔法とかも知らないけど、何だって平和の方がいいに決まってるわ。
はにゅう。何か眠くなってきたわ。
「ゆりりん?大丈夫ですか?いつまで入ってるんですっ?」
雛乃の声が聞こえて、私は立ち上がった。頭がくらくらする。
「今出るわ。」
私は、何とか服を着てリビングへ行った。
「何描いてんの?」
希がまた何かを描いていた。
「似顔絵。」
似顔絵?誰の?
「桜と和。」
上手。えっ、すげー。
「ちょっと待って。こいつ、彩世界を襲った奴だわ。名前もそうだし。」
「分かってる。でも和悪くない。」
いや、それより花は?
「オレ風呂入ってくる。」
「えぇ、いいわよ。さっさと行きなさいな。」
健人がお風呂に向かった。
「花は?あったの?」
「ありはしたわ。姉様によれば、摘むと摘んだ人の病やけがが治るらしいの。」
じゃあ、葵が行かなきゃ意味ないってことか。
「僕は別に大丈夫なのに。」
「私は葵と、少しでも長く一緒に居たいんです。だから、ね?」
「でも僕は…。」
「なら、私からお願いするわ。その花をあげるから、華世界を護るっていう仕事をして欲しいの。」
「護る?………うん、分かったよ。」
蘭。妖精と人間とで、別人のようじゃない。
「布団敷いといたわよ。」
隣の部屋から沙羅の声がした。いつの間に!
「私もう寝ていい?」
眠い。
「えぇ。」
「ひなももう寝ます。」
私は、1番奥の布団に入って、眠りについた。




