僕たちには仲間がいる だから怖くないよ
授業が終わり、昼休みになった。
「健人、一緒にご飯食べましょ。」
「…私も一緒になのです。」
クラスメイトの由里や稚夏と弁当。いつも通りのはず。それなのに何か違和感が…。何でだろう。当たり前のはずなのに…。
「…健人?…どうかしたのですか?」
「何でもないよ。」
そう、何でもないのだ。
「あっ、おいしそう。」
由里がオレの弁当を食べていく。
「自分の食えよ…。」
オレは、由里に取られる前に得意の早食いで弁当箱を空にした。
「姉に勝とうなど10万年早いでいやがるのです。」
「ちょっ、姉上!?」
ちょこれいと兄弟もいつも通り。じゃあ、この違和感は何?
「…健人、ぼーっとしてるけどまた妄想でもしてるのですか?」
「してねぇよ!!てか、オレがいつも妄想してるみたいな言い方すんなっ!」
失礼な、妄想なんてしないよ。
「違ったの?」
「違うわ!」
オレってそんな妄想野郎だと思われてたのか。ショックだな。
「…あっそういえば、私が貸したゲームクリアできたのですか?」
「1日でできるか!!って言いたいところだが、クリアできた。面白かった。超面白かった。だが、そのせいで寝てない。」
「…バカなのですね。…完っ全にバカなのですね。」
言い返せないな。確かに、それは馬鹿だと思います。はい、ごめんなさい。
「じゃあ私のは?」
「え、いやあれは…。」
由里には、『禁断のラブストーリー』というアニメを勧められていたのだ。見る気しないっしょ。男にBL勧めるってどういうことやねん。
「何よ、何か文句あるわけ?」
「ありすぎて困るわ!」
「印象だけで決めるのはよくないわ!神アニメなんだからっ。」
でもな…。
「健人、サクラ咲ク夜見て欲しいのです。…感動です。」
「分かった。稚夏は本当にいいやつを勧めてくれるからな。」
「どういう意味よそれ。」
「だって由里に前借りたゲームも最後まで女出なかったじゃん。男しか出ない恋愛ものってどういうことさ。」
「バカにしないでください。恋愛ものの女なんて邪魔をして2人の愛を確認させる、その役だけで十分です!!」
雛乃…。うわー、腐女子同士で仲良くなってる。ちょっと恐いわ。
「ねぇ健人、バラじゃなくてユリならいいの?」
「よくねぇよ!同性愛にこだわり過ぎだ!」
「…桜、とっても可愛いのですよ。」
「OK、すぐ見る。」
稚夏ちゃんは本当に名作を勧めてくれるからな。
「いつまで話してるの!もう授業よ。」
友紀子先生がもう教室に来ていた。気付かんかったわ。由里たちは席に戻って行った。
「健人!この問題説明してみろ!」
いきなり指されてしまった。さっぱり分からん。
「分からないです。」
「じゃあ、田中!」
「…はいです。」
さすが稚夏。やっぱ頭いいよな。
「次はつるけん先生の授業だぞ。」
つるけん先生というのは、科学担当の津留 鍵先生のことだ。
「授業始めるぞ。」
オレは、しっかり授業を聞いたがやっぱり全然分からん。こりゃ次のテストヤバいな…。
「…健人はとても頭が悪いので、私が教えてやるのです。」
「マジで!ありがとうございます。稚夏様。」
「じゃあ私も教えてあげる。」
「ありがとう」
いやー本当に助かるわ。今の成績保っていられるのだってこの2人おかげだからな。
オレはそのあと急いで家に帰ったが、稚夏がもう来ていた。
「…遅いのです。」
しょうがないだろ自転車で帰ったんだから…。車に勝てるわけないじゃないか。
「…由里もどうぞです。」
稚夏は、由里のことも家に入れた。稚夏曰く、来たことが気配でわかるらしい。
「健人、せっかく私が教えてやるんだから泣いて感謝しなさいよね。」
「稚夏行こう。」
「…はいです。」
由里にも感謝はしているが、ここはスルーしとかないと調子に乗るからな。
「…では、始めようです。」
稚夏も由里も自然にオレの部屋に入っていき、机の前に座った。もう少し遠慮があってもいいんじゃないか?教えてもらう立場であるオレが言えることじゃないけどさ。
「健人がどれくらい分かってるのかテストをやるわね。」
「分かった。」
由里に、手書きのテスト用紙をもらった。字むっちゃ雑やな~。読めはするけどさ!
「スタート!」
絶対に意味のないスタートの合図で始めた。やばい、分からない。何とか、最後までやって由里に渡した。2人でマル付けをしていく。でもマル付けじゃなくてバツ付けって感じだな…。
「…46点です。」
由里に渡されたテストの結果は68点。まずいな…。
「よっしゃ!みっちりいくわよっ!!」
「お願いしやす!」
その日は、夜までずっと教えてもらっていた。いや、ありがたいね。
「健人クン!!」
声が聞こえ、部屋のドアが開いた。
「私の由里を遅くまで返さないでどうゆうつもりだ!」
「お父さん、うるさいから早く帰って。」
「由里!!もう遅いからお父さんと一緒に帰ろう!」
「じゃあ、私もう帰るわね。」
「…なら私も帰るです。…さよならです。」
由里は優斗さんに連れ去られたし、稚夏も帰ってしまった。
その後、すぐに風呂に入って寝た。




