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筋がいい話
男性客が帰った後、客は一人も来なかったが、ニールは無事に戻ってきた。
「言われたものを買ってきましたが、パンを本当にここで作るんですか?」
「立派なオーブンがあるからね。さすがおばあ様。設備はちゃんとしているわ」
ニールが買ってきたものを確認し、目を大きく見開く。
「ニール、貴方」
エリスの手の中にある食材を見て、ニールは冷や汗をかいた。
さすがにこれは怒られるかもしれない。でも、いちおう食材だし、買っておこうと思ったのだ。
「申し訳ございません。やはりそちらは…」
このお嬢様は自分より若いが、自分よりずっと地位は上だ。
解雇されるかもしれないと震えあがっていると、エリスがきらきら光る目で見てくる。
「牛筋を買って来るなんて、貴方は本当に仕事ができるわね」
「え?」
「これはいいわ。下処理が手間だし、食べられるまで少し時間がかかるけど、牛すじ煮込みにして作り置きしておけば、貴方でもすくって配膳ができる。買い物上手だし、掃除もできるし、明日からもよろしくね。ニール」
ニールは目を白黒させるしかない。
怒られると思っていたら褒められたので、すぐには反応ができなかったが、慌てて頭を下げた。
「めっそうもございません。こちらこそ、よろしくお願いいたします。エリスお嬢様」
そうして、2人だけの食堂が始まったのである。




