閉店後の食卓
レオンは鍛えていたので、体力には自信があった。
少なくとも、自分よりも細いエリスよりは、体力があるつもりだった。
しかし、今は立てなくなり、椅子に座って休んでいる。
さすがに皇子なので、椅子にもたれかかったり、机に突っ伏したりはしない。
プライドがあるからだ。しかし、立つことはできない。
「レオン様、お加減はいかがでしょうか?」
ニールがお水を持ってきてくれる。
ニールとエリスは、ちょうど閉店作業を終えたところだった。
「すまない」
「とんでもないことでございます」
エリスも湯気が立つ牛すじセットを持ってきて、レオンの前に置く。
「どうぞ。まかないです」
正直に言えば、とてもお腹が空いている。
がっつきたい気持ちを抑えて、レオンはエリスとニールを見た。
「2人は食べないのか?」
「私は帰らせていただきます。孫が家に来ているので」
そう言って、ニールは残り物を持って、そそくさと帰ってしまった。
「茶色い料理ではご不満でしょうが、どうぞ」
エリスは自分の分の夕飯をレオンの向かいの席に置くと、食べ始めた。
レオンはエリスに言いたいことがあったが、食欲の方が勝り、エリスに習って食べ始める。
エリスの料理は、確かに茶色だが、今日も美味かった。
「美味いよ」
レオンがポツリとこぼした言葉に、エリスは手を止めた。
「君の料理は美味い。茶色いなんて言って悪かった」
「茶色い料理なのは事実ですよ」
エリスは食事を再開すると、牛すじセットを全て食べ終えた。
「貴方のタルトも、クッキーも、評判良かったですよ」
馬術を褒められるよりも、剣術を褒められるよりも、ルックスを褒められるよりも、嬉しかった。
「どうして作れるんですか?」
エリスの言葉に、レオンは少し躊躇ったが、自分のことを知ってほしいという気持ちが勝る。
レオンは重い口を開いた。




