光と闇の魔法について
部屋に戻ると、俺は直ぐにセシルに話の続きを促した。
「はい、では話させて頂きますね。」
セシルは苦笑しながらも、きちんと魔法について教えてくれた。
「まず、レン様が先程奥様に質問されていた属性についてですが、今現在分かっているレン様の属性は、火・水・土・風・雷・光・闇の七つです。これら全てを説明すると時間がかかりますので、光と闇についてだけ説明いたしますね。それ以外についてはこちらの本をお読みください。」
俺は渡された本を手に取った。タイトルは、『誰でも分かる♡魔法の♡基礎情報!!』だ。
・・・中々に個性の強いタイトルだ…。まぁ、それは何も言うまい。……だが、セシル!何故この本を選んだ!君の趣味が分からないよ!!
「では、先に光魔法についてですが、」
セシルは顔の引き攣っている俺を気にするでもなく、何事もなかったように話し始めた。
・・・そう、そのまま話すのね。分かったよ。切り替えて聞くよ。………はぁ。
「光魔法は別名、聖の魔法と言われていて、神官や巫女などの神職に就いている方が使う魔法です。怪我や病の治療、結界や身体強化等が出来ます。…ここまでは宜しいですか?」
「はい。」
セシルは、しっかり理解できていますか?というふうな表情で聞いてきた。
おい!失礼だな!見た目は幼くても、精神は大人なんだからこんぐらい理解できるわ!まぁ、セシルはそんなことは知らないだろうから仕方ないんだけどな。
俺は内心不満たらたらながら、そんなことは表には出さず、しっかりと頷く。
セシルは俺の返事に満足したように微笑んで、続きを話始めた。
「では、次に闇魔法についてお話ししますね。まず、闇魔法の中には禁術と呼ばれるものが存在します。それらは主に、精神支配系の魔法です。禁術は国から使用が禁止されており、勝手に使った場合、処刑をも覚悟しなければいけません。ですが、闇魔法事態が他の属性より魔力を多く消費し、尚且つ使用者も一万人に一人の割合しかいないため、闇魔法を使える者が処刑されたという記録は、ここ500年ほどは確認されていないので、そこはご安心ください。」
・・・何かいきなりハードル高い話し始めたんだけど!?もっとハードル下げようよ!何でいきなり上げたの!?処刑って何!?それは俺への忠告でもしてるの!?禁術を使ったら死ぬぞ?って!怖いから!マジで怖いから!
「レン様?如何なさいましたか?大丈夫でございますか?」
青い顔で黙り込んだ俺を、セシルが心配そうに見てきた。
いや、お前のせいだから!お前がいきなり怖い話をしだすせいだからな!?なに、何も知らないような顔で心配してくれてんだ!
「はい、大丈夫です。話を続けて下さい。」
俺は爆発しそうになった怒りを無理やり抑え込んで、作り笑いを浮かべた。
「そうですか?」
セシルの問いかけに、俺は勢い良くうんうんと頷いて、大丈夫だアピールをする。
セシルは納得いかない表情をしながらも、俺に促されるように続きを話しだした。
「では、現在禁止されている闇魔法をお教えしますね。主に、呪いや呪詛、魔物の召喚、精神操作系魔法等ですね。これらはきちんと覚えておいて下さい。先程も言いましたが、禁止魔法を使った場合、処刑される可能性もありますので。」
俺は笑顔を浮かべて、またしても恐ろしい事を言うセシルを、なんとも言えない顔で見つめた。
こいつ絶対腹黒だよ。だって笑顔が黒いもん。俺の従者が腹黒って、一体誰得だよ。
「レン様、これで私が話せる事は全てお話いたしました。まだ分からないことがあるのでしたら、私ではご説明できないので、奥様か、ジーン様にお聞きくださいませ。」
どうやらあれで説明はすべて終わったらしい。まだ闇魔法で使っていい術を聞いていないような気がするが、今日のところはもういいだろう…。
というか、俺、この数時間で一気に疲れたぞ。何かやつれたような気もするし。何でただ魔法の説明聞くだけで、こんなに疲れなきゃいけないんだろうな…。
俺は若干の現実逃避をしながら、深く椅子にもたれ掛かる。
「セシル、今日は少し疲れたのでもう休みます。夕食はここへ運んできて下さい。」
「はい。畏まりました。では、夕食の時間にお起こし致しますので、それまでゆっくりとお休み下さい。」
セシルは俺の頼みに即座に頷くと、頭を下げて直ぐに部屋を出て行った。
俺は扉がきちんと閉め切られたのを確認すると、若干窮屈に感じていた服を脱いで、そのままベットへと倒れ込んだ。
え?行儀が悪いだって?それは仕方ないだろ?俺はまじで疲れてんだ。それに、誰も見てないんだから別にいいだろ?
俺は内心で一人芝居を演じると、(今日は本当に疲れた一日だったな〜)と思いながら、そのまま眠りについたのだった。




