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異世界で俺は孤児になりました   作者: 睦月 霊華
10/15

お世話係と魔力測定

「レン様。そろそろお時間でございます。ご支度を致しましょう。」


 部屋の椅子に座って本を読んでいた俺は、セシルの言葉に驚いて顔を上げた。


「え?もうそんな時間ですか?………あ、本当だ。」


 時計を見ると、確かに約束の時間が迫っている。


「こちらにお着替えください。」


 俺が時間を確認している間にも、セシルは俺の支度に取り掛かっていた。今も俺に着替えを差し出して、着替えるように言ってきている。俺はそれを素直に受け取った。だが、内心では、二回も着替える必要はないんじゃね?とか、思っていたりする。


 渡された服は、高校の制服と似た作りで、割とすんなりと着ることが出来た。サイズ的にもピッタリで、よく出来ていると思う。


「とてもお似合いです。かわいいですよ。」


 セシルは俺が着替えた姿を見てそう言った。。

 俺は少し複雑な気分になりながらも、曖昧に笑うと軽く頭を下げた。


「では、行きましょうか。奥様との約束に遅れるわけにはいきませんから。」


 俺はその言葉に頷くと、案内されて奥様の元へと向かった。


✽✽✽


 セシルに案内されて来たのは、初めて見る部屋だった。

 その部屋の前には奥様が既に来ており、俺は遅れたのかな?と少し焦ったが、セシルが平然としているから大丈夫だろう。


「レンちゃん。先程ぶりね。来てくれて嬉しいわ。今日はこの部屋の中にあるものに用があって来てもらったの。」


 奥様は俺に気づくと、直ぐに話しかけて来た。


「部屋の中の物ですか?」

「ええ、そうよ。この部屋には魔力測定の為の水晶が置いてあるの。今日はそれで貴方の魔力と属性を調べようと思ってね。あ、後、ついでにステータスも見ときましょうか。」

「ステータス?」


 魔力測定の水晶は、まだなんの事か分かるが、ステータスって言うのは何だ?ファンタジー漫画や小説に良く出てくるステータスと同じやつか?


「ステータスって言うのはね。その人の真名や性別、体力や魔力、ついでに称号や魔法属性とか、色々な事が表示されている身分証明書みたいなものよ。まぁ、町を出る時や入る時に使用出来るのは、城か冒険者ギルドで発行されるステータスプレートだけだから、家で作るプレートは、ただ自分の力を知るものとしてしか使えないのだけどね。」


 奥様は、首を傾げた俺の為に、分かりやすく説明してくれた。俺はそれに納得してうんうんと頷く。

 やっぱりステータスって言うのは、俺が思っていた通りのものだな。じゃあ、今から俺の魔力量とか属性を調べるのか。楽しみだな。

 俺は内心でウキウキしながら、奥様と一緒に部屋へと入った。


「・・・・。」


 俺は部屋のあまりの惨状に、思わず固まった。

 部屋の中には、そこら中に用途の分からない物が散らばっており、足の踏み場もない程だったのだ。

 だが、奥様は固まっている俺に構うことなく、どんどん部屋の中を進んで行く。

 俺はそれに気付くと、セシルと一緒に床の上の物を踏まないように慎重に先へと進むのだった。







「あったわ〜!これよこれ!やっと見つけたわー!」


 俺達がやっと奥様に追いつくと、奥様は手に水晶を持って大声で喜んでいた。


「あの、奥様。それが魔力測定の水晶なのですか?」

「ええそうよ!これが測定水晶よ!どこに行ったかと思ったけれど、見つかってよかったわ!」


 奥様はそう言って嬉しそうに微笑まれた。

 俺は、この部屋を片付ければこんな探し回る必要はないのでは?と思ったが、それを口には出さなかった。


「じゃあ、レンちゃん。これに触ってみてくれないかしら?」


 冷静さを取り戻したらしい奥様は、気を取り直したように俺に水晶を差し出してきた。

 俺は勿論それに頷くと、言われた通り、水晶に手を乗せた。

 

「………っ……な!?」


 その瞬間、水晶が赤・青・茶・緑・白銀・黒・金の七色に光り出し、俺は眩しくて反射的に目を瞑った。

 

「・・・・・。」


 暫くして光が収まってきたのが分かり、俺が恐る恐る目を開けると、


「……っ!?」


そこには、奥様の驚いた表情と、粉々に砕け散った水晶があった。

 ・・・ヤバイ!ヤバイ!ヤバイ!どうしようこれ!絶対高いよ!弁償なんて出来ないのに壊してしまうなんて!しかも、ただ触っただけで壊れるなんて!最悪だ!今日は人生で一番の不幸の日だ!

 

「レンちゃん………。」


 奥様が、なにか言いたそうに見てくる。

 俺は怒られると思い、反射的に謝っていた。


「…ごめんなさい!「え?レンちゃん?」ごめんなさい!ごめんなさい!壊してしまってごめんなさい!「ああ。それは大丈夫よレンちゃん。」何時になるかは分かりませんが、必ず弁償します!本当にごめ「もう!レンちゃん!」………っ、はい!」

「レンちゃん。大丈夫だから、そんなに謝らないで。これは貴方が壊したのではないのよ。これは只、貴方の力に耐えられなかっただけ。だから貴方のせいではないの。」

「………力に耐えられなかっただけ?」

「ええ、そうよ。それだけの事なのよ。」

 

 奥様は安心して、と言うふうに笑いかけて下さった。俺はその気遣いを素直に嬉しいと思った。

 だから、言えなかった。それは俺が壊した事と同じなのでは?なんて。


「ここでは何だもの。隣の部屋へ移りましょうか。この水晶が壊れた理由と、さっきの七色の光が何だったのか、知りたいでしょう?」


 奥様は気を取り直すようにそう言うと、俺達を隣の部屋へ行くように促した。

 俺は黙って頷くと、セシルに案内されるまま隣の部屋へと移動した。

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