↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
プレアデスの伝説 姫たちの建国物語  作者: のらしろ
第七章 国際社会への仲間入り

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
145/146

第145話 「皇国ノ興廃……」なんちゃって



 翌日、約束通りというか、外を歩き回っていた連中も同じ席につき、正式な外交が始まった。

 ここからは、ハートポンド商業連合国とプレアデス領国との間で初めて行われる本格的な外交交渉になるらしい。


 獣人国とはすでに国交を結んでいるが、あの時はまだ国号を名乗っていなかったし、まともな外交らしい外交もしていなかったと記憶している。だから「初めての外交交渉」というのも納得できる。


 しかし、初めてだろうが何だろうが、俺にとって外交など全くの門外漢であることに変わりはなく、はっきり言ってこの場での俺は役立たずだ。

 それでもお誕生日席に座らされ、交渉の場を見守らないといけないらしい。

 国主として……ではなく、カミサマの使徒としての役割を期待されているような気がするのは、なぜだろう。


 まあ、そんな交渉もほとんど躓くことなく条件交渉に入った。

 要は、協力する俺たちに対しての見返りが何になるのかということだ。

 見返りのほとんどが成功報酬になるらしいが、それはわかる。

 現状でも植民都市はかなりの財力を抱えているらしく、金銭での支払いは可能だろう。

 だが、フランはそんなことは望んでいない。

 金銭などフェリーからワインを売ればどうにでもなるし、現状こちらもそれほど必要としていない。


「国が元のさやに納まりましたら、正式に我が国との国交を結んでいただきます」


「ああ、それは約束しよう」


「なら、うちとしては何もありません」


「わかった。もう一度確認するが、祖国奪回戦において、祖国の様子の偵察は任せてよいのだな」


「はい。そちらから出していただいてもかまいませんが、うちはうちの仕事として、できる限りの情報を調べてお渡しします」


「ああ、多分……内からも偵察くらいは出すのだろう。

 だが、貴国が調べて渡してくれるというのなら非常に助かる。

 なにせ、使徒様のお力の一部を借りられるというのだろう」


「それについては……」


「ここで言葉にしなくともいいよ。それよりも情報の受け渡しだが」


 肝心の情報の受け渡しについてはまだ話し合われていなかった。

 さすがにフランも無線機など渡せないことくらいは理解しているようで、俺のほうを見てきた。


 ここで元海上警備長職員の出番だな。

 といっても大したことはなく、海上でも情報の受け渡しには伝令を出すしかない。

 だが、海上での伝令というのは結構難しい。

 敵の船との見分けができなければおいそれと近づけないし、相手も近づけさせない。

 うちはいくらでも相手の素性を調べる方法があるからいいが、ハートポンド側は困るだろう。


 現に、その話になった途端、フランの実兄も、実兄が連れてきた連中も言葉が出ずに固まっていた。


「少しいいだろうか」


 俺が助け舟ではないが、言葉をかける。


「使徒様。何か良い案がございますか?」


「旗はありますか? 国旗だとか」


「ええ、我が国の国旗はありますが……それが何か?」


「船のマストに合図の旗を掲げて近づくのはどうでしょうか?」


「そうですね、まだ我が領国は国旗を決めていませんでしたね」


「守様。船にあるあの旗は?」


「あれはダメだ。国旗だけど、あれは他国の、それもものすごく怖い国のもので、そういうものには非常にうるさいから勝手に使えないんだよ」


 そう、あの国は登録されている意匠の扱いにうるさい。

 たとえ他国……いや異世界でも取り締まりに遭いそうで、そう簡単には無断で使えない。

 なので――信号旗だ。

 信号旗は必ず積んであるはずだから、フェリーにもある。

 それを使おう。

 となると、何を使うかだが……ここはやはり『Z』旗だろう。

 あれはかなり目立つし、こういう場面にはもってこいだ……日本人、それも歴史好き限定だけど。


『皇国ノ興廃此ノ一戦ニ在リ、各員一層奮勵努力セヨ』


 だったかな。

 そもそもの始まりが確か、あれはネルソン提督の逸話からだとか聞いたが、まあいいか。


 俺は近くにいた騎士の一人を呼び止め、急ぎ旗を持ってきてもらった。

 彼女らは巡視船の細部まで詳しいので、しまってある場所を伝えれば信号旗セットを全部持ってこられるだろう。

 そこから一枚取り出して渡せばいい。


 そのあとは、今回代表団を連れてきた船長などを交えて、扱いなどいろいろと話し合った。

 そうこうしていると、俺のお使いを頼んだ騎士が戻ってきて信号旗を渡してくれたので、箱の中から『Z』の目立つ旗を取り出して一枚渡した。


「これって、頂けるのでしょうか」


「いや、この作戦において貸し出します。覚えてもらうためにお渡しします」


「守様。渡してしまうと……」


「まだうちには予備があったでしょ、あの船にも。

 うちらはその予備を使おうか。どうせ使うのはこの『Z』旗だけだしね」


 そんな感じで情報の受け渡しについて話がまとまった。

 最後に、建造中――といってもほとんど完成している――スプール艦に近い快速船を外交団に見せて、


「多分、情報はこの快速船でお渡しすることになりますので、こちらも覚えておいてください」


 ということで、無事に初めての外交もまとまり、ハートポンド商業連合とは正式に国交を結ぶことになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。