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プレアデスの伝説 姫たちの建国物語  作者: のらしろ
第七章 国際社会への仲間入り

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143/146

第143話 帰還


 エルムからの連絡だ。

 彼女は一応、副使として扱われているため、必ず会合の場には顔を出すことになっており、経過報告を任せている。

 そのエルムから、最初の報告が入った。


『守様。

 親書の受け渡しは無事に終わりました』


「向こうから何か言われたか?」


『はい。こちらの戦力などを知りたかったようで、色々と聞かれましたが、ダートン様が上手に返しておりました』


「ダートン……誰だ?」


『今回の団長ですよ、ドワーフの』


「ああ、親方ね。

 それで、その親方は何と言っていた?」


『はい。「国の防衛に関することはどこでも秘匿されますので、我々でも同じで、安全保障に関わりますので」と申しておりました』


「それはうまい隠し方だな」


『ええ。それでも先方がかなりしつこく聞いてきておりましたので、ダートン様が自分らのここまでの来歴を披瀝して、個人的な意見として、ドワーフ族を始め人族以外の者たちにとって、人族からこれまで受けてきた仕打ちがあるから信用はできない、と説明されておりました』


 そりゃそうか。

 人族に国を追われて流れてきたところで水竜に襲われていたのだし、切実に考えているのも当然だ。


「それなら、先方は少し気を悪くしたのでは?」


『ええ、少しムッとした顔をされておりましたので』


「まあ、かねてよりの話し合いの通り、あまり無茶を言うようならこの話は切り上げて帰ってきていいと親方に伝えてくれ。

 今回の訪問は親書を渡すまでが目的だ。

 別に協力関係が築けなくても問題ない」


『はい。ダートン様もそれは理解されているようですが、守様からのお話は必ずお伝えします』


 そう言って、無線を切った。

 フランの兄はともかく、その他の人たちであまり良い印象を持つ者は少なかったことを思い出し、今回の話は流れたかもしれないと考えながら、いつここを離れるかを思案し始めた。


 翌日、定時連絡の予定よりもかなり早く無線が入る。


「何かあったのか?」


 心配になって問いただすと、エルムからの返事は「帰国できる」とのことだった。

 ただ、客を乗せたので、あまり大っぴらに無線はできないらしく、これ以降は緊急事態がなければ無線しないとのことだった。


 親書を渡すまでが目的なので、話が長引いて帰国が遅れるのもわからない話ではないが、それにしても展開が早い。

 しかも客を乗せているという。

 話が流れたわけでもなさそうだが、そういう事情なら致し方ない。


 俺は決断し、一度帰国することにしてケリーに命じた。


 今、一の浜に置いてあるフェリーを移動する必要がありそうなので、一度戻って島の体制を整える。

 しばらく一の浜での仕事が続いていたので、面倒だからとフェリーごと一の浜で生活していたが、客が来るなら話は別だ。


 急ぎ一の浜に戻りフェリーを動かしていると、フランが慌てて操舵室にやってきた。


「守様、どうしましたか」


「ああ、帆船がお客様を乗せてここに来るらしい」


 そう言ってフェリーを動かしながら、俺の掴んでいる情報をできる限り丁寧に伝えた。


「またアイツら、いらん事を考えているのでしょうね」


「いらん事って?」


「自分らの兵力を温存して、他に奪還させたいと」


「へ?

 なにそれ。

 それじゃ祖国を取り戻したことにならないじゃないか」


「良いじゃないですか。

 それでも自分らには、外交で話をつけた実績がどうとか言って、奪還戦の功績が一番だとばかりに美味しいところを持っていく腹づもりなのでしょう」


「流石にそれでは周りが黙ってないだろ」


「だから自分らの兵力を温存しているのですよ。

 最後はその兵を圧力に使って黙らせるとか」


「は~?

 そんなことで普通黙るのか~」


「だから、わかっていないのですよ。

 そこまで理解できるなら、簡単に国を取られたりしませんから」


「そりゃそうか。

 まあ、客が来れば今度はこっちで交渉になるのかな」


「わかりませんが、多分すぐに来る方は問題ないかと」


「なんで?」


「少数で乗り込んでくる人たちが、敵地で強く出られるはずがありませんよ。

 本当にこっちに圧を掛けたければ、軍艦数隻を伴って砲艦外交するでしょうしね」


「こっちでも、いや、どこでもそうか。

 結局のところ力が物を言うんだな」


「そうですね。

 そればかりじゃないと良いのですが」


「そればかりじゃないよ。

 力はたしかに強力だけど、心から力に屈服する人は案外少ない。

 後で手痛いしっぺ返しを喰らうのも歴史が証明している。

 俺の生きた世界では割とあったけどな。

 もっとも、それ以上に力で蹂躙される不幸も相当数あったけど」


「同じですね」


 無事にフェリーも二の浜の定位置に停泊させ、バイクで一の浜に戻る。

 浜に戻ると、すぐに迎賓館の受け入れ準備を始めてもらった。


 前にフランの兄がここに来たときには、我らはほとんど漂流者同然で、まともな住処もなかったが、今は違う。


 一の浜では誰もが家を持ち、それぞれの仕事を行っているし、目立つ場所には迎賓館も作ってある。

 今度は誰が来ても恥ずかしくなく迎えられそうだ。

 後は料理などだが、それは客が来てから考えれば良い。

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