↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
プレアデスの伝説 姫たちの建国物語  作者: のらしろ
第七章 国際社会への仲間入り

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
139/146

第139話 仕事の報酬としてのお酒の話




「ああ、仕事だが早く俺の望むものができれば褒章を出すのもここを預かる者の仕事だろう。

 わかった、いいだろう。

 ただし、仕事の出来によるぞ」


「領主様。 

 われらドワーフをなめてもらっては困ります。

 一度引き受けた仕事は絶対に手を抜かずにしっかりとやり抜きますぜ」


「ああ、そのあたりについては信頼しているが、今回は納期も品質に入れているからな」


「短納期でということですか」


「ああ、無理のない範囲になるだろうが、できるだけ短納期で頼む」


「ひょっとして、それによって報酬が……」


「全員に一樽は無理でも十分な量の酒を約束しよう」


 本当にドワーフという種族は酒好きばかりがそろっているようだ。

 いや、酒好きはここに集まる者たちほとんどに言えそうだが、ドワーフの酒にこだわる姿は俺の知る物語と同じで、少し面白くなっていた。


「守様。

 あまり連中を甘やかさないでください」


 俺がほんわりとした気分に浸っていると、連中の上司となるダーナが俺に苦言を言ってきた。

 連中の酒へのこだわりで、前からかなり手を焼いていたらしいダーナは俺の提示した報酬が甘すぎると言ってきた。

 

 なんでも、昔国を運営していた時に酒はかなりの貴重品らしく、連中の要求する酒の品質と量を確保するのに苦労させられたらしい。

 そんなこともあり、こういう場面では報酬をめぐりすったもんだの場となるのが定番と化していたらしいのだが、ここに来てからの酒の配給については俺が神様からいただいたフェアリーのおかげもあり苦労せずに好きなだけ飲ませることができる。


 もっとも野放図に与えてはいないが、それでも節目節目ごとには島民全員に酒をふるまってきたのだ。

 ドワーフの連中もそんな状況に味を占めたのか、ことあるたびに俺に酒を要求してきたので、俺もその都度、適正と思われる分量を与えていたのだ。


 そう俺との交渉は、今ここにいないドワーフの親方がしていたので、ダーナはあまり知らなかったのだろう。

 知っていればもっと早くに俺のことを止めに来ただろう。


 しかし、樽詰めしてフランの実兄との貿易にも使っているので、そうそう渋くはできない。

 まあ、そんな感じだったこともあり、俺はダーナをなだめて、仕事にとりかかってもらった。

 まずは材料を集めることからだが、別件で使用するつもりで集めていた木材をこちらを優先的に使うよう指示を出したので、その分の木材の手配も同時に、こちらはドワーフとは別、主に力のある獣人たちにお願いして、森から木材の切り出しの増産をお願いしておいた。


 当然、ボーナス報酬を要求されてきたので、ドワーフ同様にワインで手を打ってもらった。


 しかし、ほとんど無限といえるくらいに補充の心配の要らない物資とは有り難い。

 本当はここに引きこもっても、フェリーだけで生産されるものを使えば引きこもりは可能だが、さすがに誰もそのようなことは言ってこないし、皆自活するべく、この島の開発に精を出しているのだ。


 この島の代表となった俺がそんな者たちの働きに水を差すことはさすがにできないし、するべきでもないのでとにかく頑張った連中には気前よく報酬を出すようにしている。


 何しろ俺の懐が痛まないということもあるので。


 でも、何でもそうだが、ありがたみというやつは大事で、人は「安きに流れる」といえるような生き物である以上、不労所得は魅力こそあれ、それに頼るわけにはいかない。


 特にこの世界、何があるか分かったものではないし、なにより俺がこの世界に送られたときに与えられた使命では、とにかくこの世界に文化をもたらせということがあるのだ。


 それを怠けていたらあのカミサマのことだ。

 フェリーだけに限らず、巡視船も簡単に取り上げることくらいはするはずだ。


 とにかく今は、少数民族となるようなエルフや天使族などを保護しながら、この地に文化を根付かせて、ここから広めていくことにしている。


 なので、俺たちが島内で孤立して生活するわけにもいかないことも今回要請にこたえるように協力することにしているのだ。


 他の貴族連中のことは知らないけど、少なくともフランの実兄は頭の切れる人なので、今回俺の方から持ち掛ける協力についてもその価値を正確に理解してくれるだろう。


 情報の大切さは商売をしていれば身に染みて理解している……はずなのだが、ほかの貴族連中は直接的な武力以外に価値を見出せないとか。


 これはフランから聞いた話だけど、戦においても情報の重要性はそれこそ俺が生きた令和日本でも……紀元前の孫子から口を酸っぱく説かれているけど、令和日本でも理解していない人は多かったな。


 そういう意味でも、フランの言う連中もどこの世界でもデフォなのかもしれない。


 まあ、理解してくれる人がいればそれでいい。

 何も論功で分け前をよこせというつもりはないのだ。

 お付き合いが継続的にできればそれでよい。

 少なくとも敵対しなければなんでもよかった。


 帝国と呼ばれる勢力や教国と、今回完全に敵対するけど、こればかりは致し方がない。

 前の世界を持ち出すわけでもないけど防衛戦争は国連でも権利として認められていたのだ。

 何ら瑕疵のない国をそれも謀略まで絡めて攻めてくる国に正義はない。

 怪しい話の正義ではなく、普遍的な価値のある方の正義での話だ。

 もっとも、俺の心の中での話ではあるけど、フランたち国を乗っ取られた人たちにとってはそんなことは関係ないだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。