第134話 無事の帰還と報告会
巡視船が浜から見える位置まで来ると少なくとも一の浜で活動している全員が作業の手を休めて浜に集まってきているのが艦橋からよく見えた。
ケリーは手慣れた操船で、いつものフェリーの隣という停船場所まで船をキチンと泊めて、彼女の部下たちもすっかりこの船の乗員として船が停船するや否や、慣れた手つきでもやいなどを使いフェリーにしっかりと横付けしていく。
それらを艦橋からしっかりと確認していたケリーが俺に伝えてきた。
「守様。
下船の準備が整いました」
「ケリー、ありがとう。
ダーナ、フラン、下船するからソフィアと聖女様をよろしく」
俺はそう言ってフェリーから巡視船に下ろされている階段に向かっていった。
フェリーの船長である自分の部屋にどこにも寄り道をせずに向かった。
別に今回のミッションというのも、いわば惰性のようなもので、噂を聞いたので、ソフィアの希望も先に聞いていたこともあり、行ったようなものだが、なぜだか異様に疲れた。
ひと風呂浴びてなんて考えもしなくもなかったけど、ここに戻ってきたら一挙に疲れが噴き出してきたようで、船長室のベッドにダイビングしてそのまま意識を飛ばす。
今まで、本当に惰性のようにいろんな事件に巻き込まれては、どうにかしてきたが、フランの言うプレアデスの神の神話じゃないけど、それもゴールが見えてきたように思う。
6人だったか7人の姫を見つけて……娶るというのもあったな。
その姫だけど、今回見つけてきた聖女様を入れると4人目になる。
確かに人種というのだっけ、俺と同じ種族になるらしいが、その種族の姫で確かに美人だ。
同じ美人のランクに入るフランを既に頂いている俺がいまさら何をという気持ちは確かにあるけど、何人もの美人をいただいている立場からすると、彼女がどうとかする気にはならない。
というか、彼女を無理やりなんてしたくはないし、彼女も神様か、あのどうしようもないカミサマから夢の中で何を言われてきたのか知らないけど、初めて会う俺にいきなり貞操をささげようとも思わないだろう。
フランたちの場合は命を助けたというのもあったので、そういう気持ちにすぐになれたのだろうと思うが、彼女の場合には俺たちが無理やりに近い形で連れてきているし……これって誘拐じゃないのかな。
後で、ソフィアにそのあたりを問いただしておこう。
もし、彼女が望まない形で無理やりなんてことにでもなれば、逆ミッションじゃないけど元の村に返しに行くつもりだ。
うつらうつら、そんなことを考えながら徐々に意識が戻ってきた。
気が付けば、窓から見える外は日が暮れてきたようで、すっかり夕方から夜になりかけている。
そろそろ食事でもしながらフランたちとこの後のことを相談しないとまずいか。
それに、あの聖女様についてもきちんと話すらしていないので、挨拶もしないとまずそうだし。
俺は、身なりを整えるつもりで上着だけでもフェリーの船長用の服に着替えて、部屋から出て食堂に向かった。
「守様。
ちょうどよかったです。
今お迎えに上がろうとしておりましたので」
そう言ってソフィアが俺に話しかけてきた。
「俺もちょうどよかったよ。
俺のほうも相談したいことがあったのでな」
ソフィアからは洗い立ての髪からかおるかすかな花の香りが漂ってきた。
美人からのこういう香りっていいものだな。
「守様。
お連れしました聖女様は、先ほどまで私とフラン様とで一緒にこの船の浴室を使わせてもらい、身支度を整えてまいりました」
「身支度を整え?
フランと一緒に……ああ、ふろを使ったの。
気持ちよかったでしょう」
「ええ、驚きました。
確かに、教国の教会にも浴場はあり、使っておりましたが、こことでは比べるべくもなく、豊富なお湯に、使ったことのない良い香りの石鹸など、まさに神の国のような気持ちにさせてもらえる場所でした」
「神の国って大げさな。
それよりも呼びに来たんだよな」
「あ!
申し訳ありません。
皆様既に食堂でお待ちしております。
お手数をおかけしますが、ご一緒していただけないかと」
「いや、俺のほうこそすまなかったな。
ちょうどよかった、みなと相談したかったから、食事をとりながらでも話そうか。
そういえばソフィアの歓迎会もしてなかったような気がするし」
「いえ、私など……それよりも」
そんな感じで、珍しい組み合わせになったが、ソフィアと一緒にフェリーの食堂に向かった。
食堂は最上階にある船長室から見ると、メインデッキのある階になるので4階位下になる。
エレベータを使えなくもないが、ソフィアが驚いて固まってもと思い、階段で降りることにした。
で、そんな感じで食堂につくと、主だった者たちがそろっていたので、俺はいわゆるお誕生日席のようになっている場所まで歩いて、そこに座る。
司会進行をダーナがしてくれるようで、俺の前にビールが注がれたジョッキが置かれると、まずは乾杯、それから今回の作戦の成功の報告をした後に、連れてきた聖女様をここにいる主だった者たちへお披露目となった。




